01)はじめに。
文字数 645文字
アラハバキは、手短にいうと、青森県日本海側の津軽地方を中心にして、古代に「まつろわぬ者」とされた蝦夷 の信仰であったというのが一般的なイメージでしょうか。

文献や伝承を調べますと、たとえば「荒脛巾」、「麁羽覇岐」、「荒吐」などなど、これ以外にも、さまざまな字が充 てられています。
これは、万葉集などと同じく、日本古来の読み(上代語)に対して、渡来したばかりの漢字を、書く人それぞれの感性で充 てていった結果生じた多様性で、つまり、アラハバキは万葉集の成立よりも古い時代から、すでにあったと考えられるひとつの根拠になります。
ただ「アラ」はほとんど「荒」の字が使われていることから、さらに二つのことが言えると考えています。
ひとつは、上代語の「アラ、あら」は、漢字の渡来初期から「荒」の字が充 てられる共有認識があった、つまり標準語として使用されるに足る標準解釈があったこと。

もうひとつ、アラハバキは、その「アラ」に「ハバキ」が合体した表現である可能性が高いこと。
後者の理由として、「ハバキ」の方は「履物 」であったり「箒 」であったり・・・、現在でも定まらない多様な解釈があることが挙げられます。
本書では、柳田國夫氏(外来信仰説)や吉野裕子氏(竜蛇信仰 説)、谷川健一氏(賽の神 説)など、名だたる民俗学者が考察し、その数ほどに説があるといってよい、謎多きアラハバキとその信仰について、先人の考え方に耳を澄ませつつも、自分なりの解釈を加え、

文献や伝承を調べますと、たとえば「荒脛巾」、「麁羽覇岐」、「荒吐」などなど、これ以外にも、さまざまな字が
これは、万葉集などと同じく、日本古来の読み(上代語)に対して、渡来したばかりの漢字を、書く人それぞれの感性で
ただ「アラ」はほとんど「荒」の字が使われていることから、さらに二つのことが言えると考えています。
ひとつは、上代語の「アラ、あら」は、漢字の渡来初期から「荒」の字が

もうひとつ、アラハバキは、その「アラ」に「ハバキ」が合体した表現である可能性が高いこと。
後者の理由として、「ハバキ」の方は「
本書では、柳田國夫氏(外来信仰説)や吉野裕子氏(
汎日本的な古代信仰
として考察してゆきたいと考えています。