第1話
文字数 1,395文字
たあくんのいじめ
作 さくら さくよ
うさぎの たあくんと ふうくんは
こうえんで あそんでいます。
おそらの しろいくもが
ニコニコ ふたりをみています。
ふうくんは
ほしのもようの
あたらしい ぼうしを かぶっています。
たあくんは
ふうくんの ぼうしを かぶりたくなり
さっと とりあげてしまいました。
ふうくんが
「ぼうし かえして かえして。」
と いっても、かえしません。
おそらの しろいくもは
こまったように
ふたりを みています。
ふうくんは
あきらめて ブランコに のりました。
そしたら
たあくんも
ブランコに のりたくなりました。
たあくんは
ふうくんに ぼうしをかえすと
ブランコを ぐいっと ひっぱり
ふうくんから とりあげて、のりました。
ふうくんは
なきそうな かおをして
おうちに かえりました。
おそらの しろいくもが
しんぱいそうに みています。
つぎのひ
こうえんで
たあくんは
のんびり
ユーラ ユーラ
ブランコに のっていました。
ぼうしは ベンチにおいて。
ふうくんが
おにいちゃんの だいくんと あそびにきました。
だいくんは
おこったこえで
たあくんに
「ふうくんを、いじめただろう。
ふうくんから きいたから。」
と いって
たあくんの のっている ブランコを
らんぼうに グラグラ ゆすって
たあくんから、とりあげました。
たあくんは
だいくんが こわくて
おうちに かえろうと ベンチをみましたが
ぼうしが ありません。
(だいくんが かくしたのです。)
たあくんは あちら こちら ぼうしを さがしました。
でも
なかなか みつかりません。
なが~い
なが~い じかん
たあくんは ぼうしを
さがしつづけました。
つかれてきって
フラフラになり
きのしたで
しりもちをついたとき
めのまえの
くさむらの なかに
ぼうしは ありました。
おそらの しろいくもが かなしそうに みています。
よる。
たあくんは
むねが
キューキュー キューキュー
キリキリ キリキリ
いたくて いたくて
なかなか ねむれません。
「だいくんの いじわる。
だいくん なんて だい だい だいの だいきらいだ。
ふうくんは あんなに らんぼうで
いじわるな おにいちゃんがいて
かわいそう。」
「ふ ―― っ。」 と
ためいきを ついたとき
たあくんは ハッとしました。
「ぼくが ふうくんから ぼうしや ブランコ とったとき
ふうくんも こんなに くるしかったんだ。
ぼくは ふうくんを いじめていたんだ。」
たあくんの こころは
くるしくて くるしくて
ズキズキ ズキズキ していました。
つぎのひ
こうえんで
たあくんは ふうくんに あうと
「ごめんね。
ぼうしや ブランコ とって いじわるして。」
と あやまりました。
ふうくんは ニッコリ わらいました。
それをみて
たあくんの こころは
かるく あかるく なりました。
たあくんは おもいました。
「じぶんがされて いやなことや いじわるは してはいけないんだ。」
そんな たあくんを
おそらの しろいくもは
やさしく みつめながら
そっと つぶやきました。
「おとなになっても じぶんがされて いやなことや いじわるは しない。という
やさしい こころを わすれないでね。」
おわり
作 さくら さくよ
うさぎの たあくんと ふうくんは
こうえんで あそんでいます。
おそらの しろいくもが
ニコニコ ふたりをみています。
ふうくんは
ほしのもようの
あたらしい ぼうしを かぶっています。
たあくんは
ふうくんの ぼうしを かぶりたくなり
さっと とりあげてしまいました。
ふうくんが
「ぼうし かえして かえして。」
と いっても、かえしません。
おそらの しろいくもは
こまったように
ふたりを みています。
ふうくんは
あきらめて ブランコに のりました。
そしたら
たあくんも
ブランコに のりたくなりました。
たあくんは
ふうくんに ぼうしをかえすと
ブランコを ぐいっと ひっぱり
ふうくんから とりあげて、のりました。
ふうくんは
なきそうな かおをして
おうちに かえりました。
おそらの しろいくもが
しんぱいそうに みています。
つぎのひ
こうえんで
たあくんは
のんびり
ユーラ ユーラ
ブランコに のっていました。
ぼうしは ベンチにおいて。
ふうくんが
おにいちゃんの だいくんと あそびにきました。
だいくんは
おこったこえで
たあくんに
「ふうくんを、いじめただろう。
ふうくんから きいたから。」
と いって
たあくんの のっている ブランコを
らんぼうに グラグラ ゆすって
たあくんから、とりあげました。
たあくんは
だいくんが こわくて
おうちに かえろうと ベンチをみましたが
ぼうしが ありません。
(だいくんが かくしたのです。)
たあくんは あちら こちら ぼうしを さがしました。
でも
なかなか みつかりません。
なが~い
なが~い じかん
たあくんは ぼうしを
さがしつづけました。
つかれてきって
フラフラになり
きのしたで
しりもちをついたとき
めのまえの
くさむらの なかに
ぼうしは ありました。
おそらの しろいくもが かなしそうに みています。
よる。
たあくんは
むねが
キューキュー キューキュー
キリキリ キリキリ
いたくて いたくて
なかなか ねむれません。
「だいくんの いじわる。
だいくん なんて だい だい だいの だいきらいだ。
ふうくんは あんなに らんぼうで
いじわるな おにいちゃんがいて
かわいそう。」
「ふ ―― っ。」 と
ためいきを ついたとき
たあくんは ハッとしました。
「ぼくが ふうくんから ぼうしや ブランコ とったとき
ふうくんも こんなに くるしかったんだ。
ぼくは ふうくんを いじめていたんだ。」
たあくんの こころは
くるしくて くるしくて
ズキズキ ズキズキ していました。
つぎのひ
こうえんで
たあくんは ふうくんに あうと
「ごめんね。
ぼうしや ブランコ とって いじわるして。」
と あやまりました。
ふうくんは ニッコリ わらいました。
それをみて
たあくんの こころは
かるく あかるく なりました。
たあくんは おもいました。
「じぶんがされて いやなことや いじわるは してはいけないんだ。」
そんな たあくんを
おそらの しろいくもは
やさしく みつめながら
そっと つぶやきました。
「おとなになっても じぶんがされて いやなことや いじわるは しない。という
やさしい こころを わすれないでね。」
おわり