３２歳、サラリーマン、趣味は競馬、好きな漫画は静かなるド〇。
　恋愛なし、家族なし、友達２名、優れているものなしの至って何処にでもいそうな三次元のモブキャラ。
　異世界転生という妄想廚を繰り広げる痛々しい大人であり、少し現実と向き合うのが嫌いな男だ。
　そんな男がある日、コンビニ、中年おっさん、夜、横断歩道、サラリーマンという如何にも異世界転生しそうな場面に陥った。
　だが実際、異世界転生することなく、俺を助けようした女子高校生が車に引かれて死んでしまった。
　
　罪悪感は勿論あるが、異世界転生をするときに主流となってしまった死を味わえず、女子高生を殺してしまった罪悪感による無意識の逃亡。
　多くの人間がそのサラリーマンを捕まえようとするが、時は既に遅く、最後までクズを保ちきり、段ボールの中にあった１本の鉄バットで自害する。

　この時、彼はふと思った。
　異世界に転生したのなら、平凡であれど、優秀であれど、必ず人に胸を張って生きれる人間になろうと。

　こうして彼の異世界生活・・・・ではなく、彼の壮大な人生生活が始まる。