再び夢の空で(2)
文字数 413文字
行っけえーと草里が楽しそうに叫ぶ。
わたしは声も出せずに、小象にしがみつくのに必死だ。
ものの二、三分だろうか、もう峠のお菓子屋に着いて、飛び越した。誰も待っているといった様子は、なかったな。そのまま、一直線に。
わたしは声も出せずに、小象にしがみつくのに必死だ。
ものの二、三分だろうか、もう峠のお菓子屋に着いて、飛び越した。誰も待っているといった様子は、なかったな。そのまま、一直線に。
わたしは小象に呼びかけるのも必死だ。
ぱぽー!
小象は、加速度を増していく。お、わかってる……ぽい?
ぱぽー!
小象は、加速度を増していく。お、わかってる……ぽい?
前方から、大きな雲が来る。
はっ。はあ……? 瞬間、雲に飲み込まれた。小象ごとすっぽりと、いや感触としてはどぷっと、雲の中に沈み込むように。
この感触は、まるで夢だ。
小象が、速度を落とす。上手く走れないのかもしれない。もやもやとした黒。黒が少しずつ途切れて、空の色になる。雲を抜けた……のじゃないか。どうやら、迷い込んでしまったのかもしれない。