目次
完結 全19話
2020年09月27日 20:50 更新
- 抱きしめて欲しい 2020年05月17日
- 青空、緑色の炎、黄金の蜜2020年05月25日
- 旅先の祭り囃子2020年05月31日
- 扉は無限数個ある2020年06月14日
- 八百屋で買った馬鈴薯は、土がついていてどれも不揃いだった2020年06月21日
- ズジェンカの答え2020年06月28日
- 読みかけの本の結末だけが少し気になったが2020年07月05日
- 透明ワニと歌わない鍵盤 2020年07月12日
- ポラリスは積乱雲の中に突入していく 2020年07月19日
- ハイリヒトゥームは遂に聞きそびれてしまった2020年07月26日
- そして、もうひとつは、 2020年08月02日
- 本当に最悪な日2020年08月09日
- オニオンスープの中から2020年08月16日
- 彼はそうして偉大になった2020年08月23日
- だがハッピーエンドを望むことの何が悪いのだ?2020年09月08日
- 鈴木はこの時 2020年09月08日
- 酸っぱい林檎の使い途2020年09月13日
- 僕は時々、迷ってしまうのだけれど 2020年09月20日
- 三日月は困ってしまった2020年09月27日
登場人物
登場人物が未設定です
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恋愛に陥ってしまったときの気持ちの反芻と手遅れ感が、絶望的でありながら蜜のようです。足元をすくうような不幸は、時として今まで考えなかったことを突きつけてきて、ある意味人生に深みをもたらすものかもしれないな、などと感じました。
酸っぱい林檎になぞらえて、傷つけ合いながらも依存し合うくだりの筆致に、琴線が震わされまくりました。そして姉の瞳が翳ったシーンを何度も反芻する部分。毎回構造や展開に意表を突かれ、深い読後感を味わっています。
思うところあって調べ物をして、『円環的因果律』という言葉を知りました。主人公を乗せた電車は人生の終わりに向かって直線的に進行するのではなく、現在・過去・未来包括して物語は円環的に進行していったので。単純に原因ー結果を結びつける直接的因果律には囚われるべきではないのだと語りかけてくる。主人公は孤立しているように見えて世界と関わり合っている。すべての人の関係性の中に存在しているとも言える。いつも容易に共時的な全体構造が把握できるのは、作者の透徹な視点の高さによるものと感じます。
効率よく面倒ごとを避け続けるうちに脆弱になる精神。死後に残される運命の借金。ずっと寄り添っていたジョワはパルフェの魂の一部か。パルフェが俗にまみれていたときには忘れ去られていたジョワが、死を目前にして寄り添い泣いてくれるラストシーン。確かに読み返すと32歳のハプニングまみれのパルフェはとてもチャーミングだ。価値観の洗い替え。何が起こるかわからないのは恐いけど、自分なりに腹を据えて対応していくしかないのだなぁと考えたりして、今週も有意義でした。
小説情報
特に柔らかい欺瞞を憂鬱ほどの分量でⅣ
- 執筆状況
- 完結
- エピソード
- 19話
- 種類
- 一般小説
- ジャンル
- その他
- タグ
- 短編, 自然, 純文学, 思想, 人生, SF, 哲学, 不思議, 読み物, 愛
- 総文字数
- 174,641文字
- 公開日
- 2020年05月17日 18:56
- 最終更新日
- 2020年09月27日 20:50
- ファンレター数
- 13