NOVEL DAYS × tree 2000字文学賞 「歴史・時代小説」結果発表

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NOVEL DAYS × tree

2000字文学賞「歴史・時代小説」

結果発表!!

 

受賞作

 

ポトガラ始末記

坂上 右京

何よりも時代小説×写真という組み合わせの妙が素晴らしいです。

地に足のついた武士が、ハイカラなアイテムと不思議な現象に翻弄される様がコミカルに描かれており、楽しく読ませていただきました。

理由付けも、時代劇ならでは、かつ、いかにもありそうな説得力の高いもので、なるほどと頷かされました。

今回は硬軟様々な作品がひしめく非常にハイレベルのコンテストでしたが、発想力、筆力のバランスで頭ひとつ抜け出した本作を受賞作とさせていただきました。


 

全体講評

今回もたくさんのご応募ありがとうございました!

「歴史・時代小説」コンテスト参加のためにNOVEL DAYSに登録いただいた方も多かったようで、大変ありがたく思っております。

今回のコンテストは、世に出ている時代・歴史小説にも引けを取らない筆力を感じさせる作品が数多くあり、これまででも有数のハイレベルなコンテストだったように感じました。

また、筆力だけでなく自由な発想で強い独自性を発揮した作品も多く応募されており、大変興味深く読ませていただきました。

歴史・時代小説が苦手な方でも楽しんでいただけるような作品も多くありますので、是非読んでみてください!


 

優秀作品

惜しくも受賞には至りませんでしたが、ぜひとも読んでほしい作品を紹介します。

 

源次の指 悠井すみれ

短い作品の全体から凄みと色気がにじみ出ています。題材にしても描写力にしても、目をみはるものがあります。これは大変な巧者の作品です。

 

鬼を描く 永野まこと

中華らしいエキゾチックな雰囲気が素敵な作品です。主人公の人しれぬ矜持と、一種の救済が見事に描かれています。

 

鬼の時計 黒田リン

鬼島津と猫のとりあわせの面白さをしっかりと引き出した作品です。猫のいかにもな猫感が最大の魅力。

 

水戸黄門すていほーむ記 楓屋ナギ

コメディの逸品です。歴史や時代劇の知識が深くなくてもそのネタで笑えてしまうというのは、キャラクター設定とその描写のうまさによるものでしょうか。


 

佳作紹介

選考者が気になった作品をさらにいくつか紹介します。

 

良庵先生のこと 辻本勝彦

コンプレックスの解決と恩返しのエピソードを簡潔にまとめていて、読後感も良かったです。

 

ダキニの亭主 夏目

食い殺すつもりだった男になんだかんだ惚れてしまうところにほっこりしました。

 

怪し夜 いそぎんちく 

チャットノベルを効果的に活かしていて、面白かったです。

 

蛇の足【2000字歴史】 Tempp

蛇足のエピソードとオチが上手くハマっている作品でした。

 

町奉行の二番煎じ 音野内記

欲を書いては損をするという話のは人情ものの典型ですが、キャラクター全員がコミカルで大変面白かったです。

 

何か悪いことしたか、俺 --関ヶ原合戦軍馬余話-- 中岡潤一郎

馬に転生し、馬上の主人になんだかんだと言いながらも結局武者の血が滾ってしまう松永久秀が実にコミカルでした。

 

孫子勒姫兵裏話 大澤伝兵衛

この闔閭とはいいお酒が飲めそうです。

 

龍と綴った愛 狭倉朏

隻眼の伊達政宗のそのままの姿を愛していた愛姫の気持ちがよく伝わってきました!

 

亡国日和 名瀬口にぼし

晴れやかで読後感がとてもよかったです。

 

遊女の証立て 音野内記

オチが秀逸で思わず声を出して笑ってしまいました。

 

大名ごろし 筑前筑後

緊迫感が上手く表れている作品でした。

 

夜鷹の名 初音

藤田の近藤勇への様々な思いが行間からにじみ出てくる作品でした。

 

たとう紙【2000字歴史】 村上ガラ

ままならない現状への落胆と絶望感、せめて来世ではという思いがよく伝わってくる作品でした。

 

丁半鬼 綿涙粉緒

博打好きには人も鬼も関係ないのだなと思わずほっこりさせられました。

 

信長の道具 橋本洋一

光秀の倦怠とやるせなさがよく伝わってくる作品でした。

 

天叢雲剣 桐乃桐子

八岐大蛇の逸話を上手く取り入れていて、いかにも実際にありそうな感じでバランスのよい作品でした。

 

異形の翼 ニセ梶原康弘

震電の異質さと日本の意地がアメリカ軍人視点で上手く描かれていました。

 

小夜曲をさがして ~Quest for J.Heykens~ 浜栗之助

鉄オタ的な描写からオランダ製カセット、ヒトラー、アウシュビッツへと、繋がっていながらも次々に全く別なものに描写が移っていくストーリーには意外性を強く感じました。