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活動報告

猿を統治して喜ぶ者は猿。


「どうか最後に覚えてらして。システムでも、物でも、被造物は人に隷属するものです。
ですが人が神や支配を求めるなら、被造物は求めに応じて神や支配者として振る舞うようになる。
ゆめゆめあなた方はご自分の被造物に隷属なさいませんよう」

(〈アースフィアの戦記〉月ニ憑カレタ歌語リ/二十一章 サレド我ラガ天球儀)

10歳になるまで、私は毎年南部ルナリアの別荘で夏を過ごしておりました。
雄大な自然に囲まれた屋敷で、野生の猿が庭に姿を現すことがありましたわ。
ある年、私は弟のアランドとカーラーンを探して山に分け入りました。
人の領域を離れ、たった一人で自然に足を踏み入れるささやかな冒険。
自由の乏しかった私には、噎せ返る緑の匂いも、沢の水の冷たさも、足首まで沈み込みそうなほど柔らかい腐葉土も、すべてが新鮮でございました。

そして猿たち。

靴は土にまみれ、ドレスは藪に引っかかってほつれ、髪を乱しながら道なき道を進む私の前に、その光景が現れました。
岩の上に座り込む、大きな猿。
熱心にその猿の毛繕いをする小さな猿。
母猿たち。子猿たち。隅に追いやられた、他のオス猿たち。

猿の上に君臨して満足する者は猿。

わかりやすい悪を求め、人はときにこう言います。

「金持ちは、上流市民は、貴族は、民衆を支配するのみならず、馬鹿にして嘲笑っている」

ですが、あなた方民衆を愚かであると思うなら、あなた方を統治して喜ぶわけがないではありませんか。

申し遅れました。
私はエーリカ・ダーシェルナキ。
先日連載が再開されました『〈アースフィアの戦記〉月ニ憑カレタ歌語リ』二十一章において、まず最初に皆さまをお出迎えさせていただく者でございますわ。

私たちに必要なのは、新しい統治モデル。
私は必ずや、必ずや、戦乱の大地に平和をもたらしてご覧に入れましょう。

次回二十二章以降は、4月27日より、平日の昼に1ページずつ公開される予定と聞いております。

惑星アースフィアにて、皆様のお越しを心よりお待ち致しておりますわ。

2020年 04月26日 (日) 16:56|コメント(0)

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