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文字数 407文字
「了解だ、高岡」応答した霧子はチャンネルを切り替えて、ふたたび無線に話しかけた。「勇三、聞こえたな? お客さんだ。こっちに来るとさ」
「まったく、高岡のやつなにやってるんだよ」
「そう言うな。おかげでこっちはひと稼ぎできるんだからな」
通信を終えた霧子は、イヤホンから聞こえた勇三の声に頷いてみせた。苛立ちこそ目立っていたものの、そこに恐怖は感じられなかった。良い兆候だ。冷静な判断ができないかもしれないという懸念は残るものの、少なくとも怒りは戦う力を支えるのに役に立つ。
(同業者とは会えずじまいになりそうだな)
霧子はそう思いながら、あらためて屋上へと出た。強さを増した雨は風を伴い、いよいよ嵐の様相を呈しはじめていた。接近するレギオンの存在に気づきにくいという欠点はあるが、こちらの銃声が風雨の音に紛れるという利点もある。
屋上に張り巡らされたフェンスが、その向こうに広がる無人のグラウンドを四角く切り取っていた。
「まったく、高岡のやつなにやってるんだよ」
「そう言うな。おかげでこっちはひと稼ぎできるんだからな」
通信を終えた霧子は、イヤホンから聞こえた勇三の声に頷いてみせた。苛立ちこそ目立っていたものの、そこに恐怖は感じられなかった。良い兆候だ。冷静な判断ができないかもしれないという懸念は残るものの、少なくとも怒りは戦う力を支えるのに役に立つ。
(同業者とは会えずじまいになりそうだな)
霧子はそう思いながら、あらためて屋上へと出た。強さを増した雨は風を伴い、いよいよ嵐の様相を呈しはじめていた。接近するレギオンの存在に気づきにくいという欠点はあるが、こちらの銃声が風雨の音に紛れるという利点もある。
屋上に張り巡らされたフェンスが、その向こうに広がる無人のグラウンドを四角く切り取っていた。