Es ist Kain!
ニホンオオカミのクローンが野生化してから約二十年後、一冊の本が発行された。
題名は、〝Es ist Kain!〟。
ドイツ語で「それはカインだ!」を意味するその本には、中世ヨーロッパの追放刑や、「人間狼」などの「罪と罰」を扱いながら、二十年前の噴火以来の浅間山周辺の変化が描かれていた。
しかし、周辺経済の変化や銃刀法改定には触れられているのに、ニホンオオカミに関する記述はない。
違和感を覚えた幼馴染に頼まれ、本の著者やその背景について調査を始めた女子大生、巴は、表に出てこない、現代の「人間狼」の存在に気付く。
※時系列としては、〝wO-LVes ~オオカミのいる日本~〟の二年前になりますが、それぞれ独立した物語です。
登場人物
絵馬真昼(えままひる)
公立中高一貫校の中等部一年生(4月から二年生)。
容姿も声も少女のような少年。厨二病。
性格は基本的にツンだが、野宮伝にはデレる。
巴たちの「Es ist Kain!」の調査に付き合うが、真意は別にある。
野宮伝(ののみやつたう)
赤帽ドライバー。
妹の萌(もゆ)、同級生の真昼とその双子の姉、深夜(しんや)の保護者的な立場。
三年前、麻袋や巴の東京への引越しを担当した縁で彼らに協力し、「Es ist Kain!」が書かれた背景について調べる。
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