第3話
文字数 934文字
「いや、一寸待て、でも、その魔薬とブライアン軍曹と何の繋がりがあるんだ?」
ビルがジェームズに訊く。
「5年前の大陸大戦まではどうも、使われてたらしいんだよ。それが・・・。二十歳前後の俺たちの世代では一人も居無いだろうが・・・。ブライアン軍曹みたいに三十過ぎの人達にはまだ、多少いるらしい・・・。」
硬骨漢のジェームズも歯切れが悪い。公国軍内の暗部を見た思いだろう。
「確かに、適当に魔薬をバラ撒いても、将兵が死んでいけば、バレ無いとでも思っているのかね・・・上は・・・。オーヴィルの魔術師は泣く子も黙るといってもよ・・・。そこまでしてこの国を分離、独立させたかったのかよ。」軽薄なトムも口が重い
「・・・なるほど!!」
急にビルが声をはりあげた。
「なんだよ、急に・・・。」「びっくりするじゃねーか!」
トムとジェームズが口をとがらす。
「謎がとけたんだよ!なぜ、軍曹はあんなに気性が荒いのかをよ!」
「・・・まさか、魔薬の副作用って事か・・・?」
「あ、いや、ちょっとまてよ。お前、俺たちと同期じゃねーか!なんで軍曹の過去なんか知ってんだよ。」
トムの言う通り、任官して半年の新兵が少壮の年齢にさしかかっている上官の過去を知っているのは不自然である。
ただ、ジェームズの脳裏には何かが閃いた。
「お前、まさか・・・グレコ将軍との上申の時に・・・。」
「ああ、そのまさかだ。注進や伝令もやっているからな。俺は・・・。」
「なるほど。じゃあ、その時に噂か何かで・・・。」
誰もグレコ将軍、自らの口でとは言わない。と言うよりも言えないのだ。
3人はみな同じ考えに想到した。そこには口に出すには憚れる阿鼻叫喚の地獄絵図が膨張していった。
皆、悪心を感じた。しかし、時間の経過に比例して、心神は安定していく。
いや、半ば強引に安定させた。トムの発言の如く、自分の命くらい、いつでも賭けねばならない稼業である。
どうせ死ぬなら兵隊になって死のうと思って、公国兵士に志願した子供も腐るほど居る。
このくらいで、怖じけずてどうする。自らを鼓舞せねばならない。
戦いは敵とだけするものではない。自分ともせねばならない。自分の脆弱で懶惰な心とも。いや、敵との直截的な戦いよりも、こっちの方が余程、重きをおくべきなのかもしれない。
ビルがジェームズに訊く。
「5年前の大陸大戦まではどうも、使われてたらしいんだよ。それが・・・。二十歳前後の俺たちの世代では一人も居無いだろうが・・・。ブライアン軍曹みたいに三十過ぎの人達にはまだ、多少いるらしい・・・。」
硬骨漢のジェームズも歯切れが悪い。公国軍内の暗部を見た思いだろう。
「確かに、適当に魔薬をバラ撒いても、将兵が死んでいけば、バレ無いとでも思っているのかね・・・上は・・・。オーヴィルの魔術師は泣く子も黙るといってもよ・・・。そこまでしてこの国を分離、独立させたかったのかよ。」軽薄なトムも口が重い
「・・・なるほど!!」
急にビルが声をはりあげた。
「なんだよ、急に・・・。」「びっくりするじゃねーか!」
トムとジェームズが口をとがらす。
「謎がとけたんだよ!なぜ、軍曹はあんなに気性が荒いのかをよ!」
「・・・まさか、魔薬の副作用って事か・・・?」
「あ、いや、ちょっとまてよ。お前、俺たちと同期じゃねーか!なんで軍曹の過去なんか知ってんだよ。」
トムの言う通り、任官して半年の新兵が少壮の年齢にさしかかっている上官の過去を知っているのは不自然である。
ただ、ジェームズの脳裏には何かが閃いた。
「お前、まさか・・・グレコ将軍との上申の時に・・・。」
「ああ、そのまさかだ。注進や伝令もやっているからな。俺は・・・。」
「なるほど。じゃあ、その時に噂か何かで・・・。」
誰もグレコ将軍、自らの口でとは言わない。と言うよりも言えないのだ。
3人はみな同じ考えに想到した。そこには口に出すには憚れる阿鼻叫喚の地獄絵図が膨張していった。
皆、悪心を感じた。しかし、時間の経過に比例して、心神は安定していく。
いや、半ば強引に安定させた。トムの発言の如く、自分の命くらい、いつでも賭けねばならない稼業である。
どうせ死ぬなら兵隊になって死のうと思って、公国兵士に志願した子供も腐るほど居る。
このくらいで、怖じけずてどうする。自らを鼓舞せねばならない。
戦いは敵とだけするものではない。自分ともせねばならない。自分の脆弱で懶惰な心とも。いや、敵との直截的な戦いよりも、こっちの方が余程、重きをおくべきなのかもしれない。