3 ❀ 青い目のお客様

エピソード文字数 1,319文字

咲良と理々は、おもちゃ屋を出て、おしゃべりしながら駅に向かう。

お、な、か、す、い、たぁ――!! くんくんっ・・・こ、これはハンバーグの香り!

理々は沿道のファストフード店の前で立ち止まる。

理々、帰るよ

そうだね。私のお腹さん、もう少し我慢できるって!


お! やっと駅着いた~!! ほんじゃ、また明日

うん、また明日

理々と駅で別れ、咲良は自分の使う路線へ。


電車に乗り、自宅へ向かった。

ただいまー
(あら、見なれない革製の靴がある。誰かお客さんがいらしているのかしら)
咲良、おかえり

咲良の母、帯刀たてわき なぎである。凪は湯呑みと急須を盆に載せていた。



ただいま、お母さん。お客さんがいらしているの?
そうなのよ~。咲良も応接間へおいで
応接間では、卓を囲んで4人が腰かけていた。
咲良、おかえり
父、帯刀たてわき 賢武けんぶが声をかけた。
今日は遅かったの
祖父、帯刀たてわき せんが時計を見上げる。
おかえり、疲れたろ
咲良の兄、帯刀たてわき さくはそう言うと、となりにすわる客人を見た。
妹の咲良さらだよ
こんばんは、おじゃましています
え・・・!?

幼さの残る若々しい顔だちの青年。この姿に見覚えがあった。


あの日の出来事』が、咲良の脳裏に浮かぶ。

おにいちゃんは、魔法使いなの?
It's a secret.

秘密と言われたので、咲良は誰にも話したことはなかった。

魔法使いさん…
!?
(この人にまちがいない! 魔法を使ってドールハウスを綺麗にした人だわ)
咲良さら。な・・・なぜ…彼が魔法使いだと知っているんじゃ?
それは…。ん? あれ? おじいちゃんも彼が魔法使いだって知っているの…?
あっ・・・
と、父さん!! 
・・・・・・。もしかしてお父さんも知っているの?
いや、そ・・・そうだな、なんと言ったらいいか・・・
あの…
青年が躊躇いがちに咲良へ声をかけた。
僕のことを、どなたからお聞きしたのでしょうか?
いいえ。ただその…昔、あなたが魔法を使うところを見たことがあって
ど、ドコデ…デスカ?
青年はだらだらと冷や汗を流し、急にカタコトの日本語になって訊ねた。

もう何年も前ですけど。

おもちゃ屋で、散らかったお人形をあなたが魔法で綺麗にされたのを見たんです

ああっ。あの時の!
私のことを、憶えていらっしゃるんですか!?

はい…。小さな女の子に魔法を見せてしまったな…と。

参ったな…憶えていらしたんですか。

きっと忘れてくれているものと都合よく考えていましたが…

やっぱり魔法使いなんですね?
……そう、です

そっかぁ・・・。やっぱり見間違いでも手品でもなかったんだ・・・。


なんだか、ほっとしちゃった・・・

ほっとされた?

私〝あれは絶対魔法だ〟って信じていたから。


あなたが実在するって知って嬉しいんです。

何度夢だとうたがったろう。

失礼、自己紹介がおくれました。


ジョン・リンデンと申します

ジョンは二つ折りの手帳を開く。
インターポールの捜査官です
インターポール? どこかでその名前を聞いた気が・・・
簡単にいうと、インターポールは国際警察です
こ、国際警察!!
咲良は、ぴんっと背筋をのばした。
わっ、私は、帯刀たてわき 咲良さらです
咲良さらさん。ステキな名前ですね
二人は握手をかわした。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

帯刀 咲良  (たてわき・さら)


 高校2年生、剣術道場の娘。

ジョン・リンデン


イギリス人

インターポールの捜査官。

天羽 理々(あもう・りり)


高校2年生、咲良の親友

合気道部

ラルフ・ローゼンクランツ


ドイツ人

インターポールの捜査官。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色