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活動報告

ここだけの話⑨【第八章 うごめく者たち 前編】

アトワーズの墓石をあとにしたリラは、任務に向けた調べ物をするため、図書閲覧室のある中央棟までやってきました。この中央棟が第八章の舞台となります。
出だしは映画のワンシーン風にしようと思い、引いた視点で建物の外観や歴史を掘り下げながら近づいていき、最後にリラの目線と合わさるという遊びを入れてみました。100%自己満足です、はい。

この中央棟は当初、学院を象徴するように、西欧風の重厚な建築を思い浮かべていましたが、「書いていて面白くないな……」という理由もあり、すこし東よりの、ある建物をイメージしたものになりました。

その建物とは、イスタンブールにあるアヤソフィア大聖堂。たまたま写真で見て、あまりの美しさに驚いたからです。あと、ブルーモスクも素晴らしい建築で、中央棟の「瑠璃の大屋根」や「絹織物にも似た姿」といった設定のヒントをもらいました。ただ、建築にも、宗教や歴史にもぜんぜん詳しくないので、ちょっと軽率かもしれない、とも思っています。

アヤソフィアは、もともとキリスト教の大聖堂だったものを、イスラム教が改築してモスクとしていたのですが、興味深いことにキリスト教のモザイク画が破壊されず残されているようです。そういった経緯もあり、二十世紀中頃からは東西融和の象徴とされてきました。
アヤソフィアを巡っては昨年、数十年ぶりにモスクとされたため西側の反発を招くといった不穏な話がありました。これまで通りに博物館として位置付けるべきだ、という声があるいっぽうで、現地の方々の気持ちも切実なものです。そこに政治的な思惑がからまって……。

勉強不足の身には想像すらつきませんが、「自分はなんにも知らなかった」ことを学べただけでも、いまは良しとしたいです。創作活動をしていなければ気づくことさえなかったかもしれません。

第一章で呼び出された時とは打って変わり、リラは意気揚々と中央棟に踏み込みますが、誰しも、こんな時にかぎり失敗をやらかしてしまうものですね。

【黒衣のリラ】
https://novel.daysneo.com/works/acdd7db59ac2a45160d4471fbf28457d.html

2021年 09月04日 (土) 21:25|コメント(0)

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