春の章ー3

文字数 1,042文字

千紗と香月が帰宅する、ちょっと前の話。

店先で二人を待っていた揚羽。

そして、二人が帰ってきて。

千紗、香月、おかえりなさい。

香月、今日おばさん、遅いんじゃろう。

一緒にご飯食べていきんさいな

ああ、すみません。

そう言えば今日母さん飲み会で遅くなるいってたな…

そうなん?夕飯どないすんつもりやった?
コンビニで適当に。
あー、からだに悪いで
おばさんも「どうせ香月はコンビニ弁当で適当に済ませそうだから、無理にでも食べさせてね」っ言うとったよ
あんの、BBA…。

私がなに食べようと自由だろうに…。っていうか、なんかすみません。

一手間おかけしちゃって

愛されてんねえ

いやいや。しゃーなーよ。

どうせ二人分作るのも三人分作るのも一緒じゃし

愛されてるかどうかはともかく。

…いや、ありがとうございます。それなら、ご厚意に甘えます。

決まりだ決まりー。

ほな私着替えてくるさかい、それまで食べ始めんといてやー

まだ準備できとらんけぇ始まらんよ。

ゆっくり着替えといでー、焦って転けて怪我でもしたらせっかくの御飯が台無しじゃけぇの

どたどた、と店の奥へとかけていく千紗。

それを、【全くあの娘は】という感じで見守る揚羽と香月の二人。

まったく、そそっかしい娘よね。

学校でもあがいな感じなの?

あー、いえ。学校ではそんなことなく、ちゃんとやれてますよ。

むしろ、私のほうが学校ではあんな感じで。フォローされまくってます。

香月がそう言うと、少しびっくりた顔をする揚羽。
そうなの?
びっくりするでしょう?まあ、立場が人を変えるっていうのもあるんでしょうけれど。

うまく化かされてる感じがしますね。狐だけに。

狐だけに
言って恥ずかしくなったので、繰り返すのやめてもらってもいいですかね…。
そういって、顔を抑える香月。

そんな中、中学時代のジャージを着て店の方へでてくる千紗。

何々なんの話してるん?

千紗の学校での様子。

ちゃんとやれとるみたいで、わしゃ安心した。

えー、私疑われとったのー?

香月ー、うちがどれだけ有能か言うたってやー

壇上でパンツ丸見え
それ言うちゃあかんぇ!

あー…それやっちゃたの…?

いや、お店でもたまーにやっとるけれども

あー、やってますね。

で、お客様からよく言われてますね。

ち、ちゃうの?!ほんと、ただスカートの裾後ろの壁に引っかかってそれでちらっと、ちらっと見えただけやさかい

も、うちん話はもうええで?!御飯の準備してご飯食べよ?!

そういうとたたーとまた奥へ引っ込む千紗。

その後をやれやれ、と言った感じで追いかけていく揚羽と香月なのでした。

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登場人物紹介

藤林紗千。京都出身の関東住み。

狐の女の子。歳は216歳。女子高生。京都弁でしゃべる。香月が幼い頃こっちに引っ越してきた。

自分の家からも通えるが、揚羽の家に転がり込んで私服で通える高校にかよっている。


揚羽のことが好き。

楠木揚羽。広島出身の関東住み。

狸の女性。歳は257歳。

和服で雑貨屋を営んでいる。広島弁でしゃべる。


紗千のことは妹ぐらいには思っている。

篠崎香月

千紗、揚羽と幼馴染で現在、千紗と同じ高校に通う17歳。

高校は私服でもいいが制服があるのでそれを着ている。



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