第36話:清水の昔の仕事の話

文字数 1,877文字

 このパソコンの特長は、画像を取り込める事だ。画像というのは、文字の数十倍、カラーでは数百倍のメモリーを食う。そのため、画像入りのデータベースは、最初、10枚程度しか作れなかった。日本のパソコンでは、性能が貧弱で、ほとんど無理だった。そこで、NEC9800でデータベースのひな形を作った。

 そのデータベースを このパソコンと特長は、画像を取り込める事だ。画像というのは、文字の数十倍、カラーでは数百倍のメモリーを食う。そのため、画像入りのデータベースは、最初、10枚程度しか作れなかった。日本のパソコンでは、性能上、ほとんど無理だった。そこで、NEC9800でデータベースのひな形を作った。

 そのデータベースをマッキントッシュが読めるようにデータ変換したデータベースをたくさん作った。数年後、ハードディスクという、当時のフロッピーディスクの数百倍の容量の装置が完成し汎用し始めた。それを見て、これでカラー写真入りのデータベースが作れると思った。しかし、その当時のCPU「中央演算装置」の能力が低く過ぎた。

 データを移すのに時間が、かかり過ぎて使い物にならなかった。そこで多くのメモリーを搭載できるマッキントッシュで、カラー写真入りのデータベースを作れると思った。しかし、その当時、マッキントッシュのメモリの価格が高い。しかし地方の大学病院の医局の予算、1年分を使い高性能マックを買い、それに挑戦した。

 ちなみに、購入価格は、高級ベンツ2台分位した。そして画像を複写すると言う事は、まず、最初に、画像データをカラースキャナーで読み込み、パソコンに送り込み、順番に、メモリに記憶させる。つまり、データーを読み込みと書き込むので2段階をへなければなならない。蓄積したデータをハードディスクから読み込み、メモリーに書き込むので、2倍かかるのだ。

 もしカラー印刷するなら、もう一段階として印刷の時間がかかるので6倍かかる。メモリーの値段も、毎年、1桁ずつ値下がりすることで、超高速のメモリで読み、移送させられるようになった。その間に記憶装置「ハードディスク」価格は、さらに、もう1桁下がった。そして安い大型ハード・ディスクが一般化された。

 その技術進歩により1990年代後半には、カラーのスライド、カラーのデータベース化が様にになったと言える。その地方大学の医局で、日本初のデータベースの生まれた。その後、その医局の教授が、熱心にカルテのデータベース化を推進した。マックのアップル社とコンピューターの巨人IBMの全面協力の下に、約6年かけて、カルテのデータベース化を完成した。

 しかし、これは一般的に知られていない。これは、その教授が、手柄を独り占めにせず、どんな先生方もに自由に同じ規格のデータベースを無料で開放したために出来上がった。それは、患者さんのデータベースを作り医療の効率化の理想に燃えていたからであろう。しかし、この動きに敏感な日本のパソコン大手、N社とF社は、この様子を眺めていた。

 そして自社で医療用データベース専用に特化した医療用専門コンピューターを作り、販売価格が高すぎるので販売せずリースで、日本中の大型病院に広めていった。それにより多額の利益を得たのも事実。マック「アップル社」は、パーソナル・コンピューターを専門として、大型には興味を示さなかった。

 その話をじっと聞いていた、仲間達は、ほんとかよ、映画みたいな事が本当にあったのかよと懐疑的だった。嘘を言って僕にとって何の得があるのかと清水が言うと、辺りはシーンとした。これを聞いた薫子が、すごいわ、ほんとすごい、清水君らしいと拍手した。それに対して男性達から、その情報で、多額の特許料金をもらわなかったのかと質問が出た。

 それに対して、その医局の教授の懐の深さに感銘したのと多くの先生方に試行錯誤の実験をお願いして完成し、そのためアイディアは、出したが、全部、自分だけでやった訳ではないと思っているからだと話した。自分は、典型的なシャイな日本人だからかも知れないと答えた。これが、日本での最初の医療用のデータベースであったのは、間違いないと語った。

 清水は、話が長くなったので終了と言った。そんな話をして22時を過ぎたので清水が、ここで、歩いて帰ると言い、外に出た。その後、少しして、薫子が、店を後にし桜木町への道の交差点で待っていた清水と、タクシーで自宅マンションへ帰った。ると、直ぐ風呂を沸かし、2人で一緒に入って今日の同窓会の話をした。風呂から上がるとベッドに入り眠りについた。
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