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文字数 2,064文字
ここは弐利根名探偵事務所、という名のニートの家だ。アパートのワンルームを無理矢理探偵事務所風に改造し、応接スペースが部屋のほとんどを占める、寝るための空間がほとんどない部屋だった。
多田木尾こすねは弐利根刷蔵の幼馴染である。現在高校生。彼女は弐利根を『探偵』と呼ぶが、半分揶揄を込めての呼び名であった。しかし、探偵業務を手伝うとちゃんとバイト代がもらえるので、こうして定期的に顔を出す。
とはいえ、この事務所にまともな依頼が入ることは稀だ。こすねは大抵、年上ニートの弐利根と遊ぶためやってきているのだった。
弐利根が親のスネを齧ってニートしていようが、FXで大損してパンの耳を齧っていようが、こすねにとってはあまり重要ではない。
探偵助手、多田木尾こすねは薄情系女子高生だった。厄介なのは探偵(ニート)か、助手か――。
閑話休題。
今回のテーマ『ウミガメのスープ』、その出題である。
不貞寝刷蔵(ふてね するぞう)
探偵助手、多田木尾こすねは百点満点の笑顔で弁当を差し出した。
探偵、弐利根刷蔵は、こすねへの信頼を示すべく、弁当を食べた。
結果的に弁当に変なものは何も入っていなかったが、弐利根刷蔵はあまりの緊張とプレッシャーから、腹を下した。