先ずは接客から

文字数 410文字

 牛丼屋に限らず、飲食店の学生バイトは、接客がメインではないかと思う。何にせよ、少人数で回すけれど、先ずは接客から始めました。
 お客様が来たら大きな声で「いらっしゃいませ」と言い、直ぐにお茶を持って注文に伺い、大きな声で注文を厨房に伝える。料理が出来上がったら運び、お勘定と言われたら会計をする。後は、汚れたテーブルは拭いて、湯のみと丼をそれぞれ所定の位置に置く。実に効率化された流れである。
 それでも、気の弱い人間には大声を出すことも難しければ笑顔を作ることも難しかった。メニューは多くないから覚えるのに苦労はしない。しかし、笑顔を作るのが難しかった。
 もし、喜怒哀楽を自由に出せる育ち方をしていたらその苦労は無かったのかと思うと、毒親が憎くて仕方ない。が、毒親の理不尽さに慣れていると、どんな客が来ても感情をオフに出来たのは良かった。マイナスをプラスに変えることもある、それが毒親育ちの利点とも言える……のか?
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