54話:死へのカウントダウン!ライトvsスティード!!(前編)
文字数 2,827文字
前回のあらすじ
ずっとオルームに変装していたのは暗躍組織「アンドルディシア」のメンバー「シルディート」。
ヒルハイドタワーでエディールと会話している彼に注意喚起をする為、皇帝自らやって来る中
地下収容施設の部屋の檻を壊されたライト達の排除指令をスティードに託される。
ただこれは生死を賭けたゲーム。
負けたらリオルドとオルームが捕らえられる以上に歯向かった罰として
エディールの計画を邪魔した者と思われ、彼の手で始末されてしまう。
選択を迫られるライトは今までの過去を振り返りながら
覚悟を決め、1階にてスティードとのバトルが始まろうとしていた…
ほら、来なよ…ライト。
俺にスキル「獣拳」の力見せてみろよ…。
ふん。そんな躊躇ってるんじゃ、幹部達はもちろん俺にも勝てないぞ…
う、うるさい…。言われなくても…!
ジャガードナックル!!!
まるでジャガーが得意とする木登りをするかのように、ライトは近くにある柱を
物凄いスピードで駆け上り、その勢いでスティードの元に駆け寄り拳を入れようとする。
もちろん勝つ思いで必死に彼の顔面に飛び掛かろうとするが、「甘い!」と言われ避けられてしまう…
おいおいおい…、余計な事やってると隙付かれるぞ…。
いちいち柱を上らなくたって、目の前にいるんだからどうぞ攻撃していいんだぞ…
それともあれか? そういう技なのか…。笑わせるな!
生死を賭けたゲームなんだ。もっと緊張感持てよ…!!
く、くそっ…。このままじゃ父さんも、オルームも…!!
負ける訳には行かないんだ…!!!
うおおおおおおお!!!
彼の挑発に乗ってしまったライトは、
リオルドやオルームの声も聞く余裕もない程
焦ってしまい誰の言葉も耳にせず意地でも拳(ナックル)を入れようとするけど
目の前が全く見えてないようで、スティードにスキル「鎖」の技で自分の強さを証明されてしまう。
自分を見失いやがって…、良いだろう。俺の強さ証明してやる…
チェインシェザード!!!
自分の両手から長い鎖を出し、
意地でも拳を入れようとして来たライトの足元と手元に投げ付け
見事にクリーンヒットしてしまい、彼は床に強い衝撃と共に戦闘不能状態に陥ってしまう…
うぅ…。あ、頭が…!!
リオルド、オルーム。ごめん…僕はもう…!!
何言ってるんですか? ライトさん…諦めないで下さい…!
お願いですから立って…スティードさんを倒して下さい…
信じてるんですよ…!!
ダメだ…。やはりスティードは強い…
でも俺の自慢の息子だ…応援しない家族が何処にいる!?
ライト、頑張ってくれ!! もうエディールの元に戻るのはゴメンだ…!!
スティード…、俺は…。
ゼルシード、来い…!
ライトを助けてやってくれないか!?
俺からの命令だ。そうだろ…?
ライトは床に頭を強打してしまい、戦う事も儘ならない状況に陥っている中
リオルドの号令により、スティードも予想付かない方向へと事態は動いていた。
突然のゼルシード発言のせいで、戸惑いを隠せずにいる。
どういう事だ、ゼルシード。
お前、どっちの味方なんだ? 俺に鎖のスキルを渡した張本人だろ…。
ちゃんと事情を話して貰おうか…。
ふん。じゃあ言ってやる…。
あくまで俺のスキルが譲渡だから、皇帝の指示に従ってやっているだけだ!
言っておくけど、鎖は禁忌じゃないからな…
正直に言ってみなよ。本当はエディール様の事どう思ってるんだ?
…………。
嫌い…。命令ばかりで嫌になった…
彼の強さに惹かれて俺は協力者になった。それで何が悪いんだよ!?
心配そうに見守るリオルドがゼルシードに助けを求めようとする中
ライトは重い足を引きずりながら彼の元へと歩き出す。
そんなんで判断するなよ…!
本当ならこの獣拳のスキルも必要無かった。何で"強さ"に執着するの?
そんなに認めて貰いたいの? 俺は絶対に御免だね…
…………!!!
何だと…。何でスキル必要無いんだ?
お前は強さを求めてないのか…!?
要らないし、欲しくもない…。
ゼルシードさんにスキルを持たないと勝てない相手がいると言われたから
ブリジスさん経由でしょうがなく受け取った。強さだけが全てじゃないんだ…
元々弱かったから、皆に認めて貰いたくて強くなる事を決意したのか?
それは、間違ってるぞ…!!!
じゃあ、何で努力しなかったんだ?
きちんと人の目を見て判断するんだ…
ゼルシードさん…、獣拳のスキル解除してくれませんか?
さすが、ライトくんっ!
じゃあ、僕もお願い出来るかなー?
スキルに頼るのはやっぱりダメだよねー!
もう悪い事はしないって決めたから、その決意をゼルシードさんに見て貰わないとっ!
そうですね。砂塵のスキル持っていても役に立ちません…
ゼルシードさん、俺もお願いします!!
後悔はないですっ!!
やっぱりライトさんと一緒に居られて良かったです。
断割も必要ありませんね…、スキル解除お願いします!
リオルドさんとライトさんを次は僕が守る…。だけど強さに拘っちゃダメ。
僕なりのやり方で二人を幸せにするんだ!!
スキルに頼らない…か。
その思い伝わったぞ。実は俺が持つ譲渡のスキルにはちょっとした秘密があるんだ…
ブリジス、キルディー、オルーム、そしてライト。
少しリラックスしてくれないか? 大丈夫だ、すぐに終わる…
彼等はゼルシードの前に立ち、少しリラックスした状態で心を落ち着かせている。
右手を前に出し、何かを掴み取るかのように一人一人のスキルを
読み上げて自分の懐に閉まって行く…
でも、何か気が楽になりましたよ!
ほらっ。手を前に翳してもスキル発動しない…
やっとスキルから解放出来ましたね。ゼルシードさん、ありがとうございます!
これで君達からスキルは無くなった…。さてと、次は…
スティード…、どうするつもりだ?
奴等に立ち向かう為に彼等に渡したスキル…、不必要だったみたいだ。
頼らないのも1つの手…。分からないだろうな?
皇帝、そしてエディール様も…。
不気味な気配と共に階段をコツコツと足音を立てて降りてくるエディール。
苛立ちを隠せずにいる中、スティードの元で立ち止まる。
貴方には一生私の元で協力者として働いて貰います…
スキル不必要…、何甘い事言っているんですか?
強さが全てです…。分からないのであれば、見せつけるしかありませんね…
幹部「マイティーダーク」のメンバーであるグレイザー…、そして
シルディートが変装したオルームと同様にエディールの闇の力は少なからずある彼の善の心を蝕むように
巣食い始め、見た事もない姿へと変わり果てていた…。
さあ、目覚めなさい…
そしてライトを殺すんだ。始末しなければ貴方に訪れるのは死です…
もちろん、分かってますよね?
死のゲーム再開です…。思い存分暴れなさい…
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