第21話「第二章だろうと自分の持ち上げ方がすげえ」
文字数 3,090文字
~第一章のあらすじ~
偶然出会った戦士のカイカと道具屋の山田は、色々あってギルドから追われる身に。
貴重な魔導書をギルドのリーダーに渡す事で解決したが、ここで会ったのも何かの縁。
そう言わんばかりに2人は共に次の冒険に向かったのであった。第二章始まるよー!
そう。んで道具屋かて立派な店やん。
虫なんかおったら印象悪なるわーって、始末したろ思てん
容姿端麗明朗快活温故知新博学多才花鳥風月のウチは考えた……
第二章だろうと自分の持ち上げ方がすげえ。あと温故知新って人を褒める時に使う言葉じゃないからね?
ふと思ったんや。このクモがいったい何をしたんやと。
ただ一生懸命生きてるだけや。そう考えるとクモが可愛くなってきてな
そう。やからもう放っとくことにしたんや。
ウチはクモ蔵を見守りながら1日店番しとったんよ
んで、次の朝起きてきたらクモ蔵がおらんかったんやけど、
どっか行ったんかなって思って掃除してたら……。
ふと、床の上で仰向けになってるクモ蔵を見つけた
そうや。結局ウチがどうこうせんでも老衰で死ぬ運命やったんや。
命ってはかないもんやな~って思ったわ
リーダーさん「こっちのセリフだ」って顔してんぞ。なんで冒頭から全く関係ない話をしてんだお前
いやー、いよいよ第二章突入やん?
第二章やろうと全く計画性なく進めるっていう意思表明をせんとな
この辺で第二章が終わって第三章に突入するパターンとかどうや?
……出ていったと思ったらほんの2時間で戻ってきて、
かと思ったら通した矢先に全く関係のない話ときた。
いい加減にしないと追い出すぞ
ほ、ほらギルドのリーダーさんも怒ってるじゃねぇか!
真面目にやろうぜ、な!
ヨミドが嫌がってるんやったら好都合や。
第三章突入すんでー!
俺さ、あんまり聞き分けない奴には鉄拳制裁も仕方ないと思うんだよ
ご、ごめんやん。ウソやん。ほんの冗談やん。ぴーやぴーや
オラッ、早く戻ってきた理由をリーダーさんに説明しろ!
わ、分かった分かったって。もう怖いなあ。
しゃーないから説明したるわ、ヨミド
(ゴチンッ)いっっったあああぁぁーーーーーー~~いあいあいあいあいあ~~ああ~~~~いいい~~~!!!
いったいいったいもぉ~……! ちょっとした出来心やん!
女の子に手あげるとか最低やで最低!
お前のことは女とも子供とも思っちゃいねーよ。早く続けろ
っくぅ~。……そうやったな。で、ヨミド。
この辺り、副都周りで起きてるデカい騒ぎについて知っとるやろ?
そう。あの辺で魔物が暴れてるらしいやん。
その情報を聞き込みまわっててんけど、
ギルドも本腰入れて調査してるって聞いてな。なんか情報ない?
うん。がめついカイカがお宝欲しいって言うてな。
ウチはカイカのおもりや
街の噂で聞いたんや。ギルドの幹部クラスが討伐しに行ったけど音信不通やって。それだけの魔物やからこそお前がわざわざ副都まで出向いてきたんやろ
ギルドの幹部でもやられたとなったら、ギルドの威信に関わる。
軍にナメられるわ国民の不信を買うわやから公表できへん。
せやから周りに噂の事実を悟られへんように、極秘でここに来た。
お前が直々に動くって相当重い事態やからこっそりとな
で、とりあえず来たけどまだ作戦が立ってへんか、
あるいは準備中ってのが今の状況ちゃう? どう?
その通りだ。現在、各地のメンバーに集合をかけている最中だ
そうか。でも戦力は多い方がええ。状況が未知数やからな。
そうなるとウチの力も借りれるもんなら借りたい。って話ちゃう?
ああ。だからお前に協力を仰げないか確認した。
遺跡調査ということは、お前が受諾に前向きなら話そうと思っていた
うん。そういうことやな。せやからついでにその仕事も受けるわ。
どうせ目的は同じやしな。なんで、情報を包み隠さず教えてな
お前のことは気に食わんけど、まあええわ。
どうせ行くんやったら金貰えたほうがええし
お、おい何言ってんだよ。お前がもらった仕事だろ。
俺は報酬をもらう理由なんかないぞ
なーにシケたこと言うてんねん!
どうせ一緒に行って戦うんやから金貰う権利は十分あるで!
君も有能な戦士だと聞いている。
ギルドは有能な冒険者に投資を惜しまない。
もし君が望むなら、成功した際にギルドの役職を用意する
ギルドも最近は大規模な戦闘続きで人材が減りつつある。
君のような若くて勇猛な戦士がいれば頼もしいというものだ。どうだ?
……いや、俺はいいです。そういうのって向いてないと思うし。
お金だけもらえればそれで十分すぎます。
それでもよければ俺にも仕事を受けさせてください
そうか。残念だ。
では仕事は君にも受けてもらい、報酬は金のみとする
こいつ、どうせ後払いやから太っ腹なだけやで。
失敗したら金払わんでええし、成功したら金払うだけの価値はある。
気ぃつけや~おだてられてるだけやで~。危なかったなぁ~
しかし、それは見方を変えればの話だ。
成功すれば金を出す用意はあるし、役職だって用意してもいい。
今回は金だけだが、2人ともその条件で別に文句はないんだろう?
まあな。
お前がカイカを取り込もうとしてんのがバレバレやったってだけの話よ
彼に選択肢を与えただけだ。ギルドは彼のような人材を歓迎する
分かってるよ。やからカイカの選択に口出しせんかったやろ。
せやけど1回拒否した以上、もう妙なことすんなよ。お前
まるで私が舌先三寸で彼を引き入れようとしているかのような口ぶりだ。ただの勧誘にそこまで気を張る理由でもあるのか
ストップ! 2人ともその辺にしてくれよ。もうお互い協力するって決めたのに言い争ってどうすんだよ
なんか片方本音が出かかってるけども。とにかく仕事の話に入ろう。
俺たちはひとまず仲間なんだから
ヨミヨミ? ……まぁいい。詳しいことを話そう。
ハッキリ言うが、今回の件……。
調査に向かった者は全員消息不明の危険な任務だ
カイカの行きたがっていたダンジョンと、山田に依頼があった仕事は偶然一緒だった。
そんなわけで情報とお金を得るため、ヨミドとケンカしながらも協力することに。
今回は危険な任務らしく、カイカと山田はどうなってしまうのか!
そんなわけで第二章の始まりです。次回お楽しみに!
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