第16話 侵略しにきたぞバカどもが!
文字数 3,140文字
俺達に与えられた任務は大地の聖剣を手に入れることだった。しかし勇者領も聖剣の場所は大雑把にしか把握できておらず、まずは大地の聖剣が祀られているダンジョンを探し出す必要がある。
「聖剣とか言われてもさぁ………霊験あらたかな場所にあるんじゃないの?伝説なんだから」
「そんな普通の発想じゃ見つかるものも見つからないよ。伝説なんだからむしろ変なところにあるんだよ」
「案外そこらへんに転がってるかも知んないっすよ?伝説なんてそんなもんっす」
三者三様の伝説を述べながら、俺とイリナ、黒垓君はあるかもしれない場所をのんびりと歩いて探していた。黒垓君は俺の監視役として同行しており、ずっと見られている気がして気持ちが悪い。
「こういう時にこそ魔剣に聞けば良いんじゃない?同じ聖剣だからわかりそうじゃん」
「もしかしたら王様はこういう事態を見越して魔剣を喋れるようにしたのかもしれないっすね」
たしかにそんな気がする。問題があるとすれば王様がロクな人間ではないってところだが…………八方塞がりなのだ、藁にもすがる気持ちでやってみよう。
「あのさぁ、大地の聖剣がどこにあるかわかる?」
「………………」
うーーむ、また無言である。こいつシャイだからマジで困るよなぁ。
「ミフィー君が話しかけるから悪いんじゃない?私が聞いてみるよ。…………大地の聖剣がどこにあるか教えて♡」
ぶりっ子で魔剣に話しかけるイリナ。
「………………」
まぁ無言だよなぁ。俺だって黙りたくなるもんこの状況。
「イリナ仕方ないよ、キツかったもん」
「こんなに可愛い子があざとくしてるのにキツイってなに!?」
「可愛すぎてキツいってことだよ。そのまんまんの方がいいよ、イリナは」
「お、おう………ありがとう」
「確かにあざとくしてると見るに堪えないっすね」
「俺があんなことしたら潔く切腹してるわ」
「あんたら切り刻まれたいの?」
魔剣を鞘に収めて俺らは歩く。近くの村に訪問して情報収集してもいいけれど、村人がそう簡単に情報を知っているとは思えない。伝説ですよ?簡単に見つかったら苦労しないじゃん。
「………黒垓君の魔力でなんとかなったりしないの?ほら、ワープの能力を応用して敵の場所を感知する的な………」
「一度登録したものならなんとでもなるっすけど、見たこともない魔力を感知するのはちょっと無理っすねー。オラの魔力は登録制なんで」
「じゃあ地道に見つけるしかないのか」
「大地の聖剣っていうぐらいだからさ、やっぱり地面に関係してそうだよね」
イリナが閃いたみたいだ。妙案得たりって感じの顔で聞いてくる。
「まぁそうだろうな………大地の聖剣って言われてそれが空に浮いてたら気持ち悪いもんな」
「てことはさ、地上か地下にあるわけじゃん?きっと」
「……………まぁ、多分」
ドゴォォオオオオンンンン!!!!
イリナが思いっきり地面を殴りつけた!!その威力は凄まじく半径100mが陥没し崩落!!大きな穴ができてしまう!!
「と、唐突になんてことしてんだお前!」
「やっぱり隠すなら地下かなーーって。ほら見てよ、この下に空洞あるよ」
凄まじく乱暴ではあるけれど、確かにイリナの言う通りだ。この大地の地下には広大な空間が広がっていた。
「この世界の地面は第一類勇者以上じゃないと破壊できないっすからねぇ。隠すには確かにピッタリっすね」
「そんな硬いのこの地面!?」
「そうっすよ。砂の一粒一粒に魔力が詰め込まれていて、それらが結合してますからね。下手な鎧つけるぐらいならここの岩盤を体に巻いた方が安全っすよ」
うへぇ………そんな硬いものをパンチ1発でぶっ壊すイリナの力は何なんだ。そしてそんなのにいつも殴られている俺の体は大丈夫なのか。心配が加速する。
「そういえば気になってたんだけど黒垓君って階級なんなの?第二類勇者?」
「第二類勇者がそんなウジャウジャいるわけないじゃないっすかー。オラは第一類勇者っすよ」
「それでも十分すごいけどね。…………てっきり、王様を守っているって言ってたから第二類勇者かなって思ったんだよ」
王様を守るガーディアンフォースの1人だと言ってからなぁ。王様を守るって言うぐらいだから、1番高い階級の人間が勤めてるのかなって思っちゃうじゃん。
「勇者の中で1番強いのが王様っすからねぇ。そんなクソ強いクソジジイを最高戦力を使って守る必要なんてないんすよ。そういうのは第一類勇者ぐらいで十分なんす」
「うーーん、そういうもんなのか」
「そういうもんなんすよ。王様を守るぐらいなら魔族倒してる方が有意義だってことっす。オラ達なんてお留守番任せられてるだけっすよ。メチャクチャ強いわけじゃない」
それでも最重要基地を守ってるんだから本当はかなり強いんじゃ…………あれか、能ある鷹は爪を隠す的なやつか。カッコいいじゃないか。
「あれ?でもガーディアンフォースって4人しかいないんじゃなかった?私の覚え間違い?」
4人でお留守番してるの!?やっぱり強いんじゃないの!?
「いやあってるっすよ。ただ2年前に1人行方不明になって、しかも昨日、昴 が謀反起こしちゃったので今は2人しかいないすけど。」
「ええぇ!?昴さんってそんな重要なポジションにいたの!?」
絶対に謀反しちゃいけない人間がしちゃってるじゃん!つーかガーディアンフォースがたがただな!?半分しか残ってないってヤバいじゃん!
「実質2人でガーディアンフォース張ってるとかやっぱり強いんじゃないの黒垓君!!」
「いや、4人だろうと2人だろうとお留守番するのに差し支えないっすからね。ただ待ってるだけっすよ?みんなの帰りを。温かい料理を作って」
「みんなの料理を2人だけで作ってるなんてどんだけ調理スキルが高いんだ!あっけぇなぁ!」
「なにこの会話…………」
ぬぅっ…………
会話をしているとイリナが作った穴から魔物が1匹出てきた。
「ふっふっふっ………世間知らずの馬鹿がようやくこの封印を解いてくれたようだ。100年ぶりに侵略を開始するぜぶっ!!」
イリナの鉄鎚が炸裂し、魔物は地下深くへと落ちて行った。
「………さて、この下に大地の聖剣があるわけじゃん?」
「今の感じからしてないと思うのは俺だけ?スルーしちゃいけないやつだよ今の」
侵略がなんちゃら言ってる奴を野放しにするのはまずくないか流石に。
「この大地の下の空洞って絶対よくわからないやつ封印してたじゃん!イリナが軽はずみに封印解いちゃったやつじゃん!俺やだよこんなんで責任問われて首吊るの!ただですらリーチなんだから!」
これ以上勇者領に迷惑かけたら処分する言われてるのになんだよこれ!絶対迷惑でしかないじゃんこんなやつ!
「う、うるさいなぁ。今から滅ぼせばいいんでしょ、この地下にいる奴」
「そんな簡単に一族郎党を滅ぼそうとするんじゃない!一応お前勇者だからね!?」
「オラは嫌いな魔物を滅ぼすために勇者になったところあるから、イリナさんの考え方には賛成っすね」
「なんで君達ってそんなに過激思考なの!?」
「気に入らない奴は」「滅ぼす」「それが勇者のやり方だよ」
2人で息合わせてハモらせてるんじゃねーよ!
俺がツッコもうとしたとき、イリナと黒垓君が穴に飛び込んだ!2人はあっという間に落ちていき、すぐに姿が見えなくなった。
…………いやおかしいって。そんな簡単に魔物を滅ぼそうとするのもそうだけど、底が見えない穴にダイブする神経がわからない。深すぎたらどうするんだ?ただの投身自殺になるんだぞ。
「………あーもーわかったよ!いけばいいんだろいけば!」
痺れを切らした俺は穴の中に飛び込んだ。
「聖剣とか言われてもさぁ………霊験あらたかな場所にあるんじゃないの?伝説なんだから」
「そんな普通の発想じゃ見つかるものも見つからないよ。伝説なんだからむしろ変なところにあるんだよ」
「案外そこらへんに転がってるかも知んないっすよ?伝説なんてそんなもんっす」
三者三様の伝説を述べながら、俺とイリナ、黒垓君はあるかもしれない場所をのんびりと歩いて探していた。黒垓君は俺の監視役として同行しており、ずっと見られている気がして気持ちが悪い。
「こういう時にこそ魔剣に聞けば良いんじゃない?同じ聖剣だからわかりそうじゃん」
「もしかしたら王様はこういう事態を見越して魔剣を喋れるようにしたのかもしれないっすね」
たしかにそんな気がする。問題があるとすれば王様がロクな人間ではないってところだが…………八方塞がりなのだ、藁にもすがる気持ちでやってみよう。
「あのさぁ、大地の聖剣がどこにあるかわかる?」
「………………」
うーーむ、また無言である。こいつシャイだからマジで困るよなぁ。
「ミフィー君が話しかけるから悪いんじゃない?私が聞いてみるよ。…………大地の聖剣がどこにあるか教えて♡」
ぶりっ子で魔剣に話しかけるイリナ。
「………………」
まぁ無言だよなぁ。俺だって黙りたくなるもんこの状況。
「イリナ仕方ないよ、キツかったもん」
「こんなに可愛い子があざとくしてるのにキツイってなに!?」
「可愛すぎてキツいってことだよ。そのまんまんの方がいいよ、イリナは」
「お、おう………ありがとう」
「確かにあざとくしてると見るに堪えないっすね」
「俺があんなことしたら潔く切腹してるわ」
「あんたら切り刻まれたいの?」
魔剣を鞘に収めて俺らは歩く。近くの村に訪問して情報収集してもいいけれど、村人がそう簡単に情報を知っているとは思えない。伝説ですよ?簡単に見つかったら苦労しないじゃん。
「………黒垓君の魔力でなんとかなったりしないの?ほら、ワープの能力を応用して敵の場所を感知する的な………」
「一度登録したものならなんとでもなるっすけど、見たこともない魔力を感知するのはちょっと無理っすねー。オラの魔力は登録制なんで」
「じゃあ地道に見つけるしかないのか」
「大地の聖剣っていうぐらいだからさ、やっぱり地面に関係してそうだよね」
イリナが閃いたみたいだ。妙案得たりって感じの顔で聞いてくる。
「まぁそうだろうな………大地の聖剣って言われてそれが空に浮いてたら気持ち悪いもんな」
「てことはさ、地上か地下にあるわけじゃん?きっと」
「……………まぁ、多分」
ドゴォォオオオオンンンン!!!!
イリナが思いっきり地面を殴りつけた!!その威力は凄まじく半径100mが陥没し崩落!!大きな穴ができてしまう!!
「と、唐突になんてことしてんだお前!」
「やっぱり隠すなら地下かなーーって。ほら見てよ、この下に空洞あるよ」
凄まじく乱暴ではあるけれど、確かにイリナの言う通りだ。この大地の地下には広大な空間が広がっていた。
「この世界の地面は第一類勇者以上じゃないと破壊できないっすからねぇ。隠すには確かにピッタリっすね」
「そんな硬いのこの地面!?」
「そうっすよ。砂の一粒一粒に魔力が詰め込まれていて、それらが結合してますからね。下手な鎧つけるぐらいならここの岩盤を体に巻いた方が安全っすよ」
うへぇ………そんな硬いものをパンチ1発でぶっ壊すイリナの力は何なんだ。そしてそんなのにいつも殴られている俺の体は大丈夫なのか。心配が加速する。
「そういえば気になってたんだけど黒垓君って階級なんなの?第二類勇者?」
「第二類勇者がそんなウジャウジャいるわけないじゃないっすかー。オラは第一類勇者っすよ」
「それでも十分すごいけどね。…………てっきり、王様を守っているって言ってたから第二類勇者かなって思ったんだよ」
王様を守るガーディアンフォースの1人だと言ってからなぁ。王様を守るって言うぐらいだから、1番高い階級の人間が勤めてるのかなって思っちゃうじゃん。
「勇者の中で1番強いのが王様っすからねぇ。そんなクソ強いクソジジイを最高戦力を使って守る必要なんてないんすよ。そういうのは第一類勇者ぐらいで十分なんす」
「うーーん、そういうもんなのか」
「そういうもんなんすよ。王様を守るぐらいなら魔族倒してる方が有意義だってことっす。オラ達なんてお留守番任せられてるだけっすよ。メチャクチャ強いわけじゃない」
それでも最重要基地を守ってるんだから本当はかなり強いんじゃ…………あれか、能ある鷹は爪を隠す的なやつか。カッコいいじゃないか。
「あれ?でもガーディアンフォースって4人しかいないんじゃなかった?私の覚え間違い?」
4人でお留守番してるの!?やっぱり強いんじゃないの!?
「いやあってるっすよ。ただ2年前に1人行方不明になって、しかも昨日、
「ええぇ!?昴さんってそんな重要なポジションにいたの!?」
絶対に謀反しちゃいけない人間がしちゃってるじゃん!つーかガーディアンフォースがたがただな!?半分しか残ってないってヤバいじゃん!
「実質2人でガーディアンフォース張ってるとかやっぱり強いんじゃないの黒垓君!!」
「いや、4人だろうと2人だろうとお留守番するのに差し支えないっすからね。ただ待ってるだけっすよ?みんなの帰りを。温かい料理を作って」
「みんなの料理を2人だけで作ってるなんてどんだけ調理スキルが高いんだ!あっけぇなぁ!」
「なにこの会話…………」
ぬぅっ…………
会話をしているとイリナが作った穴から魔物が1匹出てきた。
「ふっふっふっ………世間知らずの馬鹿がようやくこの封印を解いてくれたようだ。100年ぶりに侵略を開始するぜぶっ!!」
イリナの鉄鎚が炸裂し、魔物は地下深くへと落ちて行った。
「………さて、この下に大地の聖剣があるわけじゃん?」
「今の感じからしてないと思うのは俺だけ?スルーしちゃいけないやつだよ今の」
侵略がなんちゃら言ってる奴を野放しにするのはまずくないか流石に。
「この大地の下の空洞って絶対よくわからないやつ封印してたじゃん!イリナが軽はずみに封印解いちゃったやつじゃん!俺やだよこんなんで責任問われて首吊るの!ただですらリーチなんだから!」
これ以上勇者領に迷惑かけたら処分する言われてるのになんだよこれ!絶対迷惑でしかないじゃんこんなやつ!
「う、うるさいなぁ。今から滅ぼせばいいんでしょ、この地下にいる奴」
「そんな簡単に一族郎党を滅ぼそうとするんじゃない!一応お前勇者だからね!?」
「オラは嫌いな魔物を滅ぼすために勇者になったところあるから、イリナさんの考え方には賛成っすね」
「なんで君達ってそんなに過激思考なの!?」
「気に入らない奴は」「滅ぼす」「それが勇者のやり方だよ」
2人で息合わせてハモらせてるんじゃねーよ!
俺がツッコもうとしたとき、イリナと黒垓君が穴に飛び込んだ!2人はあっという間に落ちていき、すぐに姿が見えなくなった。
…………いやおかしいって。そんな簡単に魔物を滅ぼそうとするのもそうだけど、底が見えない穴にダイブする神経がわからない。深すぎたらどうするんだ?ただの投身自殺になるんだぞ。
「………あーもーわかったよ!いけばいいんだろいけば!」
痺れを切らした俺は穴の中に飛び込んだ。