サホ
文字数 1,084文字
「今日初デートなんだー!」
放課後、近くの公園でくだらないことダラダラと話し込むのが日課だったのに、親友のカナは最近できた彼氏のオワリくんと教室に残ることが多くなった。
ちょっとさみしーが仕方ない。
あーあ、うれしそーな顔。
「今日は花火大会だし、デートにはピッタリだねっ!」と、カナにつられてテンションがあがる。
カナはいつも自分の気持ちに正直だ。
突拍子もないこと言い出したり、突っ走るとこもあるけど、カナといるとあたしがあたし以上の何かになれるんじゃないかって希望が湧いてくるんだ。
それなのに。
その日の午後、カナから電話で呼び出された。
オワリくんに振られたらしい。
理由は、オワリくんには好きな人がいたこと。
カナが告白する前からだ。
なんだソレ?
カナは悪くないじゃないか。
悪いのは好きな人がいるのにカナの告白を受け入れたオワリくん、いや、オワリだ。
それならあたしが一緒にいたかった。
先週の夏祭りだって一緒に行きたかったけど、もしかしたらデートかなと思って他の子たちを誘った。
カナがお祭りに行かなかったのは後から知った。
もー付き合い始めて2週間は経つのにまだどこにも誘わないオワリに腹が立ってた。
だけどカナは放課後の教室だけでも楽しそうにしてた。
なのに。
なのに。
本当はオワリの悪口をめちゃくちゃ言いたかった。
だけどそれはオワリを好きだと言ったカナのことも否定してしまう気がした。
カナのいいとこ、何にもわかってない、
そんな男が好きなの?
そんな風に思ってた。
けど、
口から出た言葉は慰めの言葉でもオワリの悪口でもなくて、カナの気持ちを疑っているような言葉だった。
「そんなに好きだったんだ?」
ああ、最悪。
悪口の方がまだマシ。
好きに決まってんじゃん!
何でそんなこと言うの!?
カナは怒って帰ってしまった。
すぐにごめんとは言えなかった。
カナがハッピーならあたしも嬉しい。
それは本当。
だけど。
本当に?
本当の本当に?
本当の気持ちは、もっといっしょにいたかった。
くだらない話をしてたあの時間があたしにはとても大切だった。
カナにはそうじゃなかったのかな。
簡単に代えられる時間だったのかな。
そんな気持ちがあったはずだ。
ベッドの中で考えてばかりで、気がつけば日づけはとっくに変わっていた。
『ごめん、カナ。』
そう送ろうとしたそのとき、スマホが鳴った。
カナだ。
『ありがとう、ごめん』
ごめんはあたしの方だ。
でもそれよりももっと…。
明日が明るくなるようなこと。
明日はカナの誕生日。
ハッピーバースデーのパンダのスタンプといっしょに
『まだまだ青春これからだ!』
それだけで、伝わるでしょ?
一人じゃないよ、あたしがいるよ。
放課後、近くの公園でくだらないことダラダラと話し込むのが日課だったのに、親友のカナは最近できた彼氏のオワリくんと教室に残ることが多くなった。
ちょっとさみしーが仕方ない。
あーあ、うれしそーな顔。
「今日は花火大会だし、デートにはピッタリだねっ!」と、カナにつられてテンションがあがる。
カナはいつも自分の気持ちに正直だ。
突拍子もないこと言い出したり、突っ走るとこもあるけど、カナといるとあたしがあたし以上の何かになれるんじゃないかって希望が湧いてくるんだ。
それなのに。
その日の午後、カナから電話で呼び出された。
オワリくんに振られたらしい。
理由は、オワリくんには好きな人がいたこと。
カナが告白する前からだ。
なんだソレ?
カナは悪くないじゃないか。
悪いのは好きな人がいるのにカナの告白を受け入れたオワリくん、いや、オワリだ。
それならあたしが一緒にいたかった。
先週の夏祭りだって一緒に行きたかったけど、もしかしたらデートかなと思って他の子たちを誘った。
カナがお祭りに行かなかったのは後から知った。
もー付き合い始めて2週間は経つのにまだどこにも誘わないオワリに腹が立ってた。
だけどカナは放課後の教室だけでも楽しそうにしてた。
なのに。
なのに。
本当はオワリの悪口をめちゃくちゃ言いたかった。
だけどそれはオワリを好きだと言ったカナのことも否定してしまう気がした。
カナのいいとこ、何にもわかってない、
そんな男が好きなの?
そんな風に思ってた。
けど、
口から出た言葉は慰めの言葉でもオワリの悪口でもなくて、カナの気持ちを疑っているような言葉だった。
「そんなに好きだったんだ?」
ああ、最悪。
悪口の方がまだマシ。
好きに決まってんじゃん!
何でそんなこと言うの!?
カナは怒って帰ってしまった。
すぐにごめんとは言えなかった。
カナがハッピーならあたしも嬉しい。
それは本当。
だけど。
本当に?
本当の本当に?
本当の気持ちは、もっといっしょにいたかった。
くだらない話をしてたあの時間があたしにはとても大切だった。
カナにはそうじゃなかったのかな。
簡単に代えられる時間だったのかな。
そんな気持ちがあったはずだ。
ベッドの中で考えてばかりで、気がつけば日づけはとっくに変わっていた。
『ごめん、カナ。』
そう送ろうとしたそのとき、スマホが鳴った。
カナだ。
『ありがとう、ごめん』
ごめんはあたしの方だ。
でもそれよりももっと…。
明日が明るくなるようなこと。
明日はカナの誕生日。
ハッピーバースデーのパンダのスタンプといっしょに
『まだまだ青春これからだ!』
それだけで、伝わるでしょ?
一人じゃないよ、あたしがいるよ。