第68話佐々木真鈴
文字数 1,280文字
佐々木真鈴にとって、陽平との婚約解消は、ショックでも何でもなかった。
確かに陽平は、幼なじみで、強い好感を持っていたのは事実。
しかし、アイドルコンサート爆破事件はともかく、風間組に出入りする写真を撮られたのは、不用意そのものと判断した。(許せなかった)
親から言われたのは、「一旦時間を置きましょう」だったが、真鈴は「陽平そのもの」への信頼と好感が失せてしまった。
「一旦時間を置く?」
「何時まで待てばいいの?わからないじゃない」
「私、年増のウェディングドレスなんて見せたくないもの」
(婚期が遅れることが、実は一番嫌だった)
次に「あてがわれた」のは、財務省主計局勤務、親が東都役員の土屋智だった。
真鈴は、東都物産役員秘書の陽平より、超一流官庁の土屋智のほうが、「立派で、世間に誇れる」と思った。
「いいよ、その人で」
見合い写真も見ないで、承諾した。
実際に土屋智の顏を見た時は、気が遠くなった。(既に手遅れだったが)
何しろ、見栄えがアウト。
秋葉原を歩く、丸ぽちゃメガネそのもの。(陽平の美貌と精悍さとは、雲泥の差)
歯もしっかり磨けないのか、虫歯だらけで、息も当然臭い。
会話も全くかみ合わない。
30歳になるのに、音楽、文学の知識は、まるでない。(アニメには詳しいようだ)
スポーツもできないらしい。
運転免許もなかった。(母親を運転手にしていた)
ただ、土屋家は東都の大株主である。(福田家から強制的に奪い取ったため)
今さら婚約破棄は難しかった。
気が強い真鈴は、土屋智に、強く言い渡した。
「あなたと生活は共にしません」
「戸籍も別のままです」
「どこかから、優秀な養子を迎えます」
「あなたと、子供はつくりません」
(本音だった、実は一秒でも接したくなかった)
土屋智は、卑屈だった。
「・・・それでもかまいません」
「僕なんかを、選んでいただいて・・・それだけで」
「真鈴様は、真鈴様の生活をお楽しみください」
(真鈴が顏をそむけると、うなだれて帰ってしまった)
(智の両親は、「こんな息子で」、と深く頭を下げて、真鈴に謝った)
福田家全焼は、父健治から聞いた。
「放火らしい」
「迷惑系ユーチューバーとか・・・逮捕に至っていない」
「三人とも、どこかに避難したらしい」
「地下室から地下道で逃げたのかな」
真鈴は、どうでもよかった。
「もう、あの一家と関係ないでしょ?」
「それより、土屋家に譲渡された株を、佐々木家で引き取れない?」
「何か因縁をつけて」
父健治は、腕を組んだ。
「まあ・・・土屋も清水一家の子分の系統」
「ただ・・・少し間をおいて・・・」
「連続は東都のイメージも悪くなる」
真鈴が、そんな話を終えて、自分の部屋に戻ると、役員秘書の花沢日奈子から電話が入った。
(花沢日奈子は女子大の後輩、何でも話し合える仲)
「真鈴さん、東都のネットが炎上しています」
真鈴は、首を傾げた。
「東都で対応すればいいでしょ?何で私に?」
花沢日奈子の声が震えた。
「いや・・・東都を誹謗中傷するサイトで・・・」
「あの・・・真鈴さんが、大炎上です」
真鈴は、首を傾げたまま、そのサイトを見た。
(顏は真っ青、そのまま床に座り込んでいる)
確かに陽平は、幼なじみで、強い好感を持っていたのは事実。
しかし、アイドルコンサート爆破事件はともかく、風間組に出入りする写真を撮られたのは、不用意そのものと判断した。(許せなかった)
親から言われたのは、「一旦時間を置きましょう」だったが、真鈴は「陽平そのもの」への信頼と好感が失せてしまった。
「一旦時間を置く?」
「何時まで待てばいいの?わからないじゃない」
「私、年増のウェディングドレスなんて見せたくないもの」
(婚期が遅れることが、実は一番嫌だった)
次に「あてがわれた」のは、財務省主計局勤務、親が東都役員の土屋智だった。
真鈴は、東都物産役員秘書の陽平より、超一流官庁の土屋智のほうが、「立派で、世間に誇れる」と思った。
「いいよ、その人で」
見合い写真も見ないで、承諾した。
実際に土屋智の顏を見た時は、気が遠くなった。(既に手遅れだったが)
何しろ、見栄えがアウト。
秋葉原を歩く、丸ぽちゃメガネそのもの。(陽平の美貌と精悍さとは、雲泥の差)
歯もしっかり磨けないのか、虫歯だらけで、息も当然臭い。
会話も全くかみ合わない。
30歳になるのに、音楽、文学の知識は、まるでない。(アニメには詳しいようだ)
スポーツもできないらしい。
運転免許もなかった。(母親を運転手にしていた)
ただ、土屋家は東都の大株主である。(福田家から強制的に奪い取ったため)
今さら婚約破棄は難しかった。
気が強い真鈴は、土屋智に、強く言い渡した。
「あなたと生活は共にしません」
「戸籍も別のままです」
「どこかから、優秀な養子を迎えます」
「あなたと、子供はつくりません」
(本音だった、実は一秒でも接したくなかった)
土屋智は、卑屈だった。
「・・・それでもかまいません」
「僕なんかを、選んでいただいて・・・それだけで」
「真鈴様は、真鈴様の生活をお楽しみください」
(真鈴が顏をそむけると、うなだれて帰ってしまった)
(智の両親は、「こんな息子で」、と深く頭を下げて、真鈴に謝った)
福田家全焼は、父健治から聞いた。
「放火らしい」
「迷惑系ユーチューバーとか・・・逮捕に至っていない」
「三人とも、どこかに避難したらしい」
「地下室から地下道で逃げたのかな」
真鈴は、どうでもよかった。
「もう、あの一家と関係ないでしょ?」
「それより、土屋家に譲渡された株を、佐々木家で引き取れない?」
「何か因縁をつけて」
父健治は、腕を組んだ。
「まあ・・・土屋も清水一家の子分の系統」
「ただ・・・少し間をおいて・・・」
「連続は東都のイメージも悪くなる」
真鈴が、そんな話を終えて、自分の部屋に戻ると、役員秘書の花沢日奈子から電話が入った。
(花沢日奈子は女子大の後輩、何でも話し合える仲)
「真鈴さん、東都のネットが炎上しています」
真鈴は、首を傾げた。
「東都で対応すればいいでしょ?何で私に?」
花沢日奈子の声が震えた。
「いや・・・東都を誹謗中傷するサイトで・・・」
「あの・・・真鈴さんが、大炎上です」
真鈴は、首を傾げたまま、そのサイトを見た。
(顏は真っ青、そのまま床に座り込んでいる)