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文字数 620文字

 この頃僕達の間で話題に上がっていたのは、現国の宮田の産休の代わりに、臨時で来ている松宮のことである。
 いかにも男好きのする松宮が、いつもスケスケのブラウス姿やミニスカートで教壇に立つので、男子生徒は授業に集中できずに、松宮の胸元や太ももにくぎ付けになっていた。
 コキー大熊などは、
「昨日は、松宮の太もも思い出しながら三回こいたぞ」
 と喜んで言った。
 実際松宮は、学生時代短距離のスプリンターだったと言うだけあって、ほれぼれするような脚線美の持ち主だった。
 男子生徒は、このままずっと、現国の宮田が復職しないことを願っていた。
 
 松宮が男子生徒を乗せて走行中、スピード違反で捕まって懲戒免職になったと聞き、僕達を驚かせた。
 僕達をさらに驚かしたことには、松宮はアキの彼氏である仲田とモーテルに行った帰りに捕まったらしい。
 僕は、事件の結果に驚くよりも、なぜ松宮が仲田とモーテルに行ったのか、そのことばかり考えていた。
 仲田は僕が知っているだけでも、相当数の女と過去に付き合っていた。
 アキの前には、三年のバドミントン部の同級生を孕ませて、堕胎させている。また、他校の複数の女子とも付き合っていたはずだ。
 女狂いの仲田が、男好きの松宮に接近し、モーテルにいくというシナリオはいかにもありふれていて、しかし僕を、嫉妬に狂わすには十分だった。
「チキショウ、なんであいつみたいな男ばっかりがいい思いをするがぞ」
 僕は内心怒りの炎でメラメラしていた。
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