第6話 (番外編・森会長辞任の問題)問われるべきは女性蔑視問題?

文字数 1,222文字

              2021・2・14

 昨日辞任を表明した五輪パラ組織委員会の森会長だが、彼の年齢等に言及するマスコミは一社とて無かった。
 彼の年齢についてや況や彼が戦前の教育を受けている事はスルーして、各社共に女性蔑視発言にのみ焦点を当てているのだ。

 無論森会長の発言は許されない発言だ。
 しかし問われるべきは、誰が83歳の彼を組織委員会の会長に据えたのか、と、言う点ではなかろうか。
 7歳迄戦前の教育を受けた彼の常識である。
 或いは「道徳」の教科書ではなく、「修身」の教科書で教育を受けた彼の認識である。
 三つ子の魂百迄とするなら、彼の教科書が「道徳」ではなく「修身」であるるのと同様、彼の根底に有るのは、「日本国憲法」ではなく、「大日本帝國憲法」なのだ。
 ご存知の通り、「大日本帝國憲法」には男女平等も男女雇用機会均等法も謳われていない。
 畢竟彼に取って、「男女7歳にして席を同じゅうせず」であるならば、この間の謝罪会見時の様な発言も肯ける。
 謝罪会見をしない方が良かった、と、言う意見や、彼は自分の発言をどう思っているのか、と、言う意見もある。
 しかし戦前の教育を受けた者からすると、その程度で女性蔑視になるのか、と、本気で思っていても不思議ではない。

 確かにあの発言は時代にそぐわない問題発言だが、私は森会長に対してよりも森会長をその職に推した関係者全員と、組織委員会自体にこそ責任を問うべきだと思うのだ。
 それに少子高齢化により定年が65歳或いは70に先伸びしたとは言え、定年を遙かに越えた83歳の老人に仕事をさせているのである。
 聴く処に依ると組織委員会の会長職と言うのは身入りも悪く、かなり難しい職務内容なのだそうで皆が敬遠するらしい。
 そんな名誉だけの身ににならない職を辞退した川淵氏は、或るいは懸命だったと言えるのかも知れない。
 その事からすると森氏はお人好しで、頼まれたら首を横に振れない性格なのかも。
 しかしだからと言って83歳の老人に、そんなに辛い職を押し付けるのは如何なものか。
 これは彼を会長職に推した関係者全員と、組織委員会自体に責任があると思うが如何か。
 それにこんなに後任が決まらないのなら、職務内容と報酬に問題が有るとしか思えない。
 組織委員会の会長職の報酬や職務内容について、もう1度練り直して然るべきである。

 後一つ森氏の肩を持つ訳ではないが、森氏が戦前の教育を受けたのは彼が望んだからでは決してない。
 日本は大日本帝國だったのだから、彼にその教育を拒む事は出来なかったのである。
 つまりこの女性蔑視問題は大日本帝國が現代の常識にそぐわない、大日本帝國憲法憲法の上に成り立っていた国であったが故の問題、と、思うのだが如何か。
 国民全体で大日本帝國憲法と女性蔑視問題を考えるべきだと思う。
 今回の問題はそれに尽きると思うのだが。
 加えてこの問題は、自身にも日本と言う国を顧みる良い機会となった。


 
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