亡霊は、鎮魂歌を唄わない―仁祖反正《インジョパンジョン》異聞―

作者 神蔵眞吹

[歴史]

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「俺は、王位が欲しいわけじゃない」

 時は万暦《マンリョク》四十二(一六一四)年、光海君《クァンヘグン》治世下の朝鮮。
 先年、謀反の旗印に担ぎ上げられた廉で、王弟の身分を剥奪され、江華島《カンファド》へ流刑となっていた永昌大君《ヨンチャンテグン》こと李㼁《イ・ウィ》は、流刑先の家に火を掛けられ、焼き殺される。
 彼の暗殺は伏せられ、表向きには病死として、都へは報せがもたらされた。

 それから七年後。
 八歳以前の記憶を失った美貌の少年・恁時雅《イム・シア》は、父・恁希吉《イム・フィギル》と共に、朝鮮八道を転々とする生活を送っていた。
 自分がどうして記憶を失ったのか、なぜ世間から身を隠し、性別を偽って旅を続けねばならないのか、まったく分からないまま。
 そんなある日、父と共にある事件に巻き込まれたシアは、炎に囲まれたことを切っ掛けに記憶を取り戻す。
 炎を放った者たちとの戦いで、養父と分かったフィギルが命を落としてしまい、悲嘆に暮れたシアは、すべてを知るべく都を目指すが――?

 意思とは無関係に王位継承争いに巻き込まれ、殺され掛けた少年の、超長編・報復アクション時代劇、開幕!

※本作は、李氏朝鮮王朝時代の史実を元にしたフィクションです。
実在の人物、地名その他が登場しますが、一切関わりはありません。
※一通り史実をさらっておりますが、妄想・脚色が最優先です。
※〔〕内は注釈です。
※コバルトの旧ロマン大賞(2014年度募集)へ応募した作品を元に、大幅改稿・執筆していた作品(2015~2020年執筆・未完/E星にて公開中)を、更に改稿した作品です。
※個人サイト、なろう、E星にも掲載しています。
※登場人物欄は、先の展開のネタバレを含む場合があります。そうならないよう注意して加筆修正もしていく予定ですが、ネタバレが苦手な方はご注意下さい。

©️神蔵 眞吹2020-.
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登場人物

恁 時雅《イム・シア》(15)


主人公。本名・李 㼁《イ・ウィ》。身長・(現時点で)158cm、体重・45kg。

現国王の異母弟であり、先代王・唯一の嫡男。廃位されているが、王子名は永昌大君《ヨンチャンテグン》。

謀反の旗印にされたという罪状で、王族としての身分を剥奪され、七歳で江華島《カンファド》へ流刑となった。

八歳の時、焼き殺され掛けたショックで髪の色は白銀になり、記憶も一時失っていた。

周囲の目を誤魔化す為、少女として生活している。

幼少期から父(と思っていた)韓 希吉《ハン・フィギル》に厳しい訓練を受けており、すぐにも体探人《チェタミン》〔国境諜報員〕として活動できるくらいの技術と戦闘能力を持つ。


基本的に正義感が強く、少々捻くれているが優しい性格。困っている人や不正を見ると、何だかんだ言っても放ってはおかない。

恁 希吉《イム・フィギル》(55)


シアの養父。本名・韓 希吉《ハン・フィギル》。身長・185cm、体重・68kg。

左捕盗庁《チャポドチョン》〔警視庁〕に勤めていた元・捕盗大将《ポドテジャン》。

シアの流刑先である江華島へ、シアの暗殺指令を届けた張本人。

王への忠誠ゆえに一度は朝廷与党・大北派《テブクハ》の長・李 爾瞻《イ・イチョム》に従うが、同じ年頃の子を持つ親としての心が、幼子を殺めることを良しとしなかった。

シアを助けて以後は、彼に忠誠という名の贖罪を誓い、息子(娘?)として育てた。

また、万が一自分が彼の敵方に戻らざるを得なかったり、死んだりした場合を考慮し、あらゆる自衛術その他を伝授。

内容は、ほぼほぼ人間兵器かスパイ並で、ソッコー体探人になれるくらいのことは叩き込んである。

李 廷彪《イ・ヂョンピョ/チョンピョ》(59)


中枢府《チュンチュブ》〔窓際部署〕の軍士《クンサ》〔最下級の武官〕。

身長・190㎝、体重・80kg。

がっしりとした体つきで、輪郭は角張った楕円形。眉はなく、鼻筋は太く、唇も分厚い。瞳は濁り、鼻の上には派手な傷跡がある。

両班社会を憎み、フリーで殺し屋をしていた。幾度かイチョムからの仕事を請け負い、信頼を得た為、今は表向きの身分も得ている。

シアを殺そうとした一人。シアの腹違いの長兄・臨海君《イメグン》は直接手を下し、シアの甥・綾昌君《ヌンチャングン》は、彼を自害へ追い込む圧力を掛けるのに一役買った。


性格は凶暴。

とにかく、王室と両班社会への深い憎悪だけで生きている為、それを破壊することしか考えない。王族や両班をこの手に掛けることができれば最高。

破壊できれば、下々の生活も破壊されてもいいと思っている(というより、そこまで考える余裕はない)。

彼にとって、両班社会と王室の破壊が、母と姉の敵討ちであり、彼女らへの供養。

長所/よく言えば一途。一つのことだけを考え、目標に向けて邁進できる。

短所/頑固で執念深い。自分は正しいと思い込んでおり、間違ったことをした王室と両班社会への謝罪を常に求めてやまない(要は、対話の拒否)。

李 爾瞻《イ・イチョム》(61)


朝廷の与党・大北派《テブクハ》の長。身長・170㎝、体重・68㎏。 

世子《セジャ》〔皇太子〕時代に出会い、見出した現国王・李 琿《イ・ホン》に、心からの忠誠を誓う。

また、その忠心ゆえに、手を汚すことをまったく厭わない。

どのような手段であれ、ホンの王座を守ることが、この国を守ると堅く信じている。

洪 端鳳《ホン・ソボン》(49)


身長・175㎝、体重・65㎏。

普段は、柳 輝世《ユ・フィセ》という偽名を名乗っている。最終職歴・同副承旨《トンブスンジ》。暗行御吏《アメンオサ》同様の職務のある觀察使《クァンチャルサ》の経歴の持ち主。

その為、情報網は蜘蛛の巣状。


万暦40(1612)年に勃発した、金 直哉《キム・ジクチェ》の獄事《オクサ》に巻き込まれる。

宣祖《ソンジョ》の第六王子・順和君《スヌァグン》の養子である晋陵君《チンヌングン》が推戴の責を問われ、順和君の妻の父だった黄 赫《ファン・ヒョク》も連座。

順和君の妻とソボンの妻は姉妹だったため、義理の兄弟としてソボンも連座で罷免される。この時、ひどい拷問も受けている。

子どもたちが幼かったこともあり、一度本貫《ポングァン》〔本籍地〕の南陽《ナミャン》へ戻る。

政敵を片付ける為の無実の罪のでっち上げには、それまでもあまりいい印象を持っていなかったが、このことで自分がその被害に遭い、朝廷への不信感を持つようになる。


万暦42(1614)年2月、イ・ウィ死去の報を受け、急いで江華島へ。だが、王子の死体が見つからなかったという情報を知り、密かに真相を探り始める。

ウィの追跡を続ける内、同じようにイ・ジョンピョがウィを捜していると知った為、何とか先にウィの生死を確認し、生きているのなら保護しなくてはと考えるようになる。

数年経った頃、違う反正《パンジョン》勢力から誘いを受けるが、ウィが生きているなら彼以外を推戴するわけにはいかないという持論から、返事を保留にしていた。

解 蒼淑《ヘ・チャンスク》(42)


身長・157㎝、体重・47㎏。

偽名として、陳 美宙《チン・ミジュ》を名乗る。シアが宣川《ソンチョン》の妓楼・銀華楼《ウヌァル》で、婢《ピ》として働いていた頃の同僚で知り合い。

七つ上のソボンとは幼馴染みで、初恋の相手だった。

訓錬院《フルリョヌォン》の武官として勤務していた父の影響で、父の勤務先へ気軽に出入りしたり、剣術の真似事をするような男勝りな少女に育つ。お陰で、女ながらに武術達者。


万暦40(1612)年、キム・ジクチェの獄事に義父・尹 安善《ユン・アンソン》が連座。夫・尹 東解《ユン・ドンへ》(当時・36)と息子・東影《トンヨン》(当時・9)が巻き込まれ、刑死。自身は、金 闓《キム・ゲ》宅へ私婢《サビ》として下げ渡される。

三年後、キム・ゲ宅の私奴《サノ》に犯されそうになり、叩きのめして逃亡する(上へ訴えたところで、私奴婢《サノビ》同士の諍いに関知してくれないのは分かり切っていたから)。

紆余曲折を経て、銀華楼へ流れ着いてから、四年後に再会を果たしたソボンから、反正の拠点となる妓楼の行首《ヘンス》になって欲しいと打診を受けていた。

董 邦植《トン・バンシク/パンシク》(61)


董商団の行首。身長・185㎝、体重・70㎏。

商団の商品の中に情報も含まれる為、かなりの情報通。

情報を売る相手は基本的に問わないが、渡す情報は選んでいるらしい。

妻が、シアが巻き込まれた人身売買事件の主犯・呂商団前行首の庶子。

チャンスクが都にいる間親しくしていた一人で、互いに父娘と言ってもいい関係。

眞 錫炯《チン・ソッキョン》(19)


身長・183㎝、体重・70㎏。

董商団の一員。チャンスクとも親しく、フィギルの娘とも知り合いらしい。

割と素直な性格で、良くも悪くも嘘が吐けないタイプ。

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小説情報

亡霊は、鎮魂歌を唄わない―仁祖反正《インジョパンジョン》異聞―

神蔵眞吹  mabuki-k_w

執筆状況
連載中
エピソード
20話
種類
一般小説
ジャンル
歴史
タグ
朝鮮王朝, アクション, 若干群像劇, 微恋愛, ハードボイルド風, 中性的美少年, 復讐劇, 家族愛, R15(保険), サスペンス
総文字数
135,398文字
公開日
2022年05月04日 17:22
最終更新日
2022年05月25日 17:24
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