破れかぶれでスウィング(前編)

作者 橘 孝蔵

[学園・青春]

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【概要】本作品は1976年~1980年の東京の西北大を舞台に、ジャズと友情と恋の大学生時代を描いた自伝的青春グラフィティである。高校時代を描いた「B♭の放課後」、浪人時代を描いた「木屋町でブルース」の続編となる青春三部作の完結編である。

【あらすじ】
札幌城南高校を卒業後、京洛大を目指して京都で予備校生活を送った主人公柏木涼は、念願叶わず京洛大の入試に失敗し失意のうちに東京の西北大へと進学することを決める。その心の中は経済面を始めとして大都会での独り暮らしへの不安で一杯だった。

入学式当日、柏木は偶然にも札幌城南高校のジャズ研で一緒に活動していたトランペットの矢野君、ジャズ研の私設応援団長だった矢部君と再会する。何と三人が三人共それぞれの事情を抱えて西北大に進学していた。気心の知れた昔馴染みの存在は心強い半面、置かれていた環境は大きく異なっていた。彼ら二人はそもそも東京出身であり、柏木一人だけが全くのお上りさんだった。加えて経済的な基盤も大きく異なり、生活のためにアルバイト暮らしを余儀なくされていたのは柏木だけ。その環境の違いはプライドの高い彼にとっては屈辱的であり、心の中にモヤモヤとした僻みや劣等感が芽生え始めていく。

柏木が西北大での学生生活に求めたものはジャズだった。それは同窓の矢野君も同じだった。そこに矢部君も加わって三人は西北大のビッグバンドに入部する。しかしピアノ弾きの柏木には練習する楽器すら無い。家庭教師のアルバイトが見つかったこともあり、彼は有り金をはたいて当時出たばかりの電子ピアノを購入し本格的にジャズに取り組み始める。その矢先、入部したビッグバンドの先輩の余りに横暴な言動に激怒して柏木は退部する。こうして彼は学生生活での最大の目標であるジャズを失ってしまう。

家庭教師のアルバイトもどこか自分自身で納得がいかず結果的に辞めてしまう。それ以外にも東京は人間の様々な醜悪な部分を見せつけてくる。柏木の大学生活は全てが思い描いたものとは真逆に進んでいく。「何のために東京に出てきたのか」柏木はその意味すら見失い始めていく。そんな彼を救ったものは、それもまたジャズだった。

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小説情報

破れかぶれでスウィング(前編)

橘 孝蔵  foreststream2

執筆状況
完結
エピソード
19話
種類
一般小説
ジャンル
学園・青春
タグ
総文字数
145,716文字
公開日
2023年05月25日 17:33
最終更新日
2023年06月22日 04:42
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