雨に濡れても

[恋愛論・結婚]

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 六月。通勤の朝、駅の外は雨だ。傘はない。空を見あげるタエを傘が覆う。驚いて傘の持主を見る。どこか見覚えある顔の男だ。
 タエは相合い傘で歩いた。タエに傘を渡したまま彼が途中のビルに入る。三洋テキスタイルだ。タエは傘を借りてMarimuraに着く。借りた傘は返さねばならないが彼の名前も聞いていない。わかるのは社名だけだ。
 タエとケイは社長就任あいさつと口実をつけて三洋テキスタイルを訪問した。
 タエは彼と会って傘を返し、素材サンプルを依頼して、素材の新開発について質疑する。彼はタエやケイと同郷の出身で妻と離婚協議中だった。彼の妻の妹が彼と親しいのをタエは知った。
 社内人事と新企画を巡る論議から、タエとケイが社長に就任する前に会社乗っ取りを企てた一味の残党が社内に残っているのが発覚したが、その者たちは産業スパイと暴行の現行犯で逮捕された。
 これで一件落着に思えたが、新企画を巡って、タエと三洋テキスタイルの担当者が新企画をライバル社に売り渡したとの疑惑が持ちあがった。全ては、会社乗っ取りを企てた一味の残党が仕組んだ策略だった。タエとケイはこの難局をどうやって乗りきるのか?
 今、若い女性社長の真価が問われている・・・。