第25話 朝ドラ「おかえりモネ」についてダラダラ喋る

文字数 1,567文字

 朝ドラを見たのは「あまちゃん」(2013年)以来です。出勤間際、バタバタしながらも最後まで見ました。ハマったのです。
視聴していなかった方もたくさんいらっしゃると思います。
「ああ、またトンチンカンなこと喋っているな~」と生暖かく見守って下さい。

 舞台は気仙沼。登場人物みんな、東日本大震災で被災し傷ついています。
いわゆる「時薬(ときぐすり)」で癒やしている最中です。
ヒロインの清原果耶演じる百音(ももね)は、その時気仙沼にいなかったため、みんなと痛みを共有できなかったことに負い目を感じています。

 自然災害です。誰も悪くないのです。でも。

 蒔田彩珠演じる妹の未知(みち)は(最後の最後に明かされるけど)お祖母ちゃんを置いて逃げてしまったことを。
その頃小学校の教師だった鈴木京香演じるお母さんは、生徒より自分の子供が心配になり、生徒を置いて家に帰ろうとしてしまったことを。
それぞれが罪悪感で縛られている。
 そして、なんといっても登場人物がみんないい人ばかりで、「誰かを助けたい」「力になりたい」そんな台詞がバンバン出てくる。ファンタジーかよ……(涙)

 なによりファンタジーじみていたのが、ヒロイン百音が、とてもいい就職先を捨てていくこと!(悪口を言っている訳ではありません)
和気藹々(わきあいあい)としていた森林組合を辞めると知ったときは、浜野謙太演じる課長と同じくらい驚きましたよ。
そして東京へ行き、気象予報士としてテレビ出演をするようになったのに、そのとんでもないキャリアを捨てて、また地元に戻って来ちゃった……。地元の、身近な人たちの力になりたい、みたいなこと言って。
 それで坂口健太郎演じる恋人の菅波先生ともずっとすれ違い。この淡泊な二人、いつまでも敬語で喋るところがいいんですよね。

 就職先といえば、内野聖陽演じるお父さんが、支店長まで登りつめた銀行を辞めて、実家の零細牡蠣(かき)養殖業を継ぐと言いだしたときは、「正気か!!」と思いました。
でも、鈴木京香演じる奥さんは、反対しないんですよね~。
この時、「いい年してドラマで取り乱して、けっこう私、堪能しているな」と我に返りました。

 実は一番私がやきもきしたのが、妹の未知。
東京の大学の研究室に誘われたのに、脈があるのか無いのかわからない片思いの相手(りょーちん)と実家に縛られて、それを断ろうとしたところ!!
長い目で見なさいよ。男は裏切っても、仕事は裏切らないよ? 悪いこと言わないから研究室へ行った方がいいって。ずっと続けてきた大好きな養殖の研究を思いっきりしなさいよ。
 と思っていたら終盤、あれよあれよという間に、未知とりょーちんはくっついて、大学院にも合格していた。驚き。朝、支度に追われてなにか見逃した?
 でも、まだまだ人生の途上。これから山あり谷ありが待っている。海が舞台だと、(なぎ)あり時化(しけ)あり、とでも言うのかな。

 これは全然語り尽くせないです。
老若男女美男美女だらけで、目の保養にもなりました。
ジャニーズの「全角度国宝級」永瀬廉演じる“りょーちん”の、目配せや間合いにはやられたし。
浅野忠信演じるりょーちんのお父さんの、ほろ苦い魅力はジワジワ上がっていって、最終回でピークを迎えたし。

 それから新鮮だったのが、登場人物たち、自分の気持ちを見つめて訥々(とつとつ)と語り合うシーンが多いのですが、語り出す前の無言の演技というものに、けっこうな(しゃく)を使うんですよね。15分しかないのに。
でもみんな、相手が喋り出すまで、じっと黙って待っていてあげる……思いやりとか尊重とか、画面から伝わってくる……時空が違うのかもしれない……

 そして時空を越えたラスト。
コロナ禍が収束した未来の浜辺に、百音と菅波先生は降り立っていて、抱き合うのですよ。
多分2022年半ばの未来。明るい未来が待っていることを示唆(しさ)して終わるのです。
いやーまいったね。(また涙)


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