6-7
文字数 1,264文字
食卓にはたくさんのものが置かれていた。人数分の皿はなく、紙皿なんかも用意されている。料理についも、父さんが買ってきた惣菜を加えて、なかなかの品数が揃った。急ごしらえなのにパーティーみたいだった。
「いただきまーす」
総勢七人の食卓は、母さんを大いに喜ばせた。父さんも女の子ばかりで嬉しそうだ。
「唯奈ちゃん、誕生日おめでとー!」
母さんが沸かせると、口々に唯奈は祝われていく。僕も昨日渡しそびれたプレゼントを渡した。
「今日、家は大丈夫なの? 誕生日会」
「ハジメたちを探すときにもう断ってたよ。明日にするって」
それは悪いことをしてしまった。でも、今唯奈がとても楽しそうなので許してほしい。
「はいはい、ここで重大発表がありまーす」
お酒を飲んでいないのにテンションが高い母さんがそう言うと、みんなは注目する。
「その一! 紅ちゃんはうちで暮らすことになります!」
「えー!?」
口々に驚いた声があがる。なぜか、当の本人からもあがっていた。
「前から言ってたでしょう?」
以前していたのは、この話だったのだろうか。初耳だ。それにしても、なぜ紅ちゃんもこんなに驚いているんだ。
「私、返事してないけど……」
「紅ちゃんに拒否権はありません。こんな問題を起こしたんだから!」
「う……」
叱られるように言われると、紅ちゃんは気まずそうに俯いた。母さんはにっこりと笑う。
「紅ちゃんのお父さんにもそう言っておくからね。決定」
紅ちゃんは僕を見つめる。いいのか? といったところだろうか。
「紅ちゃんには首輪付けとかなきゃいけないからね」
と僕が言うと、紅ちゃんはまたがっくりとうなだれた。紅ちゃんと同居する。うちには部屋が余っているから、確かにちょうどいいと思った。
「ちゃんと監視されないと駄目でしょうからね、ちょうどいいでしょ」
「てか、紅輝は一人暮らしに向かなさすぎ」
「二人に用事があるときは一石二鳥ですねー」
みんなにもそんな軽口を言われてしまう。もう本当に拒否権はなくて、紅ちゃんは頷くしかない様子だった。決定、ということだ。
「その二は?」
唯奈が聞いた。母さんは今度は悪戯っぽい笑顔になる。
「ハジメがねぇ……」
なぜか出たのは僕の名前だった。母さんは言葉を溜めて、みんなの反応を待った。
「僕が、何?」
不満に思ってそう言うと、母さんは咳払いをした。
「ハジメが……お兄ちゃんになります!」
父さん以外のみんなが、思考が追いつかないというように固まってしまう。一番追いついていないのは、多分僕だった。
「どゆこと?」
僕はバカみたいになって言った。母さんが自分のお腹を撫でると、反応が良かったのは千愛莉ちゃんだった。
「おめでとーございます! わあ、何ヶ月ですか!?」
「三ヶ月」
母さんは三本の指を立てた。つまりは、僕がこの三本の真ん中になるということだ。僕らは顔を見合わせてから、揃って驚きの声をあげた。
〇
「いただきまーす」
総勢七人の食卓は、母さんを大いに喜ばせた。父さんも女の子ばかりで嬉しそうだ。
「唯奈ちゃん、誕生日おめでとー!」
母さんが沸かせると、口々に唯奈は祝われていく。僕も昨日渡しそびれたプレゼントを渡した。
「今日、家は大丈夫なの? 誕生日会」
「ハジメたちを探すときにもう断ってたよ。明日にするって」
それは悪いことをしてしまった。でも、今唯奈がとても楽しそうなので許してほしい。
「はいはい、ここで重大発表がありまーす」
お酒を飲んでいないのにテンションが高い母さんがそう言うと、みんなは注目する。
「その一! 紅ちゃんはうちで暮らすことになります!」
「えー!?」
口々に驚いた声があがる。なぜか、当の本人からもあがっていた。
「前から言ってたでしょう?」
以前していたのは、この話だったのだろうか。初耳だ。それにしても、なぜ紅ちゃんもこんなに驚いているんだ。
「私、返事してないけど……」
「紅ちゃんに拒否権はありません。こんな問題を起こしたんだから!」
「う……」
叱られるように言われると、紅ちゃんは気まずそうに俯いた。母さんはにっこりと笑う。
「紅ちゃんのお父さんにもそう言っておくからね。決定」
紅ちゃんは僕を見つめる。いいのか? といったところだろうか。
「紅ちゃんには首輪付けとかなきゃいけないからね」
と僕が言うと、紅ちゃんはまたがっくりとうなだれた。紅ちゃんと同居する。うちには部屋が余っているから、確かにちょうどいいと思った。
「ちゃんと監視されないと駄目でしょうからね、ちょうどいいでしょ」
「てか、紅輝は一人暮らしに向かなさすぎ」
「二人に用事があるときは一石二鳥ですねー」
みんなにもそんな軽口を言われてしまう。もう本当に拒否権はなくて、紅ちゃんは頷くしかない様子だった。決定、ということだ。
「その二は?」
唯奈が聞いた。母さんは今度は悪戯っぽい笑顔になる。
「ハジメがねぇ……」
なぜか出たのは僕の名前だった。母さんは言葉を溜めて、みんなの反応を待った。
「僕が、何?」
不満に思ってそう言うと、母さんは咳払いをした。
「ハジメが……お兄ちゃんになります!」
父さん以外のみんなが、思考が追いつかないというように固まってしまう。一番追いついていないのは、多分僕だった。
「どゆこと?」
僕はバカみたいになって言った。母さんが自分のお腹を撫でると、反応が良かったのは千愛莉ちゃんだった。
「おめでとーございます! わあ、何ヶ月ですか!?」
「三ヶ月」
母さんは三本の指を立てた。つまりは、僕がこの三本の真ん中になるということだ。僕らは顔を見合わせてから、揃って驚きの声をあげた。
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