NOVEL DAYS × tree 長編文学賞 「青春小説」結果発表

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NOVEL DAYS × tree

長編文学賞「青春小説」

結果発表

 

受賞作

この世の去り方、教えます
床谷

小説を書くのが好きな高校生の主人公が、スクールカースト最上位のイケメンクラスメートに請われて「遺書」の書き方を教えるという設定が、大変秀逸でした。
ストーリー展開も、しっかりと緩急のメリハリがつけられ、読み手を退屈させないよう工夫が凝らされています。
このいびつな友情のような何かというのは、まさに青春時代ならではのものだなあと読んでいてしみじみ思いました。

 

 

全体講評

たくさんのご応募ありがとうございました!
今回は久しぶりの文字数無制限の賞ということで、いつもに増して力の入った作品が多数応募されており、選考にも気合いを入れて臨みました。
青春と一口にいっても、恋愛や成長、人との衝突など様々なアプローチから作品を描くことができます。
今回応募された作品たちは、いずれもそれぞれに強く心を掻き立てるような鮮烈な青春の迸りを感じさせるものばかりで、思わず自分もこんな青春を送りたかったと思わされることたびたびでした。
昨今のコロナ禍では、いわゆる青春を象徴するような行事や日常も制限を受けているのではないかと思いますが、それはそれで別のかたちの青春もあるのだろうなとも感じました。
青春の只中にある人も、そうでない人も、応募作を読んで、いろいろな青春を堪能していただけると幸いです。

 

 

優秀作品

惜しくも受賞には至りませんでしたが、ぜひとも読んでほしい作品を紹介します。

 

錠剤に花束を 高下    

クラスメートとの関係、先行きへの不安感、自由への羨望、自分自身のアイデンティティのゆらぎなど、これほどのことが青春には詰まっているのかということをぎゅっと濃縮した秀作でした。


謎翔る転校生 若奈    

不思議な力を持った転校生が、いろいろなところで引き起こす事件を通じて、ちょっと変わった、それでもやはりまぎれもない青春の日々を描く連作短編です。とても読みやすい作品でした。

 

チラシのうらの恋 野葛間    

青春というと中高生くらいを思い浮かべがちですが、本作は小学生の青春を書いた作品です。小学生ならではの純真さが、不思議と青春の甘酸っぱさを倍加して、微笑ましくも青春の風味豊かな小説となっています。

 

ラストワンプレー なかのん    

こちらはまさに青春らしいワンシーンを切り取った作品。ストレートに書きたいものが伝わってくる良き作品でした。

 

 

佳作紹介

選考者が気になった作品をさらにいくつか紹介します。

 

カンヴァス議事録―少女と青年とオバケの話― 和居ナラブ

どの話も独自性があって面白く読みました!

 

Verlieben フェアリーベン 川屋隆輝

等身大の、映画好きのカップルがよく描けている作品だと感じました。

 

これから始まるものがたり~羊の皮を被るのはいつも狼~ 高間真

まるで少女漫画のようなストーリーに胸キュンでした! 主人公の年下の男の子がとてもいい味を出しています。

 

タフィー このはな

貴族らしさが余すところなく描かれている、上品な作品でした。

 

鎌倉物語 辻本勝彦

まさにひと夏の思い出! 「彼女」がとても魅力的な作品でした。

 

桃の味 木曜4時

倒錯的で、とても艶のある作品だと感じました。

 

ライ麦と少女 平澤ましろ

ストーリーがしっかりしていて、読み応えのある作品でした。

 

時には母のない子のように 観月

行き場のない思いを母の同僚へ向ける中学生の寂しさが強く伝わってきました。