セリフ詳細

そもそもルネッサンス以前は『正常』と『異常』の境目がいまより曖昧だったと思うんだ。医療技術は発達していなかったから、現在よりずっと多くの今で言う異常のある人々がいた。戦争とかの四肢欠損やくる病とか脊椎カリエスとか身体が変形している人なんてたくさんいただろうし、識字率も低くて論理的な思考ができない人なんて山ほどいた。恐らく現在ではなんらかの異常として網にかかる人は溢れていたと思う。

だからことさらその人達の地位が低いわけではなくて、狂気的な戦士(バーサーカー)や異形の宮廷道化師とかは高い地位を得ていた。

おそらく『変な人』の振れはばが今では考えられないほど大きかったんだと思う。

創造の分野でも狂気は結構重視されていて今でも画家とか文豪は変なやつが多い(風評被害。

社会に容認されるレベルのそういう人らは振れ幅が大きければ神の力を現世に顕現する存在として、小さければ有用な人間として社会の中で内在されていた。容認されないレベルの人らはおそらく犯罪者として放逐されたり処刑されてたりしただけなんじゃないかと思う。

別の論者は近代の「精神病」というカテゴライズによって初めて狂人を「動物」ではなく「人」として認識されたという話もある。

ようは社会に有用な異常かどうかという問題でしかなくて、有用でも有害でもまとめて監獄に突っ込んだのが17世紀だったのではないだろうか。


作品タイトル:【本編未読OK】君と僕らの備忘録

エピソード名:フーコーの狂気の取説

作者名:Tempp  Temppp

22|日記・個人ブログ|連載中|45話|175,539文字

作品解説, 建築, ミステリー, 宇宙, 妖怪, 都市伝説, 文学, 死体, 法律, 宗教

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【本編未読OK】
一般小説で書いてる作品に出て来た用語等を独断と偏見で解説するチャットノベルです。
単独でも内容がわかるようにしているつもりです(一部の次回予告除く?)。
以下、主なUP記事(未公開含む)
・ 擬洋風建築はロマン砲
・ ブードゥー教とゾンビ映画
・「魂と魄」、キョンシーと道教
・ 口裂け女は現代日本で生きていけるか
・ 神社合祀と伝承の断絶
・ ヘビ毒とヘビの生態、その他の動物毒
・文系でもわかる(といいな)、ビッグバンと多次元宇宙論とか

【修正】字句等については適宜。
10/26 カテゴリかミステリーになっていたので、日記に修正。その他とかの方がいいのかな、よくわからないな。