竹青(8)

文字数 341文字

「さあ、つきました」
 竹青にいわれて、魚容が見おろすと、小川のほとりに、お人形の住みかのようなかわいらしい家がたっています。
 竹青は魚容に目であいずして、つばさをすぼめ、いっちょくせんにその家めがけておりていきます。魚容もいそいであとにつづきます。
 草の上におりたったとたん、ふたりはわかものとおとめのすがたにもどり、竹青は魚容の手をとって、そのかわいらしい家の中へつれていきました。



 へやには金や銀のぬのがかけられ、おいしそうなごちそうがならんでいます。庭には桃の花がさきみだれ、うぐいすがさえずり、小川の水が朝日にきらきら光っています。
 魚容は、うっとりとつぶやきました。

「ああ、いいけしきだ。
 うちのおくさんにも、見せたいなあ」

 思わずそういってしまって、がくぜんとしました。
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