第1話 「ナッカ国」と「トステ国」
文字数 1,551文字
綿の衣を前で合わせ帯を巻き、その上から
ナッカの政治は主に文官と武官に別れ、国の長は武官から選ばれた元帥がその地位にあたる。基本的には文官が制度や法律を定め裁判なども行っているが、国を左右する事柄は元帥が決めていた為、必然的に武官の方が力を持ち、文官は国の雑務を行っているというのが現実だった。武官の中でも、精鋭部隊とされる「ドガ」は元帥の右腕部隊とも言われ、その強さからナッカの男達は誰もがドガを目指し憧れていた。
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トステ国の朝は、祈りから始まる。
男も女も日の出と共に起き、白装束をまとい外に出ると、皇室の置かれる方角を向いて祈りを捧げる。膝をつき、空に向けた両手をそのまま皇室に向け、手を合わせながら祈りその両手を地面に降ろす。この際「我、天子様に神のご加護を祈る者なり。天子様の健やかなること、我の喜びなり。」と唱える。この動作を各地に設けられた「
トステの人達はとにかくよく働く。農業が主であるが、町では商人達が着物や薬草等を売り買いするお店もあり、それに順じて食べ物屋等も軒を連ね栄えていた。また国民は「天子様のご加護を受ける為」と称し、どの職業でも収入の半分を皇室に納める義務があった。
トステは、皇室が中心となり天子と呼ばれる国の長が存在し、神官と共に
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マグノは大きく分けてナッカ国とトステ国で構成される。その他の小国もどちらかの国の支配下にある。
もともとマグノは、国という概念を持ってはいない人々が暮らしていたが、三百年程前から、人々は小競り合いを繰り返し、結果二つの国へと徐々に別れて行った。ナッカは軍事力を強化し、トステは国力を高めていった。両国がマグノを二分するまでに百年を要したが、その後二百年もの間、両国で小競り合いは続いている。個々の武力ではナッカが勝るが、武器の開発などはトステが進んでおり、微妙な均衡を保っていた。そして、それぞれの国が強国になればなるほど、その小競り合いも激化していったのだった。