「バイブル・スタディ・コーヒー　～スラスラ読める！ 聖書入門」の最新話を11/17に公開しました。
今週のお題は、
★「創世記」息子を殺そうとしたアブラハム

ついにアブラハム物語のクライマックス、イサクの犠牲のお話までたどりつきました。
キリスト教実存主義の思想家、キェルケゴールの『おそれとおののき』における読み解きをご紹介しました。キェルケゴールはこの著作を沈黙のヨハンネス（Johannes de Silentio）という格好良い筆名で発表しました。沈黙の～と言う割には饒舌な文体だと思いますが…。

ヨハンネスはアブラハムの偉大さが信仰に基づくことを明らかにするとともに、そのアブラハムの信仰の情熱を分析した結論として、逆に自分がアブラハムに倣うことの難しさを発見してしまうのです。面白いですよね。
キェルケゴールが本名ではなく、ヨハンネスという架空の人物（キェルケゴール本人とは性格が異なる）がアブラハムの物語を解釈する、という構成をとったのは、この告白を書きたかったからではないか、と思います。キェルケゴール自身は神学者として「わたしにはできない」とは書けないから、別人の名前で発表したのかな、と想像します。
アブラハムの信仰の偉大さ、価値をはっきり認めながら、自分をアブラハムと同じ立場に立とうとすると、考えれば考えるほどアブラハムを理解できず、同じ信仰を持つのは難しいと感じてしまう。そんなヨハンネスの気持ちは、ごく普通のキリスト教徒たちにとって共感できるのではないでしょうか。

また本作、単独2万PVを突破しました！
こんなにたくさんの皆さまに読んでいただけていること、心から感謝申し上げます。

次回はサラの死と埋葬のお話です。

2021年 11月19日 (金) 20:50｜コメント（0）