矢島靖教さんのプロフィール
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矢島靖教さんの作品アトリエ
ファンレター
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『酸っぱい林檎の使い途』
酸っぱい林檎になぞらえて、傷つけ合いながらも依存し合うくだりの筆致に、琴線が震わされまくりました。そして姉の瞳が翳ったシーンを何度も反芻する部分。毎回構造や展開に意表を突かれ、深い読後感を味わっています。
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『鈴木はこの時』読後に
思うところあって調べ物をして、『円環的因果律』という言葉を知りました。主人公を乗せた電車は人生の終わりに向かって直線的に進行するのではなく、現在・過去・未来包括して物語は円環的に進行していったので。単純に原因ー結果を結びつける直接的因果律には囚われるべきではないのだと語りかけてくる。主人公は孤立しているように見えて世界と関わり合っている。すべての人の関係性の中に存在しているとも言える。いつも容易に共時的な全体構造が把握できるのは、作者の透徹な視点の高さによるものと感じます。
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テイストが違う、これも新鮮
効率よく面倒ごとを避け続けるうちに脆弱になる精神。死後に残される運命の借金。ずっと寄り添っていたジョワはパルフェの魂の一部か。パルフェが俗にまみれていたときには忘れ去られていたジョワが、死を目前にして寄り添い泣いてくれるラストシーン。確かに読み返すと32歳のハプニングまみれのパルフェはとてもチャーミングだ。価値観の洗い替え。何が起こるかわからないのは恐いけど、自分なりに腹を据えて対応していくしかないのだなぁと考えたりして、今週も有意義でした。
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トリプルミーニングか……
身につまされる。私も堂々巡りの解釈ばかり繰り返してきた。多分今も。ファンレターは語彙力の無さも含めて自分が浮き彫りになるから恥ずかしい。突き詰めて意味や答えを追い求め、視点を変え、最後には原稿用紙と万年筆を手放して静寂が訪れるラストシーン、昔読んだ『十牛図』を想起した。世界は素っ気ないようでいて、自分のあずかり知らぬ所で慈しみに裏打ちされているということを毎回行間から感じます。解釈違いだったらすみません。
佐久田 和季
『三日月は困ってしまった』
恋愛に陥ってしまったときの気持ちの反芻と手遅れ感が、絶望的でありながら蜜のようです。足元をすくうような不幸は、時として今まで考えなかったことを突きつけてきて、ある意味人生に深みをもたらすものかもしれないな、などと感じました。
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