セリフ詳細

ソクラテスの「無知の知」は有名だけれど、あれは「無知である自分を知っている」という意味ではないのだ。

「自分はほんとうのことを知らないことを知っている」という意味なんだ。

これは含蓄のある言葉だよ。


「ほんとうのこと」を知らないことは、無知である。

誰もほんとうのことを知らない。でも、それを知っているということを誰もが知っているとしたら、誰もほんとうのことを知らず、ほんとうでないことばかりを知っている、ということになる。


ほんとうのことを知らない人間が、何を知った気になって、したり顔で優越感に浸っているのだ、という自戒を促す言葉にも聞こえる。


ソクラテスは、このチャットノベルのような対話形式で── それを記したのはプラトンだが── アテナイの中央広場で対話をし、相手を論破し続けた。


YouTubeでよく見かけるような著名人のする、ただ相手を論破するための論破ではない。

対話をすることで、『真実』を見つけようとしていたんだよ、相手とともに。これを、ソクラテスは生涯の仕事とした、と言っていいだろう。


机に向ってひとりで書いていては、真実、つまりホントウ、というものに辿り着けない。

言葉は、生きている相手と対話して、初めて生きるということを知っていたのだ。

作品タイトル:ペシミスティック・サロン

エピソード名:第6話 創作について (b)

作者名:かめ  soyogo0305

35|社会・思想|完結|7話|11,469文字

考え方, ものの見方, 恋愛, 創作

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「対話」のみの文を書こうとしていたのですが、だったらチャットノベルにチャレンジしてみるか、となりました。
内容は、考え方・ものの見方、思想的なものになると思います。