1話

文字数 8,497文字



※登場人物



九十九北斗(16)真人間



スズナ・ウジノ(16)猫又の亜人



 



テツオ 鬼の亜人



ジュン カエルの亜人



 



学園長(?)龍の亜人。普段は童女の姿



 



 



 



※プロローグ



〇柏原学園高等部紹介



北斗M「世の中に多々ある高校の中から、僕



 はある一校を選んだ。それは、人間以外の



 種族も通う柏原学園。妖怪、天使、悪魔E



 TC……架空と思われた種族達が、同じ学



 び舎で勉学にスポーツに勤しむ。何故、そ

 んな学校を選んだかは、後ほど……」



    制服に身を包んだいろんな種族の亜人



    の生徒達が登校する風景。



北斗M「僕の、波乱万丈なスクールライフが



 始まろうとしていた」



   制服を正し校門の前に立つ北斗。



 



  



  T‥カプッとアトラクション



 



 



〇学園・教室



   一年生が集まる教室。教室全体がハロ



   ウィンのよう。



北斗 『すっ、凄い眺めだ……』



   座っている席から左右に見渡す北斗。



   そこには北斗と背丈の変わらない亜人



   から山のように大きいごっつい亜人ま



   でいる。



北斗 『めっ、めっちゃ浮いてる……』



   亜人系の生徒に囲まれてポツンな北斗。



  →北斗の右には岩のようなゴツイ男子。



   左にはビーグルな女子



北斗 『こっ、こんな学校にいても大丈夫かな……』



   肩を竦める北斗。



 



〇廊下



   トイレから戻る北斗。



北斗 『やっぱりトイレも造りが変わってる



 なぁ。普通サイズに収まらない人だってい



 るからか』



   教室へ戻る途中メガネに付いた水滴を



   取るため一旦メガネを外す北斗。



  →メガネを外すと視力はかなり悪い



 



   立ち止りハンカチで水滴をふき取る北

   斗。その時誰かとぶつかる。



北斗 「すっ、すいません……」



スズナ「こっ、こちらこそ……」



   誰とぶつかったのだろうと改めてメガ



   ネを掛ける北斗。



   そこには少し怯えた表情をした亜人の



   女の子がいた。



北斗 『なっ、何か……カワイイぞ……』



   亜人という要素が乗っかってるからか



   北斗の目にはとても可愛らしく映る。



北斗 「えっ、えっと……ケガはない?」



スズナ「うっ、うん……大丈夫。九十九クンは?」



   ハンカチをズボンのポケットに入れて



   る中で名前を言われビックリする北斗。



北斗 「ぼっ、僕の名前知ってるの?!」



スズナ「うっ、うん……だって、同じクラス



 ……だから……」



   モジモジと恥ずかしそうなスズナ。尻

   尾を自分の体に巻き付けている。



北斗 「そっ、そうなんだ……気づかなかっ



 た……はは……」



   苦笑いを浮かべる北斗。



スズナ「えっと……九十九クン……その……」



北斗 「えっ?」



   どうしてモジモジしてるのだろうと疑



   問に思う北斗。



   すると顔を赤くしながら北斗の下の方



   を指を差すスズナ。



   下を見ると社会の窓からYシャツの端



   が出ていた。



北斗 「アギャァァァッ!」



   断末魔のような悲鳴を上げる北斗。ス

   ズナに背を向けながらジッパーを閉める。



北斗 「あはは……初対面から醜態を……」



   振り返り真っ赤な顔をする北斗。



スズナ「いっ、いえ……」



   ようやく顔を上げるスズナ。



スズナ「あっ、改めて、クラスメイトとして



 よろしく、九十九クン」



   手を差し出すスズナ。



北斗 「こっ、こちらこそ……えっと……」



   握手をする北斗。



スズナ「スズナ。ウジノ・スズナです」



   はにかみながら笑みを浮かべるスズナ。



北斗 『めっ、めっちゃカワイイ~っ! こ



 の学校を選んで正解かも!』



   内心デレデレな北斗。



 



〇昼休み



   どうにか戦場と化す売店から昼食のパ



   ンを買ってきた北斗。ややヘトヘト。



北斗 「なっ、何とかゲットできた……力じ



 ゃ亜人系の人には敵わないよなぁ……」



   やや潰れたサンドウィッチと紙パック



   の牛乳を手に教室に戻る。



  →ミックスサンドの中にツナマヨが入ってる



 



   自分の席に座りサンドウィッチの包み



   を開けようとした時スズナが弁当を持

   ってやって来る。



スズナ「一緒にお弁当食べてもいい?」



北斗 「もっ、もちろん!」



   前の席の椅子を借りて向かい合って座



   るスズナ。



 



北斗 「へぇ~ウジノさんて猫又なんだ」



   紙パックの牛乳を飲む北斗。



スズナ「うっ、うん……」



   どこか表情の暗いスズナ。



北斗 「うん? どうかした?」



スズナ「……九十九クンって、猫又ってどう思う?」



   小さな手作り弁当を食べるスズナ。中

   身はごくシンプル。



北斗 「う~ん……詳しくは分からないけど、



 猫の妖怪だよね。尻尾が二つに分かれたり、



 長生きした猫がなるっていう……」



スズナ「うん……そう……だね……」



   少量の白飯を口へと運ぶスズナ。



北斗 「……何か引っかかる事があるの?」



スズナ「……私、猫又の血が流れてる自分が嫌なの」



   弁当の上に箸を置くスズナ。



北斗 「えっ? どっ、どうして?」



スズナ「そっ……それは……」



   言い掛けるスズナ。そんな時北斗が持

   っていたツナサンドに反応する。



スズナ「キュピ~ン!!」



  →ここのスズナのカットはデフォルメチ

   ックな猫っぽい感じで



 



スズナ「あ、あ、あ、あの、九十九クン。良



かったら、私のお弁当とツナサンド、交換



してっ!」



  サッと素早く自分の弁当を差し出すス

  ズナ。



北斗 「えぇっ!」



   大げさに驚く北斗。



スズナ「私、ツナマヨがこの世のどんな食べ



 物の中で好きなの! 一年365日食べて



 も飽きないくらい!」



   目がキラキラしているスズナ。目線は



   ツナサンドにロックオンしてる。



北斗 「そっ、そんなに好きなんだ……いっ、



 いいよ。交換」



   弁当とツナサンドを交換する二人。



スズナ「いっただきま~す!」



   満面の笑みでツナサンドを食べるスズナ。

   幸せそうなスズナの表情に心がほっこ

   りする北斗。

   一方スズナの手作り弁当を食べる事に

   なった北斗。



北斗 『どうしよ……割り箸もないし……』



   半分くらい残った弁当を見下ろす北斗。



   女の子っぽい可愛らしい箸を使う事に



   やや抵抗を感じる。



   そんな様子に気づくスズナ。ツナサン

   ドを食べ終え箸を取ると弁当を食べさ

   せてくれる。



スズナ「はい」



北斗 「えっ……」



   箸に挟んだ厚焼き玉簿を差し出すスズナ。



北斗 「た、食べさせてくれるの?」



   人目を気にする北斗。



スズナ「や、やっぱり、恥ずかしい?」



北斗 「うっ、うん……教室だし、こっ、こ



 んな『あ~ん』って事された事ないし。こ



 れって……恋人とかがする事じゃないかな



 ぁと……」



   北斗の言葉にスズナも頬を赤くする。



スズナ「えっ……こっ、恋人……九十九クン



 と、恋人……」



   意識してしまい力加減を間違ってしま



   ったスズナが勢いよく北斗の口に箸を



   突っ込む。



北斗 「ングッ!」



   喉奥に卵が入り苦しくなる北斗。



スズナ「あぁっ、ごっ、ゴメンなさい」



   自分のした事に気づくスズナ。



北斗 「……はぁ、はぁ。ウジノさんの卵焼



 き、とっても美味しい!」



スズナ「ほっ、ホント!」



   表情がぱっと明るくなるスズナ。



北斗 「うっ、うん!」



   にっこり笑みを返す北斗。



スズナ「嬉しいな。手料理を褒めてもらえるって」



   スズナも笑みを返す。



スズナ「それじゃあ、これも食べてみて」



   今度はシイラの漬け焼きを一切れあ~



   んしてくるスズナ。



北斗 「あ~ん」



   食べさせてもらう北斗。モグモグ咀嚼



   する。



北斗 「おいひ~」



北斗 『九十九北斗16歳、人生の春到来!』



   幸せを噛みしめる北斗。



 



〇教室・同



   北斗とスズナのイチャイチャしている



   様子をチラチラ見ているテツオとジュン。

   テツオはあまり行儀の良くない座り方

   をしている。



ジュン「何スかね、アイツ等。新学期早々、



 教室でイチャつきやがって」



テツオ「いい気なもンだぜ。真人間の分際でよぉ」



  →やや古いヤンキーっぽいテツオ



 



〇中庭・七界の碑(いしぶみ)



   中庭の中央にある1体の石碑。碑の構

   造は構成する七界から持ち寄った鉱石

   で作られ表面には七界のシンボルが刻

   まれている。

   その周囲は花壇になっていて床一面が

   レンガ造りになっている。



北斗 「あれって……」



   中庭を横切る渡り廊下を歩く北斗とスズナ。



スズナ「あれは七界の碑っていうらしいね。



 この学園が創られた時に記念で」



   横目に二人は通り過ぎていく。



スズナ「……ねぇ、九十九クンって、どうし



 てこの学校を選んだの?」



   何気なく尋ねるスズナ。



スズナ「だって、普通の高校に行く事だって



 できるでしょ? それなのに、どうして?」



北斗 「……おじいちゃんの遺言なんだ。自



分にも息子にもできなかった事をしろって。



これと言って大義があるわけじゃないけど」



  苦笑いを浮かべる北斗。



スズナ「なぁんだ。でも、どんな理由であれ、



 こうやって九十九クンと出会えたのって、

 不思議な縁だよね。この学園に通わなきゃ、

 一生会えなかったと思う……」



  俯きモジモジするスズナ。



北斗 「うっ、ウジノさん……」



   感無量な北斗。



北斗 『こっ、こんなイイ娘……僕には勿体

 ないって……』



  ゴクリと唾を飲む北斗。



  そんな時よそ見をしていた北斗に肩を



  ぶつけてくるテツオ。



テツオ「イッテッ! テメェ、どこ見てやがる!」



   北斗を見下ろすテツオ。



北斗 「てっ、テツオさん……」



   怯えた表情の北斗。



ジュン「ん? テツオさん、コイツ同じクラ



 スの野郎ですよ」



   腰巾着のジュンも横から現れる。



テツオ「アン? よく見りゃ、クラスで見た



 面だぜ。確か、きゅうじゅうきゅう(九十九)

 だったか?」



  ガンを飛ばすテツオ。



北斗 「つくも……」



テツオ「んぁ! 何だって?!」



   耳を近付けるテツオ。



テツオ「フン! 真人間の分際でオレ様に口



答えするとは、いい度胸してンじゃねぇか



! この学校での立場を教えてやる、頭と



体にな!」



  北斗の襟首を右手一本で持ち上げると



  中庭の方へと投げ飛ばすテツオ。



  ゴロンゴロンと体のあちこちを何度も



  打ち付けながら転がる北斗。



スズナ「つっ、九十九クン!」



   北斗が心配になり慌てて駆け寄るスズナ。



ジュン「さすがテツオさん。真人間をブン投



げるなんて朝メシ前ですねぇ」



 ギロリとほくそ笑むジュン。



  



  投げ飛ばされた北斗。のたうち回り花



  壇の段差で止まる。



北斗 「痛った……」



   制服のあちこちが擦り切れ頬や膝から



   出血している。



  →ここでメガネは外れている



 



スズナ「つっ、九十九クン大丈夫?!」



北斗 「うっ……うん……」



   ヨロヨロと起き上がる北斗。



   心配そうに寄り添うスズナ。



スズナ「どっ、どうしてこんな事をするのっ!」



   勇気を持って問いかけるスズナ。



テツオ「どうして? そんな事決まってンじ



 ゃねぇか。目障りなんだよ真人間が!」



   ゆっくりと歩み寄るテツオとジュン。



テツオ「テメェも同じ亜人なら分かるだろ?



 無力な人間共とどうして平等にやらなきゃ



 いけねぇ。所詮、こんな学校作ったところ



 で、分かり合えっこねぇんだよ!」



   ボキボキと指の関節を鳴らすテツオ。



スズナ「……種族が違うからって、こんな事、



 許せないよ!」



   声を張るスズナ。



テツオ「チッ、うるせぇ女だな。ジュン」



ジュン「へい」



   するとかなり離れた距離からスズナに



   向けて体内に貯えた水を水鉄砲のよう



   に噴射するジュン。



スズナ「キャッ!」



   強い水圧に体をもっていかれるスズナ。



北斗 「うっ、ウジノさん……」



   傷ついた体を動かしスズナに歩み寄る北斗。



北斗 「だっ、大丈夫?」



スズナ「いやっ……いやっ……」



   突然様子が変わり怯え始めるスズナ。



北斗 「どっ、どうしたの……」



   蹲るスズナに合わせるように屈む北斗。



スズナ「水……水……水、嫌い……」



   全身びっしょりと濡れたスズナ。恐怖



   から思わず北斗に抱き付く。



北斗 「うっ、ウジノさん?!」



スズナ「カフッ」



   我を忘れてしまっているスズナ。無意

   識に北斗の首筋を甘噛みする。



北斗 「うっ……」



   一瞬痛みを覚える北斗。薄らと血が滲む。



スズナ「……ハッ! つっ、九十九クン!」



   自分のしてしまった事に気づくスズナ。



   自分が噛んでしまった事に気づくと血



   の滲む首筋をペロペロ舐める。



 



   その様がテツオ達にはイチャついてる



   ように見える。



ジュン「この状況でもイチャついてますぜ」



テツオ「チッ! まだまだ教えなきゃいけね



 ぇようだな」



   イラッとするテツオ。



 



   深手を負った北斗と水を浴びて体に力



   の入らないスズナ。



北斗 「もっ、もう大丈夫だよ……」



   スズナに支えてもらいながら立ち上が



   る北斗。



北斗 「うっ、ウジノさんも大丈夫?」



スズナ「うっ……うん……」



   何とかスズナの手から離れる北斗。



テツオ「テメェら! 大人しくぶっ倒れてり



 ゃいいんだよぉぉぉっ!」



   雄叫びを上げながら殴り掛かっていく



   テツオ。



北斗 「にっ、逃げて、ウジノさん……」



   一歩前に出てスズナをかばおうとする北斗。



スズナ「いいえ……こっ、ここは私に……任せて!」



  女の子の細腕とは思えない力で片手だ



  けで北斗をグイと押すスズナ。



北斗 『えっ……なっ、何だ、急に力が増し



 たような……』



   よろけながら突き飛ばされる北斗。



スズナ「亜人に対抗できるのは……亜人しか



 いないのっ!」



   気づくとそこには猫又の力を出したス

   ズナの姿があった。



  →尻尾は二股に分かれ牙は鋭くなり両手



   の爪は鋭くなる。猫度が増す



 



北斗 「ウジノさん……」



   唖然とする北斗。



  →気づいてないがスズナの力で視力が良

   くなっている



 



スズナ「これ以上、九十九クンに指一本触れ



 させない!」



   北斗を守るため立ち向かうスズナ。



テツオ「オレを本気にさせたいようだな! 



 おもしれぇぇっ!」



   鬼の力を出すテツオ。額に出ている角



   が伸び先ほどよりも筋骨隆々になり制

   服が破れる。






スズナ「シャ~ッ!!」



   四足歩行のように地を駆けるスズナ。



   テツオに飛び掛かる。



テツオ「うぜぇんだよ、メス猫がぁぁっ!」



   飛び掛かってくるスズナに対し渾身の



   右ストレートを放つテツオ。



スズナ「ニャウッ……」



   テツオに触れることなく吹っ飛ばされ



   るスズナ。北斗以上に激しく体を打ち 

   付けながら地面を転がる。

北斗 「うっ、ウジノさん!」

   転がるスピードが衰えた所を全身で受

   け止める北斗。



北斗 「どっ、どうしてここまで……」



スズナ「……うっ、嬉しかったんだよ。猫又



 の血が流れてる私の事を嫌いにならなくて。



 こんなに誰かと一緒に居たいって気持ち、



 初めてなの……」



   苦痛に顔を歪ませるものの我慢しなが



   ら笑みを浮かべるスズナ。



スズナ「……つっ、九十九クンは……私が…



 …守る……か……ら……」



   北斗に抱かれながら気絶するスズナ。



テツオ「フン! 何が猫又だ笑わせるぜ。所



詮、猫のバッタモンだろ?」



  遠くから高笑いするテツオ。



北斗 「ゆっ、許さない……」



   スズナの体をゆっくりと地面に横たわ

   らせる北斗。



北斗 「誰だろうと、ウジノさんに手を出す



 奴は……許さなぁぁいっ!!」



   ゆっくりと立ち上がる北斗。すると北



   斗の体は徐々にスズナのような猫系の



   亜人のようになり両手の爪が鋭くなり



   八重歯が伸びる。



ジュン「な、何だ……アイツ……」



テツオ「真人間じゃねぇのかよ……」



   テツオ達を始め周囲で見ている生徒達



   も唖然とする。



北斗 「ウォォォォッ!!」



   怒りに我を忘れる北斗。体から妖気が



   にじみ出る。我を忘れテツオに向かっ



   ていく北斗。



テツオ「フン、もっと痛い目に遭いたいよう



 だなぁ……いいぜぇっ!」



   身構えるテツオ。



北斗 「ウォォォォッ!」



   テツオに殴り掛かろうとする北斗。右

   腕のばそうとした瞬間何者かが突然北

   斗の拳をガシッと掴み止める。



学園長「そこまでじゃ!」



   北斗を止めたのはやや古風な装いをし



   た童女がいた。長くて太い尻尾を垂ら

   している姿が目を引く。



ジュン「……がっ、学園長!」



   目を見開くジュン。



学園長「やれやれ……お主、何度言えば分か



るのじゃ。また留年したいのかえ?」



 テツオを見上げながら睨み付ける学園長。



テツオ「うぐっ……」



   ビビるテツオ。元の姿に戻る。



学園長「お主も……もう止めるのじゃ。良いな」



 掴んでいた左手を離すと北斗は急に体



 から力が抜けてその場に倒れる。



 



〇保健室



   意識を取り戻した北斗。気が付くとベ

   ッドの上にいた。



北斗 「こっ、ここは……」



   顔には手当てがしてある。



学園長「うむ、気が付いたようじゃな」



   ベッドの傍には学園長がいる。



北斗 「はっ! うっ、ウジノさんは……」



学園長「安心せぇ。隣で寝ておる」



   視線を動かすと隣のベッドで寝ている



   スズナ。同じように手当てを施されている。



北斗 「あっ、あの……何が起こったんですか?」



学園長「お主、覚えておらぬのか……う~む……」



   神妙な面持ちの学園長。



学園長「お主、どうやら特異体質を持ってる



 ようじゃな。真人間には珍しく」



   腕組みをする学園長。



北斗 「特異……体質?」



学園長「カメレオンが周囲の風景に擬態でき



 るように、お主は接触という行為で能力を



 コピーするようじゃな」



   スズナに噛まれた北斗の首筋を撫でる



   学園長。



学園長「ただ、力を発揮するには感情の高ぶ



 らぬといけないがな」



  →子供サイズのためやや背伸びをする学園長



 



北斗 「ぼっ、僕にそんな力が……」



   布団から右手を出して見上げる北斗。



学園長「まぁ、活かすも殺すもお主次第じゃ。



 今は体を休めるが良い」



   ポンポンと北斗の体を布団の上から優

   しく叩く学園長。そのまま出ていく。

   静かになった保健室。改めて隣のベッ

   ドで寝ているスズナに目を向ける北斗。



北斗 「活かすも殺すも、自分次第……」



   天井を見上げる北斗。



北斗 「誰かを守るためには必要なんだよな……きっと」



   ゆっくりと目を閉じる北斗。



北斗M「とまぁこんな感じで、僕のスクール



 ライフは始まった。ケガは絶えないかもし



 れないけど、大切な人の為になるなら……」



   二人が寝ているベッドの引きの画。



 



           END



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登場人物紹介

九十九北斗(16)男:普通の人間

スズナ・ウジノ(16)女:猫又の亜人


テツオ 鬼の亜人。男

ジュン カエルの亜人。男


学園長(?)女:龍の亜人。普段は童女の姿

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