「コウちゃんのお嫁さんになってあげる」

──夢のなかで誰かが云った。

都会の片隅から、かつて住んだことのある山間の片田舎へと引っ越してきた高校２年の葉山浩太は、ある夜、古い記憶のような夢を見た──。

小学校の４年生まで住んでいたはずのこの場所に、何の記憶も残っていないことを不思議に思いながら、浩太の高校生活が始まる。

昔の浩太を知っているらしい４人の同級生、双子の茜と蒼、学級委員の明弘、茜の親友の結沙──。
彼らとの時間を過ごす中、浩太はこの里山に惹かれていき、４人との絆を深めていく……。

そんな彼らには秘密があった。
その秘密は人に知られてはならず、もし知れてしまえば彼らはここにはいられなくなってしまう。
そしてその秘密は、浩太の失くした記憶にも関係していた──。