第1回『ヤングマガジン × トークメーカー 漫画原作者スカウト杯』結果発表!

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■漫画原作者スカウト杯結果発表!



金賞
外道魔法少女☆外山道子
ユマリモ  @YUMARIMO
(※編集担当が付きます)
(※クリエイターページが贈呈されます)



銀賞
徳富兄弟探偵記 ~ヒストリカル・ダイバー~ 
犬山秋彦  @osaki1bantaro
(※クリエイターページが贈呈されます)




■全体講評

まずお礼を。多数のご応募ありがとうございました。
ヤングマガジン編集部の編集者3名で選考をさせていただきました。
全体的に発想が豊かで目を引くものが多く、面白かったです。
ほとんどの投稿作品において「タイトル」「あらすじ」で興味を惹かれ、中身を読んでしまいました。
今回は内容うんぬんよりも、漫画っぽさ――言語化するのは難しいですが――あえて言うなら「漫画になったときの成功形」がイメージできたり、作者そのものに興味を持ったりした作品を選ばせていただきました。

3人の編集者の間で、票が割れに割れました。
票が割れるということは、編集者ごとに評価ポイントが違うということでもあり、
それは現在(作品)志向なのか、未来(作者や伸びしろ)志向なのか、ということでもあります。
なので皆さんにお伝えしたいのは、たくさんの人の目に触れる場に作品をアップするのはとても良いことだということです。
トークメーカーは、ほかのサイトよりも「漫画原作」がしやすいサービスだと思います。
ぜひこれからもどんどん作品を完成し、臆さず発表していっていただきたいです。
 



■奨励作品の講評


【スズキの選んだ作品と感想】

◆この勇者パーティーには裏切り者しかいない!
米洗ミノル  @riceshower_306

設定自体はよくあるものだとは思いますが、
会話が軽妙で、キャラクターの良さが際立っていました。
漫画家がこれを読めば、作品が脳内に浮かぶはず。タッグ次第、改変次第では
かなりいい漫画になりそうな予感。


◆徳富兄弟探偵記 ~ヒストリカル・ダイバー~
犬山秋彦  @osaki1bantaro

原作者に必要な取材力と知識を持っている。ちゃんと「漫画原作形式」にトライもしているし。たぶん世界で一人だけが思いつく話だろう、というところも高評価のポイント。
題材が渋すぎる(笑)ので、エンタメとして受け入れられるかが微妙なところですが、
わりと需要があるわりに、大変なので挑む人が少ない「歴史」という得意分野を持っているのは強みだと思います。


◆外道魔法少女☆外山道子
ユマリモ  @YUMARIMO

もうこれはアイディア一点突破ですね。ありがちながら、見たことない気もする不思議な作品。あらすじですが、きちんと「場面のネタ」は入っているので、漫画になったときを想像して、声を出して笑いました。



【編集:ニヘイの選んだ作品と選評】

◆かませ犬たちの遠吠え
歌種子マクラ  @ryuukin

社畜ネタを使った作品は多い中で、
実際の知識も盛り込んでいた原作だったから。
名刺の渡し方のマナーもあって、
面白く読みながら勉強できるお話になると理想です。


◆外道魔法少女☆外山道子
ユマリモ  @YUMARIMO

魔法少女のネタ自体は今更感はあるものの、
ストーカー能力(犯罪)用に正義のヒロインの能力を利用しようと
真面目に考えているところが危うくていいなあと思いました。
犯罪者の視点から防犯を学べるお話になると理想です。



【編集:ミズタニの選んだ作品と選評】

百球バリュー
@morino
(多作でアイディアがありそうなので担当希望)

・あらすじが他の候補者と比べてキャッチーで面白い。
「時速300キロのボールを百級に限り投げられる主人公が、どうやって金儲けをするか」という設定も魅力的。
@morinoさん自身、他にも何作か応募を出していて意欲を感じた。
『百球バリュー』をはじめ、全ての応募作にオリジナリティのある設定を入れていて
アイディアが豊富な方だと思った。


◆無限
がんもどき @ganmodoki

・同じ一日を繰り返すようになってから1000回以上が経過した世界で、
自殺を何回も試みる主人公と、(他の人と違い)1日を繰り返している自覚のない女子高生の話。
設定自体も面白いが、荒廃しきった世界で生きる人間をリアルに表現できていた。
この話を漫画で読んでみたいな、と思わせる作り方がしっかりできている。



【架神恭介の選評】

◆外道魔法少女☆外山道子
ユマリモ  @YUMARIMO

主人公のキャラが分かりやすい点に強みがありますね。
これからどれだけ外道行為を働けるかですが、読者が「活躍を追っていきたい」主人公像になっていると思います。

ただ、今回、応募して頂いたのはプロットなので、ここから説得力あるディティールを描けるかがポイントになってくるでしょうか。
例えばマラマラと道子が出会うシーン。
この時の道子のリアクション次第で、マラマラたち妖精と人間の関係性――、妖精が既知のものなのか、異形の存在なのかが分かりますし、ひいては、人間と魔法少女、人間と怪人の関係性も見えてくるはずです。
そういった、作品の背後の関係性(人間は妖精・魔法少女・怪人をどのように認識し、それらは日常生活にどれくらい溶け込んでいるのか)が明らかになることで、物語にリアリティが付与されていくと思います。

……まあ、全部勢いとギャグで流して無視しちゃってもいいんですけどね!


◆徳富兄弟探偵記 ~ヒストリカル・ダイバー~
犬山秋彦  @osaki1bantaro

企画性が非常にハッキリとしており、想定する読者層が明確なのが良いですね。
幕末の偉人の名前が乱舞してるのは、分からない読者をごっそり振り落としてるけど、分かる人には非常に楽しい。おれは楽しかった。
主人公二人のビジュアルイメージとキャラ付けも、あざといけれどグッド。
あえて言うなら一話の引きがややのっぺりとしているというか、予想される二話のテンションが一話と同じなので、二話への期待感が薄いかもしれない。
一話ラストで「真犯人は分かった!」とぶち上げるくらいのインパクトがあっても良いのでは?



【至道流星の選評】

◆外道魔法少女☆外山道子
ユマリモ  @YUMARIMO

1話ごとの構成がしやすい設定やキャラクター造形を押さえていると思います。
次はこちらのどんな上をいくゲスぶりを見せてくれるのかを期待してしまいますね。
「このゲスで来たか」「素晴らしいゲスだ!」「こんな美しいゲスが見たかった!」という感じで楽しませてもらうことを期待したいです。編集さんや読者の方々とゲスの在り方について切磋琢磨していくような作品に昇華していってほしいですね。
このゲス子の恋の行方も気になりますし、ゲス子がどんな大人になってゲスっぷりを縦横無尽に生かした活躍をしてくれるのかも楽しみです。ゲス子が急に金儲けに目覚め、マキャベリも真っ青のゲスっぷりを発揮して成功を目指す新しいビジネス本にも展開してほしいくらいで……なんだか夢が広がりますね!
日本にゲス文化を根付かせましょう!

一見、分量が少ないように感じられるユーザーさんがいるかもしれません。でもこの方はしっかり書ける方なのだなということがわかります。こうした一発ネタで攻めてきているように見せて、ちゃんと「書ける」ということを感じさせる部分も大事なことかと思います。
ユマリモさんの応募内容をご覧になってわかるように、漫画原作者になるための既定路線やフォーマットなどはありません。イラスト形式でも、トークメーカー形式でも、ネーム形式でも、小説形式でも、その方の能力は伝わるものです。


◆徳富兄弟探偵記 ~ヒストリカル・ダイバー~
犬山秋彦  @osaki1bantaro

歴史好き、幕末好きの心には堅実に届きそうですね!
ぼく自身、こういう作品は大好きです。

実は、あらすじの時点で、「また転生ものか……」と思ってしまったのを告白します。でも、良い意味で裏切られました。ぼくは転生や異世界ではないこういうガチなお話が好きですし、そういう層の支持を固められる作品なのではないかと思います。

ここからヒット作を狙っていくとしたら、幕末知識がない方でも引き込まれる何かがあるとグッドです。
歴史上の有名人、とくに幕末の有名人は鉄板なので、それを武器にするのは良い方向ですが、反面、それが弱みにもなっています。具体的には、幕末キャラ頼りになりすぎています。
その弱みの克服する方向――たとえば歌舞伎チックなキャラ立ちを強めるとか、「竜馬暗殺の真犯人を誰が一番早く見つけるか」みたいなギャンブル漫画っぽさを採り入れてしまうとか――色々方法はありますが、万人狙いの要素も入れておきたいです。

あと少し細かい点としては、序盤の竜馬関連のシーンをもっと圧縮でき、1ページでも早く読者を引きずり込んでいきたいところです。

小説でもいける作品なので、漫画ではない方向を検討されるのも全然アリかなと考えます。小説の場合でも、上で述べたようなもう一要素は必須です。漫画でも小説でも、商業としては今一歩、工夫を要する部分があるのです。
良い作品なので、仮にトークメーカーで連載されるなら、「ヤンマガ杯銀賞受賞作」として作品PRもできますよ。