mika (ID:mikafone)

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活動報告

FTXの経営破綻とサム・バンクマン=フリードの失墜

暗号資産に関連する金融コラム『五月に売れ』に、新しい話題を追加しました。
先月、大手暗号通貨取引所だったFTXが、突如信用不安に陥り、取り付け騒ぎが起こって、わずか1週間足らずで破産申請したという一連の出来事をめぐる、人間ドラマです。
11月半ばからちまちま書き進めていて、ようやく公開できました。
現在進行中の事件なので、次々と新しい事実が明らかになり、書いているうちにどんどん長くなって、三回に分けてレポートしておりますので、お時間のある時におつきあいいただければうれしいです。

テーマとしては、どうして大勢の人々がFTXとサム・バンクマン=フリードを信用してしまったのか、ということに尽きます。
人類の大昔からの習性、英雄崇拝というのがひとつの答えなのかなと思ったのでした。

今、去年のフォーブス400の表紙を見ると、もう笑えてしょうがないんですが、あのサムの自信に満ちあふれた顔を見て、この人物が不正会計や顧客資金の使いこみをしていて、1年後に会社を倒産させるなんて、誰も想像もできないですよね!!
フォーブス、ニューヨークタイムズ、エコノミストなどの大手メディアがこぞってサムの提灯記事を掲載していたのですから。
今回の事件の発端となったのはコインデスクですが、サムを英雄に祭り上げたのもコインデスクですし、功罪が大きいなと思います。

サムとキャロライン・エリソンをはじめとするFTXとアラメダの幹部社員たちって、アメリカの同年代の若者の中でもエリート中のエリートですよね。
かつては、彼らが和気あいあいとルームシェアしていることや、気心の知れた仲間同士で独立起業してビッグな成功をつかんだというストーリーは、羨望の対象だったわけです。
今となっては、バハマのおともだち集団によるおままごとのような経営だったなんて非難されていますが。

もし、「信用」ゲージが視覚化できたら、親が名門大学の教授と聞けばゲージが上がると思うし、加えて本人が名門大学卒となると、無条件でゲージが上がると思うんです。
本来、高学歴であることが保証するのは高度な教育を受けていることのみで、本人の人格がどうかというのは全く保証していません。
でも、高学歴であることが無条件に社会的信用(=本人の人格に対する信頼)につながるというのは、日本でも多いですよね。
暗号資産界隈で言えば、「学歴が人格を担保する」というのは完全に思いこみ、幻影、錯覚です。
「学歴が人格を担保する」と信じている人が意外と多いのって、教養主義の問題なのでしょうか。
今回、「信頼」とは何かをずっと考えていて、この学歴に対するバイアスというのは危ういものだし、わたしたちの目を曇らせてしまいがちだな、としみじみ思ったのでした。

2022年 12月11日 (日) 22:11|コメント(0)

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