真帆と瑞穂 ~ある二卵性双生児の日記~
真帆と瑞穂の物語(1)
神崎真帆と神崎瑞穂は二卵性双生児として産まれ、すぐに「双生児レジストリー」に登録された。他人には「一卵性の引き立て役」と、やや自嘲気味に表現してきた。間違いではない。研究者が知りたいのは、一卵性双生児がなぜまったく異なる人生を歩むのか?に対する回答であり、二卵性双生児が極めて似通った人生を歩んだとしても、正直あまり興味・関心を抱かない。
ただし、物心つく前から研究室に通いはじめたことは、真帆の「聴覚過敏」を早い段階で発見するという僥倖をもたらした。地元の国立大学の研究室の診断というお墨付きがあったから、学校の無理解という余計な苦労をせずに済み、発達障害などという不必要なレッテルを貼られてしまうことからも免れた。
この春、郷里を離れて東京での生活をはじめるに際し、ふたりには隣り合う部屋が用意された。真帆がそのいささか特異な感覚世界の中で漂流してしまわないために、瑞穂は折につけ耳元で呼びかけてやらなければならないのだ。
――太陽の位置を見てごらん? 頬を撫でる風を感じてごらん? 時間と方角は合ってるかい?
目次
完結 全17話
2023年01月28日 19:15 更新
- §01 「日記=nikki≠diary」2023年01月28日
- §02 神崎家の双子(前)2020年12月18日
- §03 神崎家の双子(後)2020年12月19日
- §04 広瀬将@真帆2020年12月19日
- §05 美杉遥@真帆2020年12月19日
- §06 「エピジェネティクス」2020年12月19日
- §07 日高英美里@瑞穂2020年12月19日
- §08 広瀬将@真帆2020年12月19日
- §09 種村佳志@真帆2020年12月19日
- §10 タイムスタンプ@真帆2020年12月19日
- §11 タイムスタンプ@瑞穂2020年12月19日
- §12 「ニューロトランスミッター」2020年12月19日
- §13 土曜日の朝@真帆2020年12月19日
- §14 土曜日の昼@瑞穂2020年12月19日
- §15 土曜日の夕@真帆2020年12月19日
- §16 「快復した病気」2020年12月19日
- §17 土曜日の夜@真帆と瑞穂2020年12月19日
登場人物
登場人物が未設定です
ファンレター
ファンレターはありません
小説情報
真帆と瑞穂 ~ある二卵性双生児の日記~
- 執筆状況
- 完結
- エピソード
- 17話
- 種類
- 一般小説
- ジャンル
- その他
- タグ
- 双子, 姉と弟, エピジェネティクス, 聴覚過敏, 恋, 二卵性双生児
- 総文字数
- 88,017文字
- 公開日
- 2020年12月17日 01:56
- 最終更新日
- 2023年01月28日 19:15
- ファンレター数
- 0