
腹黒家老の娘は天下泰平を目指す
女の子が主人公の、ラノベっぽい江戸時代を舞台とした小説を読んでみたかったので自分で書きました。
時代は幕末、架空の藩「一狭間藩」で、下級武士の娘タカが幸せをつかむまでの物語です。
タカの家はしがない下級武士だったのですが、父が大出世し家老にまで昇進します。ところが父は「腹黒家老」として突然失脚します。そのとばっちりで、タカはお殿さまに斬首を命じられます。しかしお遍路の旅の途中だという口実を作ってもらい、処刑は免れます。
そのため、いつも目立つ白帷子の旅装で暮らさなければなりません。
ある日、旅の僧から「婚約者の綺羅之丞さまにお守り袋を渡してほしい」と頼まれ、タカは必ず渡すと約束してしまい、父母と静かに暮らしていた流刑の村を出ることになります。
タカには家同士で決められた形だけの婚約者いました。それが榊綺羅之丞さま。
綺羅之丞は、藩主の息子なのになぜか家臣扱いされ、外にほとんど出ないで育った美少年です。もちろんタカは会ったこともない。
叔父と叔母とともに村で暮らすことになったタカ。けれど、なかなか綺羅之丞さまに会えません。けれど泥棒の濡れ衣を着せられた事件を経て、なんとか綺羅之丞に会い、お守り袋を渡すことができます。「性悪」と噂される綺羅之丞さまですが、会ってみると自分の本当の両親が誰なのか知りたがっている、繊細で人見知りの少年でした。
以後、二人にはいろいろとトラブルがふりかかってきますが、時々ケンカしながら助け合って乗り越えていきます。タカは不安定な身の上ですが、最終的にお城の奥御殿の御庭番となります。いじめられたり、仲間ができたり、お姫さまの警護などもするようになります。
また綺羅之丞は、「胡乱改役」という閑職に就きます。しかし、藩内のトラブルを未然に防いだりします。でも幕末なので、佐幕派の一狭間藩の内情も物騒になっていきます。また綺羅之丞の父とされる「大殿さま」。隠居だけどいまだ隠然たる力を持ち、藩の実権を握っています。綺羅とは非常に不仲で、そもそもタカを処刑しろと命じたのがこの人です。いろいろ二人の邪魔をしてきます。
二人が暮らす一狭間藩は、地獄とつながる山、時や距離を超えられる神社など、不思議な場所がいろいろあるため、とても閉鎖的です。また「お仕事市」と呼ばれる人材派遣市のようなものがあります。それを牛耳る謎の商人「魔蝶屋」は、異界の妖怪たちが経営しており人々を翻弄します。
タカは無事、父母と再会し平穏に暮らせるのか?綺羅之丞の実の親は見つかるのか?
目次
連載中 全27話
2022年06月11日 10:00 更新
- 序章-原黒家老の娘2022年01月07日
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第1章
- その父、腹黒家老に付き(1)2021年12月17日
- その父、腹黒家老に付き(2)2021年12月17日
- その父、腹黒家老に付き(3)2021年12月17日
- その父、腹黒家老に付き(4)2021年10月25日
- その父、腹黒家老に付き(5)2021年10月25日
- その御頭、美少年に付き(1)2021年10月25日
- その御頭、美少年に付き(2)2021年10月25日
- その御頭、美少年に付き(3)2021年12月17日
- その御頭、美少年に付き(4)2022年01月07日
- その御頭、美少年に付き(5)2021年10月31日
- その約束、面倒に付き(1)2021年10月31日
- その約束、面倒に付き(2)2021年12月10日
- 綺羅之丞、タカの話を補足する2021年12月17日
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第2章
- その男、幽霊に付き(1)2021年12月17日
- その男、幽霊に付き(2)2021年12月17日
- その男、幽霊に付き(3)2022年01月07日
- その男、幽霊に付き(4)2022年01月07日
- その男、幽霊に付き(5)及び綺羅之丞、タカの話を補足する2022年01月07日
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第3章
- その仕事、面倒に付き(1)2022年01月07日
- その仕事、面倒に付き(2)2022年01月07日
- その仕事、面倒に付き(3)2022年01月07日
- その仕事、面倒に付き(4)2022年01月07日
- その娘、「見える」に付き(1)2022年01月07日
- その娘、「見える」に付き(2)2022年01月07日
- その娘、「見える」に付き(3)2022年06月11日
- 綺羅之丞、タカの話を補足する2022年01月07日
登場人物

タカ
主人公。15歳。家老だった父、原黒田左門が汚職の罪で失脚し「腹黒家老の娘」と呼ばれる。処刑を免れるためいつも白装束のお遍路姿でいる。綺羅さまは婚約者。地味でまじめな性格。静かに平穏に暮らすのが夢。
本人は分かっていないが、幽霊が見える。殿さまに処刑を命じられている身の上なので、皆に半分死んでいると思われているからだろう、と綺羅之丞は分析している。

綺羅さま
榊綺羅之丞。タカの婚約者。15歳。一狭間藩士。榊家当主。知行は三百石だが年少なので百石。家中の思想犯を取り締まる胡乱改役御頭見習い。でも閑職と言われている。先代殿様「大殿さま」を父に持つ。美少年。驚異の記憶力。ガンコで繊細で人見知り。タカより背が低いのが悩み。たまにお姫さまの姿をして、大殿さまに面会に行かなければいけない。


叔父さま
豊作村善兵衛。タカの叔父。まじめ、お人よし。豊作村の庄屋。でも小さい村なので別に豪農ではない。だいたい持ち高四十石くらい。副業として米作以外に城下の町に卸すための花も栽培している。大男で、若いときは村の相撲大会でわりと強かった。下戸。

貞柳さま
タカの住む豊作村の尼寺、福寿寺の庵主さま。もとは奥御殿の奥女中だった。脊柱管狭窄症のためお城を下がり得度して尼さんになった。村の女性たちや、タカの良きアドバイザー。甘い物好きだが、酒も好き。恋バナが好き。実は綺羅の実母について知っている人物。

綾野玲三郎
榊家用人。綺羅之丞の家来。長身の美男。優しい。おしゃべり。ものしり。実は事情があって長州藩士に追われており、こっそり綾野玲三郎になりすましているだけ。英語に堪能で、綺羅に世間の広さを教え、二人だけでいるときは先生のようになる。

大殿さま
架空の藩、一狭間藩の十三代藩主。タカの父である原黒田左門を抜擢したが、のち罷免し、タカとタカの兄の斬首を命じた。優秀な人物だが、時々残酷なため隠居させられ弟に譲位した。しかし藩の実権を握っている。保守的。佐幕派。側室との間に生まれた綺羅之丞を実子と認めていない。

大海原求馬
一狭間藩の名門、大海原家の五男。二十五歳。独身。藩士を監察する大目付の部下で、胡乱改役御頭見習いの綺羅之丞の後見役。神通虚心流という剣術と柔術の流派で免許をもらっているので、そこそこ強い。父や兄弟は重臣なので出世したいと思っている。また早く結婚したいと思っている。母上と仲良し。マザコン気味。
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