NOVEL DAYS × tree 2000字文学賞 「コメディ小説」結果発表!!
NOVEL DAYS × tree
2000字文学賞「コメディ小説」
結果発表!!
受賞作
音野内記
文章で人を笑わせる、というのはとても難しいことですが、
面白いシーンを、読者が頭に思い浮かべることができるように描くことは、一つの近道なのかもしれません。
本作の肝は、本多重次の名文がめぐりめぐって間違って伝わったことにありますが、それだけでは終わらず、もうひとひねり仕掛けを用意したのが妙手。
そのおかげで、「目」だけでなく「耳」でも「鼻」でも笑える、映像が頭に浮かぶようなラストが生まれていると思います。（ぜひチェックしてみてください。）
落語っぽさを感じさせる、テンポ良い話運びも◎、見事な受賞作でした。
全体講評
予想を上回る多数のご応募ありがとうございました！
昨今、暗い話題が続く中、そんな雰囲気を笑いで吹き飛ばすような作品が今回は多数集まりました。
その中には流行のウェブ小説のテイストを上手く取り込んだ意欲作も少なからず投稿されており、「笑い」とは日進月歩でどんどん変化していくものなのだと認識させられました。
それとは逆に、昔ながらの見事な「落とし話」も数多く投稿されており、どちらも大変楽しく選考させていただきました。
笑う門には福来るとはよく言いますが、苦しい状況が続く今こそ、是非応募作品を読んで大笑していただきたいです！
優秀作品
惜しくも受賞には至りませんでしたが、ぜひとも読んでほしい作品を紹介します。
オキノピ fabian
シンプルな作りながら、ラストは思わずシーンが目に浮かんでしまい、笑ってしまいました。
ゆるキャラ メグ
ゆるキャラに扮する父親という光景も面白いですが、結末の後、どうなってしまうのかも含めてコメディになっていると感じました。
惹き付けられたのはラストで明かされる「やらかし亭」の正体。結末のその先も読んでみたい、そんな余韻がありました。語りの構成力があると感じました。
愛の密筆 yashirosana
しっかりとした文章で、作中作「愛の密筆」の内容を真面目に読ませられるや、ラストの鮮やかな切れ。小説内のテンションの差の作り方、巧みです。
佳作紹介
選考者が気になった作品をさらにいくつか紹介します。
ゴジラ父 小口 ちょぼ子
ゴジラの割にドケチというギャップが良かったです。
占いの館奇譚 嵐山林檎
卑弥呼×ツタンカーメン、という意外なかけ合わせが面白いです。
人生スゴロク 岸旅人
すごろくの製作者の天邪鬼っぷりがブラックで最後まで面白かったです。
シュレディンガーのエゴ 坂上田村麻呂の従兄弟
ブラックユーモア溢れる作品で面白かったです。
大きな鳥の恩返し～二度読むと謎の意味に気づく物語 2.5次元コメディ～ 龍崎京一郎
ダチョウ俱楽部の恩返し、目に浮かぶようで笑ってしまいました。
駅の戦い amemiya
食欲の為に恥も外聞も捨てて戦う女子中学生がかっこよかったです。
【ｼｮｰﾄｼｮｰﾄ】ご趣味は？ 黒澤伊織
コメディでありながら、ミステリー的な要素も光りました。
（節分）ショートショート「マスオの憂鬱」 谷口雅美
似た者親子に振り回される不憫な旦那さんの様子がとてもコミカルでした。
電話相談なんて、ロクなもんじゃない。 稲本イナゾー
テンポ良い会話劇に、クスッとするポイントがありました。
窓際ナナメの上と下 UMENO55
上司と部下の掛け合いがまさに漫才のようでした。窓際族の扱いも秀逸です。
おばあちゃんの初恋 kenkoubou
とても頓智の効いた、ブラックコメディーにしあがっていると思います。
落語庚申待ち 音野内記
きちんとオチが整っている見事な一席でした。
親せきと思えば怖くない? けむちゃん
ホラー要素もあり、オチもしっかり決まっていました。
思ってたんと違う fabian
ワンテーマながら見せ方のバリエーションも豊富でオチも見事です。
ホラー風ミステリーの書き方 成堂ニカ
ツッコミの切れが秀逸で、漫才のような笑いを誘うのに成功しています。
おにぎりの中におじいさんがいた 芹沢政信
考えさせられる部分もある、温かな読後感でした。
