第8話 『公式』と『二次創作』の関係について・その二

文字数 1,104文字

 マスコミにクローズアップされる事によって、二次創作が黒に近いグレーゾーンであるという事実を知らない人が増えて来てしまった。故に公式も、上手く二次創作界隈を利用しようという動きに移行しつつあるようだ。勿論、全てがそうではない。二次創作自体を禁止していたり、ハッキリと発表はしなくともそれを許さない雰囲気作りに成功してる公式もある、という事は前の章で述べた通りだ。ここでは具体的に、公式が二次創作界隈をどう利用していると推測されるのか、そのパターンについて述べたい。

 マスコミの二次創作を含むイベント系のポジティブな報道によって、堂々と二次創作をする人が増えて来た。勿論、その活動も公式に正式に許可を経ての行動であるなら何の問題もない。だが、非公式と二次創作はほぼイコールで結びつく。とはいうものの、あまりにも大きくなってしまった二次創作界隈は、一々公式が精査する時間もないだろう。そこを逆手に取ったのか、二次創作界隈を上手く利用する事を考え付いたようだ。勿論、全ての原作側がそうしている訳ではない。二次創作界隈を意識せず片目を瞑るか、それとも逆手に取って上手く利用するのかは、原作者様御自身と所属先の出版社の考えた方によるだろう。ここでは、後者について述べよう。

 それは大きく分けて二通りある。一つは、原作を元にした二次創作小説・漫画、イラスト、原作についての感想や空想の呟き等を汲まなく調べ上げ、今現在のファンはどのようなものを作品に求めているのか? 二次作品で特に人気の高いものを見てどのようなものが人気があるのかを公式が精査した上で原作者に、『このような作品が求められているようだ』と提案し、書かせる場合。
 もう一つは、原作者様自らが二次界隈を探索し、作品求められている傾向や人気の動向を知った上でそれを作品に活かし、それ以上のものを描きあげるというパターンだ。
 二次創作界隈があまりも巨大になったが為の苦肉の策なのだろう、非常に皮肉な結果になっている。そのどちらのパターンも、原作者様が当初考えていた物語の筋や結末を変更せざるを得ない可能性も高い。本来それは、あってはならない事なのだ。

 これらの事から、『二次創作はファンの当然の権利であり、最早オリジナルである』と、当然のように公式の決めた二次創作の制限について不服を述べられる風潮になってしまったのだと思われる。それもこれも、二次創作がそれだけで独自の文化を持って注目を浴び始めているかのように誤解を招くような報道した、マスコミの罪は大きい。今一度、『二次創作は

である』という事をしっかりと前置きと明記した上で報道をし直して欲しいと切に願う。
 
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