じぇり子がラッパを吹き鳴らす!

作者 No.37304

[ファンタジー]

9

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とにかくラッパは吹かせるな!

唐突に現れた有翼系美少女・じぇり子。
彼女がラッパを吹くと、周囲には壊滅的な被害が発生する。
その存在が天の御遣いであるのかそうでないのか、ラッパはジェリコの壁を崩したアレなのかそれとも黙示録の御使いのアレなのか、そもそもこいつは天使なのかそうでないのかはたまたエイリアンなのか、分からないままに法王庁だのCIAだの公安だのが入れ代わり立ち代わり現れては案外神学的な論争を繰り広げたりする。
でも、ちょっと待って欲しい。
単にこいつは、ラッパが下手なだけの未確認生物じゃあないのか……?

目次

連載中 全3話

2018年03月02日 00:52 更新

登場人物

じぇり子:唐突に現れてラッパを吹き鳴らした謎の有翼系美少女。ラッパは色々と壊滅的。
ラッパを止められるのはおせんべいだけだ!

 あの日、戦場は嘘のように静かだった。その場に居た俺が言うんだ、他の誰も信じるもんじゃあないだろう。勿論、何キロメートルか先じゃあ古代の円形劇場で連中が気に食わない奴を処刑したり、もう何十キロか先では空の上を腹に爆弾を抱えた爆撃機が飛んでいたりしたんだろう。だが、その時、俺のいたあの場所だけは恐ろしく静かだったんだ。
 だから、俺も部隊の連中もなんとなく気が抜けていたのかもしれない。いや、気が抜けていてもいなくても、高硬度からの戦略爆撃なんぞ避けられるもんじゃあなかったろうが。
 サイードのやつが居なけりゃあ、俺もあの場所でお陀仏だったろう。だが、俺には幸運の女神ってやつが付いてたようだ。その女神様は少しばかりサディストの気があるようだがな。
「おい、まだくたばっちゃいねえようだな」
 視界いっぱいに広がったサイードの髭面に、気の利いたジョークでも返してやろうと思ったのもつかの間、やつは俺の上に倒れ込みやがった。おいおい俺にゃあソッチの気はないぜ、なんてジョークが頭をかすめるよりも、サイードのやつの体重が恐ろしく軽いことに気づくほうが早かった。なんてこたあない、やつの下半身はロシア製の爆弾で吹っ飛んでいやがったのさ。体重が二分の一になりゃあ誰だって軽く感じるもんだ。
 俺が体重を大幅に減らさずに済んだのは、それこそサディスティックな女神様のおかげさまとしか言いようがない。そうでなきゃあ、俺みたいな奴が生き残って、サイードみたいな気のいいやつだとか、毎晩祈りを欠かさなかったヤハシュだとかがくたばっちまった理由が理解できないってもんだ。
 嘘みたいな平和に満ちた故郷に帰ってきてから思い出すのは、あの時、爆音が鼓膜を震わせる前に部隊のやつらと話していた会話の事ばかりだ。俺がちょっとトランペットを吹けるって話をしたら、あいつらときたら、やれ吹いて見せてくれだの吹き方を教えてくれだのと騒がしくて仕方がなかったんだ。
 奪還されたあの円形劇場じゃあクラシックのコンサートが開かれたらしい。俺の下手くそなペットの音すら聞けなかったあいつらが無様に死んでいったあの土地で。

 それはそうとして俺の名前は譲、百々目譲だ。

来栖神父:キリスト教の解説役その1。毬谷牧師とは腐れ縁の中。別に神罰の地上代行者ではない。

毬谷牧師:キリスト教の解説役その2。近所のよしみと言って何かと来栖神父の教会に現れる。パニッシャーではない。

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じぇり子がラッパを吹き鳴らす!

No.37304  No37304

執筆状況
連載中
エピソード
3話
種類
チャットノベル
ジャンル
ファンタジー
タグ
聖書マンガ大賞
総文字数
0文字
公開日
2018年03月02日 00:38
最終更新日
2018年03月02日 00:52
ファンレター数
0