Phil Side
文字数 629文字
ヴォーカルのフィル・イェーツは親友ティムの死を受けてショックで寝込んだり、パートナーのルシンダが薬物で逮捕されたり、ヒューゴやジミーとの連絡も途絶えたりと悪いことが続き、音楽をやる気力をすっかりなくしてしまいました。
しかし、２０１７年３月中旬のこと。伝説級のロックバンド「Φ」（ファイ）のリーダー、ジョアキム・ウッド氏がフィルをカフェに呼んで話をしてくれたのです。
フィル、大切な仲間を失った悲しみ、お察しするよ。僕も、バンドメンバーの死を二度も経験している。今回もそれらのことを思い出して、胸と頭が締め付けられるように痛んだ
ジョアキムさん、僕、もう音楽をやっていく気が起きないんです……
う～ん…今の君だと、そんな気持ちになるのも無理はない。でもね、君らにはほかのバンドがまねできない音楽性がある
……
だから、君のバンドは確実に出世するだろう
で、でも、僕はもう音楽やめそうなんです…
今の君はそう言うけどね、君らが戻ってくるのを、僕はいつまでも待ってる
ジョアキムさんのこの発言を聞き、フィルは目頭が熱くなりました。
ジョアキムさん…僕、やっぱり音楽捨てません！音楽が好きですから！
（深くうなずいて）よく言った
それからおよそ３週間後、フィルはもう一度ジョアキムさんと相談をして、ソロでインディーズ活動し、その年の７月にメジャーデビューすることになりました。
（君が居なくても、僕は大好きな音楽で活躍する。そして、君が目指していた「ブレないミュージシャン」になるからな）
