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[創作論・評論]
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「なんのことはない、私の錯覚と壊れかかった街との二重写しである。そして私はその中に現実の私自身を見失うのを楽しんだ」 梶井基次郎『檸檬』
完結 全1話
2020年08月21日 06:01 更新
登場人物が未設定です
琳
批評などという偉そうな文章を書いて改めて感じられるのは、 優れた批評文というのは、現実を生活する人々が共同し幻想する〝「われわれの」虚構〟を バージョンアップさせるような装置であるという事です。 かつて丸谷才一は批評家の使命を「文明貢献」と呼んでいました。 丸谷の理想と比べると、私の文章など自己幻想でしかないのですが、 言葉の力で〝「われわれの」虚構〟を解体し「文明貢献」を果たす、 そうした夢想を語りたくなる気分はわかる気がします。 そうであるなら、作家の皆さんは読者ばかり ... 続きを見る
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未村 明(ミムラアキラ)
いえ私こそ恐縮です! 私こそまさに別人格を作ることで生き延びてきた人間で、もちろんフィクション上のですが。 ただ、私はミステリーを読むと、つい簡単に殺されるマイナーキャラに目が行ってしまったりするのです。つきあいがある俳優たちが皆売れない人で、超メジャーなミステリードラマの、出てきてすぐ台詞もなく殺される役とかを演じていてたりするものですから。笑 虚構を現実に実装することで生き延びる道もあり、その希望は直接、虚構そのものと現実そのものの可能性をともに拓くものだと、琳様のお返事を読んでうなず ... 続きを見る
この度はご感想をありがとうございました。 公開してすぐにこのようなお手紙をいただけるとは夢にも思わず、大変恐縮しております。 虚構を現実に実装することの不毛さ、哀しさというのは、とてもよくわかります。 それらはどちらかというと、つらい現実を忘れる、ひと時の逃避として機能してきたようなところがあるからだと思います。 キャラとは解離性同一性障害における交代人格の一種とすら言われる事もあるくらいですものね。 ただ、それだけではないのかもしれない、と最近は考えるようになりました。 虚 ... 続きを見る
おはようございます。書評、面白く読ませていただきました。私はミステリは読まず(すみません)、『法廷遊戯』も読んでいないのですが(本当にすみません)、琳様の書評ですっかり読んだ気になってしまいました。ごめんなさい!(表紙がものすごく綺麗ですよね、『法廷遊戯』。) 「リアリティが観念のルールに侵食される」こと、「虚構を現実に実装すること」。前者が受け身の認識なら、後者は積極的なアプローチですよね。その行きつく先に私などは不毛さを感じてしまうので、その分後者のほうが哀しく感じられます。と同時に、いま ... 続きを見る
二重写しの日常
琳 quantumspin