ユウナは最大の過ちに気づいた。

文字数 9,187文字

※ユウナ

私は今ここで徹底的な自己批判をします。
私は実戦で全く役に立たないどころか、
みんなの足手まといになってしまいました。

私は最低の女です。学園では教頭面して偉そうにしていながらも、
しょせんはゆとり世代の、根性なしのゴミだったのです。
私は誰よりも自分自身に絶望しました。
私は今日、この孤島の基地で死ぬのでしょう。

『ユウナ。今度の出張先は危険じゃないの?
 あなたは人を指示できる立場の人なんだから、
 あなたが危険な目に合うことはないのよ』

優しかった母の言葉を思い出し、涙があふれてくる。
思えば孤島での鉄人作戦を思いついた時から、
私の運命は決まっていたのだろう。

「ユウナ、ユウナっ」
「あんっ。兄さんっ……兄さんっ……そんなに吸ったら……」

ナツキ兄さんは、愚かな私に同情してくれたのか、
初めて私の肌に触れてくれた。胸を乱暴に揉み、乳首にキスをする。
私のピンと張った乳首に赤ちゃんのように吸い付いてくるから、
全身から力が抜けちゃう。私が膝立ちになると彼が支えてくれて、
今度は熱いキスをプレゼントしてくれた。

舌の先が絡み合う。溶けちゃいそうな熱い口づけだった。
兄さんはズボンを脱ぎ、いきり立ったものを見せつけてくる。
私に丁寧に舐めろというので、やったことなくて不安だったけど、
同人誌とかで見たのを真似して口にはさんでみた。
歯でかまないように気を付けながら舌で舐めてあげると、
兄さんは気持ちよさそうな顔をするのだった。


※アユミ

「あーあ。お兄ちゃんが取られちゃったなー」

「何よアユミ、邪魔しないでくれる?
 あんたはいつもナツキを独り占めしてたんでしょうが」

「姉さんみたいにフェラはしたことないよ。
 私はいっつもお兄ちゃんに一方的に愛撫されるだけで
 私からは何もしたことないもん。てゆーかさせてくれない」

だから妊娠したこともない。実は兄さんもその辺は
考慮してるのか、挿入されたことは一度もない。
変態さんなのに肝心なところで理性的なのは、さすがボリシェビキ。

「アユミ。お前もこっちに来なさい」

言われたとおりにすると、お兄ちゃんは私の唇を奪ってきた。
軍服の上着を脱がせて、胸をあらわにされる。
パンツの中に手を侵入させ、あそこの毛をなでてくる。

「んっ」
私は簡単に濡れてしまい、兄さんの指がすっぽりと挿入されてしまう。
いつもこんな感じで、あとは私がイクまで兄さんの指が出し入れされる。
両足を肩幅に開き、パンツは膝の位置まで脱がされていて、秘所は丸見えになっている。

「あっ、あっ。だめっ……。こんな……とこでっ……
 みんなみてるっ……のにっ……きもちっ……」

ぴちゃぴちゃと音を立てて、愛液がこぼれていく。
私は成すすべもなく脱力して兄さんの肩につかまったままの状態でイッてしまった。

兄さんはびっしょりと濡れた自分の手を愛おしそうに舐めた。
一度では足りなかったのか、また兄さんが私の中に
指を突っ込んできたので、今度は床に力なくしゃがんでしまう。

「アユミ……。僕がどれだけお前のことを愛してるか、分かるか?」
「あぅ……さっき……イッた……ばかりなのにっ……ああっ……」
「本当ならお前を妊娠させてやりたいくらいに好きなんだ」
「そんなっ……ああっ……はげしっ……そんなにしたらっ……またっ……」

Gスポットをぐりぐりとされながら、私はあえぐしかなかった。
はしたないとわかっていながらも、大きすぎる声を漏らしてしまう。

「ああああ!! もうイッってるからっ!!
 お兄ちゃんっ……もうやめてっ……!!」

体全体をびくびくと震わせながら、愛液が吹き出していく。
兄は意地悪なのでイッてる最中も愛撫を止めてくれなかったのだ。
余韻でぐったりしている私に兄はのしかかり、
私の口の周りについた唾液を舐めとっている。
手はしっかりと私の胸のふくらみを触りながら。

ユウナは、自分もしてほしそうな顔でナツキの腰にしがみついている。

「ナツキお兄ちゃん。わたしね、ナツキお兄ちゃんの子供が欲しいの……。
 私ならどれだけ乱暴にしてくれてもいいよっ……。
 だから、ね? 私を妊娠させて……」

兄はユウナには遠慮がないからなのか、
股を大きく開かせて男性器を挿入してしまった。

「あああっ!! 痛いっ……でも兄さんのだからっ……我慢できるっ……」

初めてだったんだろうね。ふとももが血が汚れてるに笑顔なのがすごい。
兄さんはボロボロと涙を流しながらピストン運動をしていた。
さすがに実の妹にやりすぎかと、ためらう表情に汗がにじむ。

「やめちゃだめええ!! せっかく兄さんとつながったのよ!!
 お願いよぉおお!! 最後までして!!」

ユウナは豚のくせにすごく色っぽい顔で兄さんの手首をつかんだ。
そして自分の胸へと誘導して、好きに触らせた。
こいつはデブだからか、無駄に胸が大きい。

兄さんは手のひらに収まりきらないほどの胸に感動したのか、
目つきが狂暴になり鼻息が荒くなる。
激しい挿入を再開した兄さんは、あっという間に絶頂に達してしまう。
ユウナのぴったりと閉じたあそこから白い液体が垂れるのだった。

「痛かっただろうユウナ?」
「うん。でも兄さんだから怖くなかったよ」

二人は手の平を重ね合い、熱烈なキスをした。
優菜は胸やふとももを夏樹に押し付けるようにしながら
しがみついており、もはや夫婦とも愛人とも表現できぬ、
未知のカップルが完成していた。

ところで他の訓練兵たちは、カイジの顔をして固まるいつもの
流れになっている。たぶん私も見てる側だったらそうなる自信ある。

ぱぁんと
銃声がして誰かが倒れた。兵隊が自殺でもしたのか。
もう確認する気にすらならない。私はティッシュで股を念入りに拭いた。

「あんなの見せつけられて、こっちは生殺しじゃないか。
 運命を呪ってやる!! 僕だってどうせ死ぬなら、
 かわいい女の子とキスしてから死にたかったぞ!!」

と言って水谷さんは外へ出て、爆弾の破片が首に刺さって即死した。
戦死判定確実のトオルさんに続いて二人目の死者だ。

アヤが妙におとなしいと思ってたら、なんとすでに自殺していた。
さっきの銃声はこの子のだったんだ。
銃口を口の中に差し込んで発射したみたいで即死だった。

アヤは早熟な子だけど高校生に過ぎない。
うちの兄の痴態をあれほど見せられたら無理もないか。

ルナちゃんとアツトさんは、隣通しで体育座りしながら
幼稚園時代の思い出話をしていた。(二人とも全裸で)
アリサさんは、力なく床に座り込んで、ただぼーっとしている。

今も地上では爆音がうるさくて天井が揺れている。
ろうそくの明かりがなくなれば、
いよいよ視界が奪われ絶望するしかない。

アヤの死体を見て、ふと死ぬのが怖くなった。

ユウナは、兄にしがみついて自分の不幸を呪っている。
お兄ちゃんも閉じた瞳から涙がこぼれてる。
私には大人になった兄が泣いている姿を始めてみた。
胸がきゅんとした。男の人もやっぱり泣くんだね。

私も最後は兄にしがみついて死のうと、
兄さんの背中から抱き着いてみる。
正面から抱き着いているユウナの指先が邪魔で
蹴飛ばしてやりたいけど、今日が人生の最後の日なんだから我慢。

私は目を閉じて、ろうそくの灯が消えるのを待っていた。

ここで不思議なことが起きるのだった。
どこからか大きな男性の笑い声が聞こえてきた。

護衛の兵隊はみんな自殺してる。
アツトさんは静かにラブコメ中だし、兄さんは泣いてるし、
これほどの修羅場で笑える勇者はいったい……。

「ふはははは。ボリシェビキの同志諸君。
 諸君らのような未来ある若者が、これしきのことで
 絶望するようではボリシェビキの理想は貫けなんなぁ。
 実に……実に……実に嘆かわしいぞ。諸君!!
 そこにいる娘よ。お主は私の名前を知っているだろうか」

そこにいるのは、かつてのソ連邦建国の英雄にして
初代人民委員会議の議長、
革命家のウラジーミル・イリイチ・レーニンの幽霊だった。

レーニンはろうそくの灯の中にいた。
ろうそくがレーニンなのか。
レーニンがろうそくになったのか。
こたえは分からない。

レーニンのサイズは、その辺のスーパーで売られている、
ワンピースの食玩のフィギュアと同じくらい。
なんというミニチュアサイズの同志よ。
幽霊なのにフィギュアサイズとはさすがボリシェビキ。

「娘よ。問いに答えよ」
「はっ。お初にお目にかかります。同志レーニン」

かつてスペインの画家、サルバドール・ダリは、
ピアノの演奏中にレーニンの幽霊を見たことがあるという。
『ピアノに出現したレーニンの幻影』というタイトルの名画である。
私の目の前で発生した謎の現象は、同絵画が元ネタになっている。

私はとりあえず兄に脱がされた服を元通りにしてから
レーニンと会話することにした。

「同志レーニン閣下。状況は絶望的です」

「ヤパニッシュ・ソルビコム(日本政府)
 の軍隊に包囲されているのだろう」

「そうです。我々は反撃の手段がありません」

「それが間違いなのだ」

「はっ?」

「今ここに何人の人間がいる?」

「生きている人間でしたら、私と兄と姉、
 アツトさんとルナちゃん。それとアリサさん。
 以上の六名です。他は戦死しました」

「ふはははっ。六人もいれば上等なものよの」

「私には……少なすぎる戦力に思えますが」

「重要なのは人数ではない。意志の力だ。
 君はボリシェビキの一員か? 日本が起点となり
 世界で同時に革命を起こし、産業資本家の奴隷として
 生かされている全ての民を開放するために、
 自らの生命を財産を犠牲にする覚悟があるかね?」

正直言って、そんな覚悟はなかった。
私は兄の影響で小六の時から共産主義の勉強を始めて、
中二の時にドはまりしたけど、結局飽きてしまった。

中学の社会の先生が言ってた。
資本主義が悪なのはみんな知っているけど、社会の必要悪として
認知されている。結局人類がどれだけ頑張って社会を作っても、
資本主義以上に合理的な世の中は作れなかったから仕方ないと。

私は大学を出て二年経つ。資本家の奴隷として働きたくないので
就職はせず、兄と姉のお給料で食べさせてもらっている。
今は共産主義について考えるよりも、プレステ5で遊んでいた方が楽しい。

「意志の力と言われましても……」

「ソ連建国時に比べたら、この程度の数的劣勢などあってなしのごとしだ」

ソ連建国時の1914年。第一次大戦でドイツに敗戦したソ連は、
領土、人口のおよそ30パーセント、鉱物資源のおよそ60パーセントを奪われた。
その後は内乱が発生。コルチャーク、デニーキンらの反乱軍と戦いながら
国内の反対主義者を粛正し、西部国境から攻めてくるポーランド軍を
迎え撃った。そしてシベリアには日本軍が上陸し(シベリア出兵)、
さらに北方ソ連にも列強国の軍隊が上陸して共産主義革命を防ごうとした。

あの当時、世界は西洋列強によって支配されていた。
世界の秩序は帝国主義諸国が作りあげ、
資本家の利潤を追求するために植民地支配が行われていた。

ソビエトは、地球人類を悪の支配から救うために立ち上がった。
生まれたばかりのソビエト社会主義共和国連邦は、
地球上の全兵力を敵に回しながらも、最後まで屈することなく、
革命を守るために戦ったのだ。

「我々ボリシェビキの歴史の中で、内戦時より辛いことはなかった。
 そして何よりドイツが恐ろしかった。私は今までの人生で
 ドイツより恐ろしい敵に出会ったことはない」

二度の世界大戦があった。いずれもドイツ軍によってソ連は
国家滅亡の一歩手前まで追い詰められたのだ。
ソ連軍が存続したことは、歴史上の奇跡であるといっていい。

レーニンはそう熱弁するけど、私たち孤島に追い詰められた
ボリシェビキもソ連に負けてないくらいの絶望的状況だよ。

「トロツキーが組織したばかりの頃の赤軍は、
 農民と工場労働者ばかりでな。
 素人の兵隊の寄せ集めで戦ったのだ。
 それに比べて諸君らは恵まれているぞ」

「私たちも素人なのですが」

「鉄人28号があるではないか」

「あれはリモコンがないと動きませんよ」

「安心しなさい。私がリモコンだ」

レーニンは、管弦楽団の指揮者がもつ指揮棒を手にして
激しく振り始めた。すると鉄人が格納庫から
「ごおおお」とか言いながら出撃を始める。

『グリコ、グリコ、グーーリーーコーーー♪』←鉄人のテーマソング。

背中に積んだジェットエンジンの噴射で森の樹木が葉を散らす。
鉄人は島を飛び越え、沿岸にいる敵の艦隊に向けて突撃をかけた。
しかし、敵の数があまりにも多かった。
潜水艦も含めて40隻を超える大艦隊だった。
どうやら海上自衛隊の全戦力が展開されているようだ。

鉄人の背中のエンジンをめがけて敵のミサイル攻撃が集中した。
ジェットエンジンが破壊され、浮力を失った鉄人は海の中に突っ込んだのだった。

鉄人は重いので海中から自力で上がることはできない。
そこへ追い打ちをかけるように、潜水艦の魚雷が発射された。
にごった爆発音の後、閃光と共に海面が盛り上がるのだった。

      ~~私たちの抵抗~~
      
         終わり (^^)/ 著作:制作 ボリシェビキ

さて。そろそろ自殺の準備をしないと。

「同志レーニン閣下。閣下は現状をどうご覧になりますか?」

「まだ戦いに負けたわけではない。
 なぜなら我々は降伏をしていないからだ」

戦争は、最後は歩兵部隊が拠点を制圧するまで終わらない。
あるいはこちらが空爆で戦意を失い、
降伏してしまえばそれまでだが、我々にはまだ戦う意思がある。
(レーニンだけ)

「若き女性同志よ。君ならどうやって戦う?」
「……敵が地下室に入ってきたところを銃で迎え撃つ?」
「それ以前に敗北する。出入り口付近にガス弾を発射されて終わりだ」
「じゃあ、どうして私たちを戦わせようとするんですか」
「君たちにはまだ最後の武器が残っているからだ」
「最後の……武器……?」
「我々がボリシェビキであることだ」

うん……。それって気持ちの持ちようだよね?
こんな危機的状況で精神論を言われてもな。
これだからオールドボリシェビキ世代の人は困るよ。

「心に念じるのだ。我々の革命は、こんなところで終わるべきではない。
 私はレーニンである。社会主義国の父として、後世にまで名前が刻まれた。
 私がなぜ不可能を可能にしたかわかるかね?
 それはもはや人知の及ぶことではない!! 私はボリシェビキであり
 今後もボリシェビキであること、そしてソ連に住む全人民が
 ボリシェビキの党のために、生命と財産を投げうつことを期待したからだ!!」

海が荒れた。
鉄人が落ちたあたりで大きな渦を巻き、
海中から何かが現れようとしていた。
この流れだとゴジラを期待したい。

「私もボリシェビキの未来を信じる!!」

アリサさんだ。指導者レーニンの前で祈るポーズをしている。

「私は死ぬのが怖い。軍隊が怖い!! 拷問や粛清も怖い!!
 死ぬまで資本主義の奴隷として生きるのも怖い!!
 でも今私にとって一番幸せなことがある!!
 それは、生きていること!! 今私の心臓が鼓動してる。
 言いたいことを自由に発言できる!! それだけで私は
 幸せなんだって、今はじめて気づいた!!」

「俺様も同感だぁ!!」

アツトさんだ。うっとりした顔のルナをはべらせている。
ちなみに二人とも全裸です。

「俺なんてボリシェビキですらねえぞ!!
 自分がなんで孤島に来てるのかもよくわかってねえ!!
 アリサっちは今良いこと言ったぜ!! 
 俺たちは生きているだけで幸せを感じられる生き物なんだ!! 
 俺は生きたい!! 生きて明日を迎えたい!! 
 また明日から大学のくだらねえ講義が始まってもいい!! 
 だって日常は最高の宝なんだからよ!!」

「そうだそうだ!! 私たちの日常を守れぇ!!」

とルナちゃんも両手を天へ掲げて言葉を続ける。

「私も言いたいことたくさんあるけど、頭の中で
 整理したらほとんどアツトさんとかぶっちゃうので、
 あえて省略します!! 何が言いたいかというと、
 私も生きて明日を迎えたいです!!」

さてさて。続いての演説は……。
私の大好きな、ちょっぴり変態さんの兄上です。

「僕は同志レーニンの忠実なる下僕です。
 閣下が抵抗を望まれるならばそのように致しましょう。
 ああ、同志閣下。なんと神々しいお姿なのか」

「私は閣下の下僕であると同時に、兄の下僕です」

まだ裸だ。服着ろよバカ姉。

「同志レーニンの前で自己批判をさせてください。
 私は訓練兵たちの指揮官でありながら、先ほどまで
 戦意を失い、場を混乱させ、訓練兵を三人も失ってしまいました」

移動中の船で死んだ人も含めると五人なんだけどね。

「私はボリシェビキ。高倉ユウナ!! 逃げずに戦います!! 
 私は鉄人28号が今にも海の底から出てきて、
 自衛隊の奴らを全滅させると信じています。
 信じる根拠があります。だってソ連最強の鉄人、
 レーニン閣下がそう信じておられるのですから!!!」

海が、大きく荒れた。波浪に耐えきれず、
比較的小柄な駆逐艦の艦隊が、波に揺られて戦闘力を失う。
上空に雷が発生し、大雨が降り始めて戦闘機部隊の視界を奪う。

大きく割れた海の中から、一体のロボットが浮かんできた。
それは我々が期待した鉄人28号ではなかった。
孤島にいるボリシェビキの祈りを受け、鉄人28号は
グレードアップしたロボットへと変わっていた。

それは、日本のアニメの歴史が生み出した
究極のスーパーロボットと呼ばれる
        『ジャイアントロボ』だった。

  ※ジャイアントロボ
鉄人28号の作者である、天才漫画家『横山光輝(よこやまみつる)』が
最後にデザインしたロボ。顔がファラオ。手足はプロレスラーのように太い。
見るからに強そうだ。肩、胸、腹にミサイル、下腹部にバルカン砲を格納している。
肩に担ぐバズーカ砲もある。鉄人より100倍くらい戦闘力が高そうだ。

「かつてソ連が目指していたミサイル飽和攻撃を」

レーニンが指揮棒を振るう。

「このジャイアントロボ1機で実現できるのだよ。
 その天と地を揺るがすほどの壊滅的な攻撃力は、
 まさにソビエトのために用意されたようなもの」

※Wikiより 

『ソ連海軍のミサイル飽和攻撃』
冷戦時代のソビエトは、米空母部隊への対抗手段として、
敵のミサイル迎撃能力を超える大量のミサイルを
放つことによって艦船を撃沈するという戦術を立てていた。

(一方アメリカは、これに対抗するためにより
 多数の目標に対処できるイージスシステムを開発することとなる)。

ちなみに太平洋戦争で米海軍に日本海軍が壊滅させられた経験から、
ソ連海軍では飛行機を使用してのまともな空中戦闘では
到底勝ち目がないことが分かったので、ミサイル戦術を考案した。

日本帝国海軍の敗北後、ソ連海軍ではアメリカとの
第二次太平洋戦争を想定した図上演習を繰り返した。
その結果、ソ連が崩壊するまで
西太平洋の海域でソ連海軍が全滅するという結果は変わらなかった。

※筆者の意見

圧倒的な攻撃力と練度を誇る日本海軍を壊滅させた
アメリカ海軍は、その三年半で蓄積したノウハウから
現在までに世界最強の艦隊運用、防空システムを構築している。
仮に全世界の海軍が手を組んでも半年以内に米海軍に
壊滅させられると恐れられている。


「ゆけ!! ロボよ!! ミサイル全弾発射だ!!」 ←レーニンのセリフ

しかし、ロボは言うことをを聞きませんでした。
ジェットエンジンで日本艦隊(自衛隊だけど)の周囲を自由に飛び回り、
気まぐれに護衛空母の甲板にワンパンを食らわせたり、
目からビームを放って駆逐艦を燃やしたりと遊んでる。

「指揮の仕方を間違えた!!」

レーニンは指揮棒を振り直します。

「ぐおおおおおおおおおおおおおおお!!」ロボが吠える。

ジャイアントロボに向けて、日本海軍の全戦力が迎撃ミサイルと
対空射撃を食らわせるが、ジャイアントロボはすごく強いので
びくともしないぜ!!

ロボは、うで、かた、こしの痛みにバンテリ…、
じゃなくてミサイルハッチを開いて全弾発射した。
その数は100を超える。

ミサイルは超大型。ソ連製の長距離対艦ミサイルP-700。
愛称「グラニート(御影石)」 対米艦隊向けの決戦兵器。

ひゅーん ひゅーん  ←ミサイルが飛んでゆく音。

ちょうどイージス艦の旗艦には、アベースキー首相が乗っていた。
  「ば……ばかな、イージスよ。なぜ迎撃できんのだ!!
   は、早くあのミサイルを打ち落とせ!!」

ミサイルの一発は爆発せずに、イージス艦の艦橋部に突き刺さった。
「ぐぅぅぅおお!?」 アベースキーは、ミサイルと壁に挟まれて吐血した。

プルプル震える腕で、ミサイルの先端をどんどん叩く。
せめてもの抵抗なのだろう。彼の体にはガラスの破片が突き刺さり、
オールバックの髪が崩れて血と汗がにじむ。
肋骨は完全に折れてしまい、背骨や脊髄にまで影響を及ぼしている。

「ごはぁぁ」また血を吐いた。「おのれぇ。共産主義者どもめぇ」

ブリッジ内には、水兵の千切れた手や足が転がる。
胴体だけの死体もあった。
一面の床が真っ赤な血で染まっており、少し歩こうとすると滑るほどだ。
アベースキーは、自分のお気に入りの帽子がないかとあたりを見渡す。
そこで絶望した。「俺の……右足の先がないだと……」

ミサイルが突っ込んできた際、破壊された鉄の破片が飛んできて、
彼の太ももから先を切り裂いていたのだ。ちなみに千切れた部分は、
ブリッジの隅に転がっているが、彼からは見えない位置だった。
ふとももの切断面から骨がはみ出ていて、レモンを絞ったように
血が流れ続けている。あるはずのない足首が痛むのだから不思議だ。

「ごはぁ」三度目の吐血だ。今度はコップ一杯が満タンになるほどの
血の量だった。アベースキーは、いよいよ死期を悟る。

イージス艦の艦長は仰向けに倒れている。
一見無傷のように見えるが、首の後ろにガラス片が刺さって死んでいる。
総舵手(そうだしゅ)は悲惨だ。舵(かじ)を面舵(おもかじ)に切った状態で
死後硬直している。しかしイージスは自動航行装置がついている。

イージス艦は、まるで意志を持ったかのようにジャイアントロボに
突っ込んできた。体当たりをするつもりなのだろう。

海上に浮かぶのは、黒煙をまき散らす無残な艦艇の姿ばかり。
戦闘行動ができるのは、この指揮官が乗るイージス艦だけで、
潜水艦を含む、すべての日本海軍の船が原型をとどめず
炎上するか、沈没している最中だった。

「悪の資本主義帝国の帝王め。これで終わりにしてやる」

なんと、イージス艦の前方に浮遊するレーニンの幽霊が現れた。
日本国の海軍力の象徴。自民党の手先である、悪のイージス艦に対し、
身長160センチのレーニンが拳を構える。

「いっくぞおお。ボリシェビキ、ぱーーんち!!」

「うわあああああああああああああああああああ!?」 ←首相

チュドーン

こうして孤島は救われた。
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