エリートたちの宴
不思議なことに最初ヌメッとした唇の感触が、だんだんと私の躰を痺れさせ始める。
六年ぶりのキスの味が、私の躰の力をどんどん奪ってゆく。
社内でしか通用しないエリート意識が、閉鎖された組織の住人の性のモラルを狂わせる。
中堅電機メーカー早川通信工業の人事部で働く工藤絵里は、おかしいと思いながらも他の部署にはない特権に魅了され、家族のために働き続ける。
度重なるストレスは絵里の心と身体を蝕み、自分を侮辱した同僚公佳に酷い仕打ちをしてしまう。
傷心の公佳はこの世を去り、幻影と成って絵里の前に現れる。
そんな絵里たちの前に毒に侵されていない男が現れる。男の名前は有島航。絵里たちが常識としていた考え方が、航にはまったく通じない。
人事部のメンバーたちが慎太郎を煙たがる中で、絵里は航への興味が増していくが、他の同僚たちは絵里の変化を認めない。
果たして絵里は航と同じ世界に戻れるのか……
登場人物
登場人物が未設定です
ファンレター
ファンレターはありません