第21話:漁業協同組合の融資依頼と和解、娘が医学部卒業

文字数 2,911文字

 そのため漁業協同組合の敷地にある小山田クルーズ・カンパニーに改修工事の費用を出してもらおうという話が出た。その席で、以前、2006年4月に1億円をかけて改修したというと、それは船を係留している地域だけだと言い市場や組合施設は改修してないと言うのだった。それに対し、なぜ漁業協同組合の建物や市場の修理まで、小山田クルーズ・カンパニーが出さなくてはいけないのかと反論した。

 漁業協同組合の敷地に小山田クルーズ・カンパニーを作ったのだから土地代ももらっていないし土地代と施設使用料としてもらいたいと言った。具体的にいくらなのかと港湾設備と市場の改修費用で、見積で1億円かかると言われたので出して欲しいと笑いながら言った。そこで、小山田が漁業協同組合と正式に書類を取り交わし、2005年11月に1億円を支払い済だと主張した。

 それは、先代の溝口漁業協同組合長との契約だろと言い、時代は変わったし、昔に比べて、漁獲高も減っていて収入も減っていると強い口調で押し通すので、小山田が、思わずそりゃ無茶だと怒った。融資という形で資金援助して、毎年、借金を返済すると言うなら、考えても良いが、以前支払った1億円と同額をまた支払えというのは、どう考えても、道理に合わないと小山田が突っぱねた。

 その後、議論を交わしたが平行線で、話が進まず、改めて、漁業協同組合に持ち帰って協議して後日、また、会議を開こうと北上組合長が言い、話合いは終了した。その後北上組合長からの連絡で2008年10月11日に再び話合いをしようと言われ、漁業協同組合事務所に呼ばれた。会議が始まり、北上組合長が、その後の組合員だけの話合いで修理は必要だとなった。

 特に市場と岸壁のコンクリート痛みがひどいので、新しいコンクリートに帰る必要があると言った。そして、その仕事の見積もりを取って、修理をして、代金を小山田クルーズ・カンパニーに融資という形で支払ってもらい、10年間、無利子で返済する事で建て替えてもらいたいと言った。それを聞いて、無利子とは、厳しいと小山田言うと、北山が、これ以上譲歩できないと言った。

その話を聞いて、仕方ないと言い、それで受けましょうと小山田答えた。しかし、修理は全部、私に任せてもらえると言うことで良いですねと確認するとOKと北山が言い、会議者終了した。翌日、以前依頼した富島建設の富島社長に、漁業協同組合の岸壁と魚市場のコンクリートの破損状況と修理の見積をとると大きな工事になるので、うちでは手に負えないと言い大手T建設会社の担当者を呼んでくれた。

 3日後、大手T建設会社からハイエースで7人が降りて来て、それぞれ、修理箇所を丹念に見て、写真に撮って、1時間後、帰って行った。その後、T建設から電話が入り、完璧に修理するには8千万円から1億円かかると言った。何とか8千万円で上手にやって欲しいというと、上司と相談してお答えしますと言われた。翌日電話で、その会社の工事部長から9千万円で完璧に仕上げると言われ了解した。

 その後、2008年11月14日から工事が始まり大きなコンクリートミキサー車が来て、昼間、港と魚市場が空いた時間に大勢で、コンクリートの張り替え工事をして11月26日に終了し、建設会社に1億円を入金し、小山田の資産の預貯金が23400万円となった。2008年12月8日の朝、久しぶりに鮫島さんから電話が入り、TDKが安いと言われ、2万株の成り行き注文をインターネットで出すと1株2600円で2万株、5200万円買え、投資残金が4800万円となった。

 今年も12月23日に姫子と健一が岡山の実家に帰ってきた。翌日の晩のクリスマスパーティーでケーキを食べて、ワインを飲んで、現状を聞くと姫子が、いよいよ来年2009年3月に横浜市大医学部を卒業すると言い、翌年2010年の2月に医師国家試験を受けると話した。そのために医学部卒業後、医師国家試験のための予備校に入りたいと言われ、費用はと聞くと100万円と言われ、了解した。

 一方、健一の方は、仕事場の同僚、吉川映子との付き合いも順調に行っていると話した。その時、健一が、ところで健二はと、水を向けると、彼女は、いるが、そこまで進んでいないと笑いながら言った。どんな子と聞くと、小型船舶2級の試験に最近合格した永山沢子さんと始めて打ち明けた。彼女は、岡山の宝石屋の娘で店を手伝っていると紹介した。

 小山田クルーズ・カンパニーで、健二に、小型船舶2級の学科試験と実地試験の指導を受け、2008年夏の実技試験で永山沢子さんも小型船舶2級に合格したと説明した。携帯電話で彼女の写真を見せると、スポーティーで体の大きな娘さんねと母が言うと、最近の女性は、大きな体の人がいっぱいいると笑いながら語った。ちなみに、身長は、健二と同じだと言った。

 姫子が運動神経良さそうと言うと、その通りと言い、高校時代陸上の選手だったと話した。可愛い娘さんねと母が笑った。その後、2008年が終わり2009年を迎えた。今年も初詣でに行き、母は、姫子が無事、横浜市大学部を卒業できるようにと祈り、健一と健二は、彼女との付き合いがうまくいくように願った。姫子は、卒業後の医師国家試験に合格するように願い、父は、会社の成長を願った。そして、2009年1月4日、姫子と健一は横浜に戻っていった。

 2009年1月6日、漁業協同組合の北上組合長から電話が入り、1月10日、夜19時から岡山市内の料理屋で漁業協同組合と関連業者の新年会を開くので、是非、参加して欲しいと連絡が入り、了解し、行くと伝えた。会場の大きな魚料理の店の部屋に20人程の人が集まっていた。そして、北上組合長が、関連業者を1人ずつ紹介し、小山田の番になった。

 すると、北上さんが、こちらが小山田クルーズ・カンパニーの社長の小山田聡・社長で、数年間に1億円をかけて船着き場の改修工事をしてもらった。さらに、昨年は、魚市場と、船着き場のボロボロになっていたコンクリートを新しくするのに1億円を融資してくれた恩人ですと言うと、おおきな拍手が巻き起こった。そして、小山田が我が小山田クルーズ・カンパニーは、先代の組合長の頃から付き合いが古い。

 だから、先代の組合長に依頼されたことは、無理しても、実現して、同じ港を使わせてもらっていますと言い、今後も、できる限り協力していくつもりなので、宜しくお願いしますといった。その後、全員の紹介を終わり、形式張った挨拶は全て終わった。すると、北上組合長が小山田の横に来て、昨年は、立場上、かなり厳しい言い方したが、恩に感じてますよと言った。

漁業協同組合の北上組合長が、毎年、1千万円ずつ返済し10年で完済する事を約束しますと言った。私が組合長になった時、組合の資金は、枯渇して、自分達で港を直そうとしたが、できなかった。やむを得ず、融資のお願いに、銀行、信用金庫、信用組合、魚業者、船会社を回ったが、全て断わられた。そこで、以前、小山田さんが、港湾の改良工事費用1億円を出してくれたことを知り、お願いに、上がったと言った。
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